日本学術会議は、わが国の人文・社会科学、自然科学全分野の科学者の意見をまとめ、国内外に対して発信する日本の代表機関です。

代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  

    (和文)   第4回若手アカデミーのための国際会議
    (英文)   4th Worldwide Meeting of Young Academies.

  2. 会 期

    令和元年7月31日~8月2日(3日間)

  3. 会議出席者名

    安田仁奈 渡辺美代子

  4. 会議開催地

    ベトナム ダナン

  5. 参加状況  (参加国数、参加者数、日本人参加者)
    参加国数、31か国、54名、日本人2名参加
  6. 会議内容  
    • 日程及び会議の主な議題

      世界における若手アカデミーの現状と課題について

    • 会議における審議内容・成果

      各国の若手アカデミーの現状や課題を報告し、状況を互いに把握するとともに、若手アカデミーとシニアカデミーとの関係性、若手アカデミーが解決していくべき課題について話あった。その上で、ダナン声明と題して、若手アカデミーとは何か、何をミッションとするのかについて、ディスカッションした内容を審議した。会議で作成したドラフトについて、全世界の若手アカデミーから意見や修正を行った上で、承認、サインを得る予定である。

    • 会議において日本が果たした役割

      プログラム企画委員に新福洋子委員(GYA・EC)と、若手アカデミー国際分科会幹事の安田仁奈が参加しており、日本はプログラム企画段階から会議に貢献した。当日は、POCで中心的役割を果たした新福洋子副代表がやむを得ず参加できなかったものの、開会式後のアイスブレークを安田が担当するとともに、シニアアカデミーの代表として渡辺美代子日本学術会議副代表と若手アカデミー国際分科会の安田仁奈(スライドは新福副代表が作成)が若手アカデミーとシニアアカデミーにおけるコラボレーションについて紹介を行った。日本は若手アカデミーとシニアアカデミーとの間で良好かつ生産的なコラボレーションが行えている世界でも類まれな優良例であった。そのため、オーストラリアや韓国など、これから形を作っていく予定である若手アカデミーにとってのお手本として強いインパクトを残すことが出来た。

    • その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)

      現在、参加者間で若手アカデミーに関する世界共通認識を定義づけるための「ダナン声明」がドラフト状態にあり、今後全世界の若手アカデミーの承認を得たのちに声明を発表する予定である。



