日本学術会議は、わが国の人文・社会科学、自然科学全分野の科学者の意見をまとめ、国内外に対して発信する日本の代表機関です。

代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  

    (和文)   第9回国際古地震・活構造・考古地震学会議
    (英文)   9th International PATA (Paleoseismology, Active Tectonics and Archeoseismology) Days

  2. 会 期

    2018年 6月24日~29日(6日間)

  3. 会議出席者名

    奥村 晃史

  4. 会議開催地

    ギリシア・ポシディ

  5. 参加状況  (参加国数、参加者数、日本人参加者)

    25か国、約140名、日本人4名

  6. 会議内容  
    • 日程及び会議の主な議題

      6月24日:野外見学会(テッサロニキからポシディへの移動途上)
      6月25日~27日:シンポジウム
      6月28日:学生・若手研究者向けスクール
      6月29日:野外見学会(ポシディからテッサロニキへの移動途上)

    • 会議における審議内容・成果

      古地震・活構造・考古地震学および津波研究における最新の成果を各国の研究者が報告して議論を行った。その成果は、各国での地震・津波被害軽減施策に活用される。また、将来進めるべき研究についても議論を行った。

    • 会議において日本が果たした役割

      奥村晃史が日本の活断層古地震研究と災害施策について基調講演を行った。吾妻崇(産業技術総合研究所)は2016年熊本地震の研究について報告するとともに、INQUA TERPRO (Terrestrial Processes) Commission の副委員長として、Commissionの今後の活動方針についての議論をリードした。



会議の模様

6月24日:野外見学会(テッサロニキからポシディへの移動途上)。朝テッサロニキ市の中心に集合して、バスにのって同市東南部の地質と活構造、過去の地震の痕跡について、テッサロニキ・アリストテレス大学のスリデス教授から説明を受け参加者全員で議論をした。特に、カッサンドラ半島南部の最近の隆起を示す地層の認定とその解釈について、および、ヘロドトスの『歴史』に記された、紀元479年にペルシア船隊をおそった津波の地形・地質学的検討について熱心な議論が交わされた。

6月25日、Possidi Holiday Resortでのシンポジウム初日は、アメリカ合衆国、カリフォルニアとニューメキシコの古地震研究についての最新の成果、およびオランダでの古地震記録、2017年ギリシア・レスボス島地震の地盤と被害についての基調講演が行われた。その後、チリとヨーロッパ、オーストラリアの地震と海岸隆起についての新知見の報告と、2009年サモア諸島地震の地殻変動を分析した基調講演が行われた。いずれの講演・報告に関しても多くの質問や議論が行われて発表者・聴講者ともに多くの情報を共有し改善していくことができた。夕刻からは、近くのテッサロニキ・アリストテレス大学の臨海学舎でポスターセッションとエーゲ海東南部の地震活動に関わる基調講演があった。

6月26日、Possidi Holiday Resortでのシンポジウム二日目は主にギリシアの研究者によるギリシア本土とエーゲ海地域での地震・地殻変動・津波研究の成果が報告された。特に基調講演では、エーゲ海の最新の海洋地質調査に基づく海底活断層の詳細マッピングとテクトニクスの研究が充実した内容と多くの新知見で参加者の興味を惹いた。この日は、終日季節外れの土砂降りの大雨と雷雨で会場周辺では洪水被害も発生した。テッサロニキ・アリストテレス大学の臨海学舎は野外活動用の施設で、ポスター会場は水没、基調講演の円形劇場は雨で使えず、この日の夕方から夜のプログラムはすべて中止され、翌日に延期された。

6月27日、Possidi Holiday Resortでのシンポジウム三日目は、ニュージーランド2016年地震、クロアチア、チェコ、メキシコ、イラン当世界各国の最近の地震について最新のテクニックを適用したホットな研究成果が注目された。奥村晃史による日本の活断層古地震研究とその災害対策への活用状況の報告は、最近の日本の地震・津波被害とそれを防げなかった研究の問題点を報告して、聴衆に災害軽減についての研究と社会施策の方向を提案した。テッサロニキ・アリストテレス大学パブリデス教授のギリシア活断層データベースについての基調講演はギリシアにおける活断層古地震研究の最先端を参加者に強く訴えた。その後も、バルト海周辺地域の大陸氷床形成期と消滅期の氷床荷重変化に伴う地震や、最近の韓国と中国の地震についての報告が続いた。シンポジウムの後は、INQUA Internationsl Focus Group EGSHaz (Earthquake Geology and Seismic Hazards) のビジネスミーティングが開催され、2019年INQUA ダブリン大会に向けたグループの活動について報告と検討が行われた、2019年に予定されているINQUA Internationalまた、2019年イスラエル、2020年チリでの第10回と第11回国際古地震・活構造・考古地震学会議の準備状況と開催計画についての報告も行われた。夕刻からは、テッサロニキ・アリストテレス大学の臨海学舎で2日分のポスターセッションが行われ、熱心な議論が繰り広げられた。その後行われた優秀若手発表賞の発表では、日本から参加した高橋直也(東北大学)のポスターが第3位に選ばれて表彰を受けた。

6月28日の学生・若手研究者向けスクールには、ギリシアを中心とする40名余りが参加し、午前8時から午後8時まで、世界とギリシアの研究をリードする9人の講師からレクチャーを聴講し議論を行った。熱心な講師と参加者は予定終了時刻の午後6時を2時間過ぎるまで講演と議論を続けた。講師と演題は以下のとおり。

Klaus Reicherter (Germany) Tsunamis in the geological record
Thomas Rockwell (USA) Active strike-slip fault systems
James McCalpin (USA) Use of paleoseismology in seismic hazard assessment
Shmuel Marco (Israel) Archeoseismology
Manuel Sintubin (Belgium) Seismic risk communication
Ioannis Papanikolaou (Greece) Seismic landscape, extraction of slip-rates and fault specific seismic hazard assessment
Spyros Pavlides (Greece) Active faulting in multi-fractured seismogenic areas
George Syrides (Greece) Sea level change indicators: basic principles and examples

6月29日:野外見学会(ポシディからテッサロニキへの移動途上)。朝ポシディを出発するバスに50人が乗り、カッサンドラ半島北西の地質・活構造、1932年地震と1978年地震の断層と被災域、Athos半島基部にペルシア王クセルクセスが建造させた運河の地球物理・地質学探査について説明を受けて検討を加えた。夕刻テッサロニキ市内で解散して研究会のプログラムを終了した。

次回開催予定 2019年 9月下旬 イスラエルで開催。テーマは地中海の津波、死海地溝の歴史時代の地震、死海地溝の湖成堆積物(リサン層)に記録された古地震の解読等。


テッサロニキ・アリストテレス大学臨海学舎の円形劇場で
開かれた閉会式に集まった参加者
ペルシア戦争時にクセルクセスが建造した
運河の地球物理探査と地質調査の結果を
説明するシュリデス教授と聴衆


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