日本学術会議は、わが国の人文・社会科学、自然科学全分野の科学者の意見をまとめ、国内外に対して発信する日本の代表機関です。

代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  

    (和文)   国際人類学民族科学連合 (IUAES) 第18回世界大会、及び人類学会世界協議会 (WCAA) 2018年代表者会議
    (英文)   The 18th World Congress, the International Union of Anthropological and Ethnological Sciences (IUAES), Florianopolis, preceded by the Biennial Meeting 2018 of the World Council of Anthropological Associations (WCAA)

  2. 会 期

    2018年7月13日~20日(8日間)

  3. 会議出席者名

    小泉潤二

  4. 会議開催地

    ブラジル連邦共和国 フロリアノポリス市(Florianopolis) サンタカタリナ連邦大学 (Universidade Federal de Santa Catarina)

  5. 参加状況  (参加国数、参加者数、日本人参加者)

    55か国 事前登録者3100名 参加者2100名以上 日本人参加者約40名

  6. 会議内容  
    • 日程及び会議の主な議題

      2018年7月13日-16日 人類学会世界協議会 (WCAA) 2018年代表者会議(the Biennial Meeting 2018 of the World Council of Anthropological Associations) 2018年7月16日-20日 国際人類学民族科学連合 (IUAES) 第18回世界大会(The 18th World Congress, the International Union of Anthropological and Ethnological Sciences (IUAES), Florianopolis)

    • 会議における審議内容・成果

      主要審議事項と決定事項は以下の通り:
      WCAA新役員の選出。IUAESコミッション会議議長・副議長(ともにIUAES役員)の選出。5年後の第19回IUAES世界大会開催地(インド)の決定とその主催者のIUAES副会長への選出。これらによる、IUAESの全ての新役員の決定。IUAES2017年度会計報告。4名の新規名誉会員の決定と、9名への特別功労賞の授与。IUAES新コミッションの承認。IUAESとWCAAを二院とする新組織WAU(世界人類学連合)発足の報告。WAU運営委員会メンバーの決定。WAUロゴの決定。WAUウェブサイト構築の決定。その他。

    • 会議において日本が果たした役割

      IUAES事務総長の小泉は、IUAESとWAUにおけるほぼすべての会議において議題を整理・決定し、会議の当日は議長あるいは共同議長となった。また小泉はIUAES新会長に選出されて本世界大会の終了と同時に就任し、翌日にはWAU共同議長に選ばれた。日本学術会議の窪田幸子会員も、IUAESの執行委員会(12名)とWCAAの組織委員会(10名)に加わっている。

    • その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)

      IUAES(国際人類学民族科学連合)とWCAA(人類学会世界協議会)は、統合して二院制のWAU(世界人類学連合 World Anthropological Union)を結成することを、2017年の投票で決定した。今回のIUAES 第18回世界大会と、WCAA 2018年代表者会議は、WAUの発足を記すものであり、WAUとIUAESとWCAAの今後の活動を決定するきわめて重要な大会になった。本世界大会には、大会以前から全世界の人類学者・人類学会から強い関心が寄せられ、世界の人類学が一体となった今後の活動や可能性に対する期待が高まっている。



会議の模様

国際人類学民族科学連合 (IUAES) 第18回世界大会と人類学会世界協議会 (WCAA) 2018年代表者会議が、ブラジル・フロリアノポリス市のサンタカタリナ連邦大学で開催された。7月13日から16日には、WCAA 2018年代表者会議とシンポジウムが開かれた。WCAAは2004年に設立された人類学会のネットワーク組織であり、設立には全世界から14学会が参加し、現在は53学会が加盟している。2年に一度、加盟学会の会長等を集めてWCAA代表者会議を開催し、活動報告を行い、活動計画を決定し、役員を選考する。7月14日にWCAA新役員を決定する選挙が行われ、議長はチャンダナ・マトゥール(アイルランド)から副議長のカルメン・シルヴィア・デ・モラエス・リアル(ブラジル)に交代し、2年後の議長としての新副議長には、アイザーク・ニャモンゴ(ケニヤ)が選ばれた。この後7月15日-16 日には、WCAAのシンポジウム「人類学実践の世界調査」が開催された。これはWCAAがウェンナー・グレン財団の支援を受けて実施した全世界でのアンケート調査(GSAP ? Global Survey of Anthropological Practice)に基づいて、世界各国での人類学的研究・教育その他の活動や状況について比較報告と討論が行われたものである。