会議の模様

2019年7月31日から8月2日にベトナム・ダナンにおいて、4th Worldwide Meeting of Young Academies of Young Academies for promoting peaceful and inclusive societyが開催された。POCメンバーとして中心的役割を果たした新福副代表と日本からのメンバーとして安田が参画し、会議当日は安田と日本学術会議副代表の渡辺美代子先生が出席した。会議には、合計世界31か国から54名の若手アカデミーの参加者があった。
経緯としては、2010年にグローバルヤングアカデミーGYAが設立されてから、世界各国で若手アカデミーが設立され、今では、40を超える若手アカデミーやその類似団体が世界各国に存在している。そのような中、若手アカデミーとは何を指すもので、世の中においてどのようなミッションをもつのかについて、世界共通の明確なコンセンサスを得ることが重要になってきた。本会議では、各国若手アカデミーのSDFsへの参画の紹介や、難民科学者の救済、各国における若手アカデミーとシニアアカデミーとの連携、各国若手アカデミーの運営において抱えている課題などについて共有して議論を行った。これらの議論をベースとして、Da Nang Statementという若手アカデミーとは何かを定義し、ミッションを明文化する声明の原案を作成し、世界中の若手アカデミーの承認を得て発表することを目指している。
まず、キーノートスピーカーとして、Skypeを用いたオンラインで、国連大使のDr. Flavia Schlegelが国際的にSDGsへの参画をどのようにしたらよいのかそのために科学がどのように進化し、科学のシステムをどう変化させていったらよいのかという課題を投げかけた。ISCでは、どう科学そのもの、資金システム、オープンアクセス、若手およびシニアの科学への参画をどのように発展させていくかが中心的な話題であるという旨を話した。このWWMは科学における多様性を高め発言権を獲得するという点で非常に重要だと位置づけました。質疑では、バングラディッシュの研究者が、論文のオープンアクセス化は実は本質的に平等ではない側面がある、他人の論文を読むことはできるようになっても、投稿料が高いので、自分たちがそうしたジャーナルに投稿することが出来ないという問題を投げかけていたのが印象的で考えさせられた。
その後、インドネシア、ネパール、スリランカ、南アフリカ、エジプトのYAからSDGsへの貢献や取り組みに関する発表を行った。途上国などの経済的に豊かではない国において、SDGsはただの理想であり、実際の国の問題に即した問題解決を科学によってより強く求められる等の話があり、真にSDGsを達成していくためには、こうしたそもそもの貧困の問題解決の重要性が認識させられた。その後オランダの若手アカデミー代表から難民研究者の救済に関するプレゼンテーションが行われた。メンターとメンバーになることで、互いに高めあう関係で救済を行おうとするものであったが、需要に対して供給のキャパシティが追い付かないなどの課題があることが紹介された。
若手アカデミーとシニアアカデミーの連携については、他国が様々な問題を抱え活動がうまくいかない例も多いなか、日本は優良例として紹介ができたため、大きなインパクトを残すことが出来た。渡辺先生が来てくださったことが他国のアカデミーにも心から感謝され、また歓迎された。大変忙しい中、スケジュールを工面して日本学術会議の幹部の方がこうした若手会議へ参加下さること時代が特別であり、どれだけ恵まれているのかを理解できたセッションであった。日本では活動の独立性や自由が担保されながらも、資金面で必要に応じてシニアアカデミーが手を指しのべてくれたり、G7などの国際的に高いレベルのミーティングに若手を派遣して活躍する機会を与えたり、国内でも重要な科学提言の場で、国家任命をするなど、シニア側からの引き立てもあることがどれだけありがたく、また理想の連携の形であるのかを印象付けることが出来た。また、若手の行動の速さ、新しいことの導入、適応の速さをシニアがうまく頼って連携ができていることも成功のひとつと考えられた。一方比較的シニアと若手の関係が良好なスリランカでは、シニアと若手がイベントやメンバー選出などを通じて連携しているが、資金不足のため外部で活動資金を探している状況にあるという。また、インドでは、シニアの助力で若手が出来、若手は子供たちを対象にアウトリーチなどの活動している。しかし、全ての活動にシニアの承認が必要でわずかな資金の割に制約も多くて活動困難な面もある。ベトナムでは、若手アカデミーが不在という課題があり、逆にシニアアカデミーが複数存在するためにどこと連携するかという課題が出てしまっている国も存在していた。(写真1、2)
2日目は若手アカデミーの現状把握として、事前に行った調査結果をまとめたものの紹介があり、各国若手アカデミーないしその類似団体がどのような状況にあるのかについて把握した。その上で、その後グループワークによって、いくつかの課題ごとにわかれて議論を行い、その結果をグループごとに発表した。主な若手アカデミーの課題としては、国際コラボレーション (OA,資金の限界など)、若手アカデミーメンバーの選定の方法について(メンバーであることの実益、選抜の基準は科学者としての優秀さかやる気か、男女比、連携会員を作るか)、メンバーの参画(積極的ではないメンバーにモチベーションをもたせるにはどうしたらよいか、何もしないメンバーを外すシステムを作るべきか)に関して、また、若手アカデミーにおける活動資金の問題(シニアとの関係、シニアアカデミー以外からの資金集めの可能性、組織の法的なステータスの確保、資金のやりくりにおけるポリシー、明確なビジョンなど)、若手アカデミーから社会への発信における、科学の信用とメディア(若手アカデミーとメディアの連結、多くの人に知ってもらう努力、メディアとの対話の練習、youtubeの利用、政策者との繋がり)の重要性などについて認識を深めた。(写真3)
最終日は、残念ながら参加できなかったものの、Da Nang Statementについて参加者で議論を深め、ドラフトの改稿を行った。現在も参加者全員で内容の見直しをしている段階であり、今後ある程度改稿を重ねたところで世界中の若手アカデミーに内容確認と加筆・承認を行ってもらうことで、世の中に発表する予定である。

次回開催予定
現時点で、次回第5回会議の開催予定は不定期のため未定


写真1 開会式の客席の様子
写真2 日本アカデミー間連携の発表質疑の様子
写真3 グループワークディスカッションの様子

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