日本学術会議は、わが国の人文・社会科学、自然科学全分野の科学者の意見をまとめ、国内外に対して発信する日本の代表機関です。

代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  

    (和文)   第28回国際地図学会議及び第17回国際地図学協会(臨時)総会
    (英文)   The 28th International Cartographic Conference (ICC), and the 17th (extraordinary) General Assembly of the International Cartographic Association

  2. 会 期

    平成29年7月2日~平成29年7月7日まで(6日間)

  3. 会議出席者名

    森田喬、若林芳樹、有川正俊、政春尋志、小荒井衛、矢野桂司、小泉諒、久木元美琴、高橋成雄、大西宏治、田部俊充、桐村喬、田中雅大、宇根寛、中埜貴元、塚田野野子、坂本圭、太田守重

  4. 会議開催地

    米国ワシントンD.C.市

  5. 参加状況  (参加国数、参加者数、日本人参加者)

    参加国数:59か国、参加者数:約900名、日本人参加者:26名

  6. 会議内容  

    国際地図学会議(ICC)は国際地図学協会(ICA:ICSU加盟の31国際科学団体の一つ)が隔年に行う地図に関する国際会議である。2年ごとに学術会議、4年ごとに総会を学術会議と同時に開催する。今回は総会のない国際会議のみの年であったが臨時総会を行い、運営強化のための定款及び規則の変更を行った。また、開催場所が首都ワシントンD.C.であり、会期が4日の米国独立記念日を間に挟んで展開された。会場は、郊外のマリオット・ホテルの会議・展示施設であった。

    今回は現代が抱える課題の多様性をそのまま示すということで統一テーマを敢えて設けず、6日間にわたり40のテーマのもとに約160のセッションに分かれて口頭発表が行われ、更にポスターセッションが半日を単位として6セッション行われた。
    関心の高いテーマについては複数のセッションが割り当てられるので、セッション数により人気分野を挙げる(括弧内の数字はセッション数)と、SDI and Standards (10), Visual Analytics (8), GI for Sustainability (7), Cognitive Issues in Geographic Information Visualization (6), Education and Training (6), Open Source Geospatial Technologies (6), Use, User and Usability Issues (6) の7分野であり、 2年前のリオ大会と比べると、デジタル情報整備に必要な標準化や世界的課題である持続可能性への対応についてのテーマが大きく取り上げられるようになっている。地図・空間認識、地図利用、空間分析手法、視覚化、教育、オープンソース・参加型地図作成などは継続して盛んな分野である。
    今後の新しい動きとしては、Critical cartography という概念が立ちあがってきており、インフラとしての空間情報構築から一歩進んでそれらの社会的影響・紛争にまで言及しつつその効用を議論することが提案されており、国際的・歴史的な議論には欠かすことの出来ない視点となろう。
    基調講演は、(1)グランドキャニオン国立公園の地図化 (2)国家地理空間情報機関における地図化技術の現状 (3)米国外交政策を支援する地図 (4)70億(世界人口)のカートグラファー、が政府関係者およびオープンデータ推進者により行われた。
    なお、会議4日前の6月28日(水)より12のコミッション集会がプレ・コンファレンス会議として行われた。日本主宰のユビキタスマッピングのコミッションも、米国主宰の地図とインターネット、英国主宰の教育とトレーニングと共同でワークショップをWilliam and Mary University in Williamsburgにおいて開催し20名の参加者があった。

    会期中、会場展示ホールにおいてこの会議の大きな特徴である国際地図展(31カ国、475点)、国際子供地図展(34カ国、193点)、機関・企業展示ブース(24箇所)が併設・展示された。地図展に対しては審査委員会による入賞作品の選定が行われるが、子供地図展の9~12歳の部門で日本の出展作品が2位に入賞した。
    なお、10-20年前までは、計測・作図・デジタル処理・表現用の各種機器による技術展示が盛んであったが、近年出展数が大幅に縮小傾向にあり、今大会においてはむしろ出版や組織の広報関係を中心に展示がなされた。

    また、技術巡検として米国地質調査所(USGS), 米国議会図書館(LC), ナショナルジオグラフィック, フェアファックス郡GIS・地図局, スミソニアン機構(国立先住民博物館・国立自然史博物館), ESRI研究開発センター, 米国海洋大気庁(NOAA)の7箇所へバスツアーが実施された。
    社交行事としてはガラディナが市内のバーベキューハウスでテキサスバーベキュ(スモーキー風味)により行われた。また、次回開催地である日本のICC2019東京大会組織委員会により会場のマリオット・ホテルのロビーで各国代表を招いてレセプションを行い寿司、日本酒によるもてなしが好評であった。

    当該分野の一大先進国である米国で開催される大会であり、新機軸の発表による刺激を期待していたが特に目立ったものはなく重要な課題も既視感があり、これらの情報は現在においてはデジタルメディアを通じて日常的に公表されていることが改めて認識された。しかし、多数の研究発表を凝縮して聞くことにより現在における研究動向をパノラマ的に把握でき、さらに各国の研究者と交流することにより自己の位置づけを考える良い機会となっていることは参加人数が安定していることからも再確認できる。
    なお、今大会は印刷されたプログラム冊子を除いて情報提供は全てWebページもしくはアプリをダウンロードすることにより提供された。慣れれば情報を効率よく検索できるが、一方慣れるまでに時間を要し、また一覧性には欠けるため全体像を把握するにはやや困難が生じたので、次回の東京大会においては何らかの工夫が必要となろう。


    次回開催予定:
     第29回国際地図学会議(ICC2019)および第18回国際地図学協会総会が2019年7月15日~20日に東京の日本科学未来館において開催される。





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