7月16日から20日にはIUAES第18回世界大会が開かれた。16日午後の開会式では、大会組織委員長ミリアム・ピラル・グロシに続いて、IUAES会長フェイ・ハリソン、IUAES事務総長小泉などが開会のスピーチを行った。本世界大会の事前登録者は3100名であったが、旅費やビザの問題から参加不可能となった人を除き、55か国の2100名以上が参加した。キーノートレクチャーとしては、グスタボ・リンス・ヒベイロの「今日の人類学――不確実性とユートピア」、アミタ・バヴィスカルの「人類世における人類学――不安定な世界を理解する」など、4本の講演があった。173のオープンパネルと27のクローズドパネルが開かれ、1000件以上の発表が行われたほか、数十件のシンポジウム、全体セッション、ワークショップが組織された。本世界大会の全体テーマは「出会いに満ちた世界と世界の出会い――人類学知の過去・現在・未来 (World (of) Encounters: the Past, Present and Future of Anthropological Knowledge)」であり、このテーマのもとで、環境、災害、食料、都市、先住民、人種、差別、女性、文化遺産、博物館、芸術、移民、紛争、人権、観光、スポーツ、医療・健康、高齢化、宗教、科学、ビジネス、学術政策、人類学研究など、きわめて広範で多彩なトピックについて、基礎研究と実践活動の両面から議論された。民族誌映画の上映、写真展、出版記念セミナーなども数多く、自然環境や歴史資料から宗教活動まで対象とする各種の学術的フィールドトリップが、事前登録制で毎日用意された。レセプション、夕食会、音楽・舞踊など社交的イベントもきわめて充実していた。

会期前後の期間を含めて、IUAES役員会、IUAESコミッション協議会、IUAES総会、IUAES/WCAA合同役員会などが数多く開かれた。またIUAESとWCAAが合併し、二院制の新組織WAU(World Anthropological Union世界人類学連合)が成立したことを受けて、WAU総会とWAU運営委員会も開催された。これらのほぼすべての会議において、小泉はIUAES事務総長として議長または共同議長を務め、議題整理と議事進行を行った。最も重要な審議決定事項は、IUAES新役員とWAUの新役員の選出である。IUAES新会長には小泉、IUAES新事務総長にはノエル・サラザール(ベルギー)が選ばれた。WAU共同議長にはIUAESの小泉会長とWCAAのリアル議長(ブラジル)が選ばれた。日本学術会議の窪田幸子会員もIUAES役員に選出された。また、2023年の第19回世界大会の開催地として、総会での会員投票によりインドのブヴァネーシュヴァル市が選ばれた。次回大会のテーマは「公共の場の人類学――グローバルな平和と発展(Anthropology in Public Sphere: Global Peace and Development)」である。このほかの議事として、4名が名誉会員に選ばれ、9名に特別功労賞が授与された。また来年2019年8月にポーランドのポズナン市で開催される、IUAES中間会議「世界の連帯(World Solidarities)」のプレゼンテーションが行われた。

全世界の50以上の人類学会が加盟する会長のネットワークとしてのWCAAと、約90か国から数千人の個人が加入し毎年国際会議を世界各地で開くIUAESとが一体となってWAUが発足し、本世界大会がたいへん大きな成功を収めたことにより、IUAESとWCAAの二院の協力関係に基づくWAUの活動の方向性が定まった。主要学会・財団の会長・元会長が数多く集まり議論が進んだことにより、国際的な連携によるプロジェクトへの取り組みやグローバルな協力による事業案が増加している。人類学は、もともと「人」の問題に関するきわめて多様な主題を扱ってきたが、このような多様性への志向はさらに強まった。そうした中で、基礎研究ばかりでなく地球環境、グローバル紛争、移民、差別、先住民、知的所有権また世界各地の人類学実践など、実践的課題の重要性が増しており、現代世界で人類学がどのような役割を果たすべきかについての意識が高まっている。


世界大会開会式会場 世界大会開会式 シンポジウム 7月18日
大会組織委員長ミリアム・ピラル・グロシ 世界大会開会式 小泉スピーチ グスタボ・リンス・ヒベイロ
IUAES会長フェイ・ハリソン、
IUAES事務総長小泉
WAU総会後の世界大会閉会式
リアルWCAA次期議長・小泉IUAES次期会長
7月20日


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