代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  

    (和文)   第15回 国際科学哲学・方法・論理会議
    (英文)   The 15th Congress on Logic, Methodology, and Philosophy of Science (CLMPS)

  2. 会 期
      平成27年8月3日~8日(6日間)
  3. 会議出席者名
      伊勢田哲治(IUHPST 分科会委員)
  4. 会議開催地
      フィンランド国ヘルシンキ市
  5. 参加状況  (参加国数、参加者数、日本人参加者)
      参加国数: 55か国、参加者数:約 700名、
      日本人参加者:飯田隆 中山康雄 松王政浩 など約20名
  6. 会議内容  

    国際科学哲学・方法・論理会議(CLMPS)は、科学史・科学哲学国際連合(IUHPS)を構成する2つの団体の1つ、科学哲学・方法・論理部門(DLMPS)が4年に1回開催しているものであるが、今回はヘルシンキ大学を会場として6日間にわたって開催された。

    今回のCLMPSの統一テーマは「諸モデルとモデリング」であり、このテーマに合わせて6件の基調講演が行われたほか、本会がカバーする領域を細分した17分科会(論理学4分科会、一般科学哲学5分科会、個別科学の哲学8分科会)のそれぞれにおける招待講演が開催され、一般応募発表も600件以上行われた。また、DLMPSの各種委員会主催のセッションも開催された。並行セッションの数も多く、報告者はその一部にしか参加できなかったが、どのセッションにおいても白熱の議論が交わされていた。

    会議三日目に行われた総会では大きな決定として本団体の名称の変更が行われた。姉妹団体であるDHSTは数年前に技術史も対象分野であることを明示するために名称をDHS (Division of History of Science) からDHST(Division of History of Science and Technology)に変更した。DLMPSも技術の哲学を扱わないわけではない以上、名称をDLMPST (Division of Logic, Methodology, Philosophy of Science and Technology)に変更するべきではないか、という動議は4年前のナンシーでの大会の際にすでに出されていたが、慎重を期して今回の大会まで決議が持ち越されていた。さらに、IUHPSを構成する2つの団体がともに名称変更したことで、IUHPSもIUHPST (International Union for History and Philosophy of Science and Technology)に名称変更することが承認された。また、IUHPSの運営については、長らく規約が失われていたために慣行に基づく運営がされていたが、このほど設立時の規約が発見され、それを現状にあわせて手直しする形で規約の改訂が承認された。

    もう一つ総会の大きな決定事項として、次回の開催地の決定があった。候補としてはモントリオールとプラハが名乗りをあげており、それぞれが総会の場で非常に準備の行き届いたプレゼンテーションを行った。投票の結果、わずかな差でプラハが次回の開催地に選ばれた。

    今回のCLMPSは論理学コロキアムと同時開催という形をとり、基調講演のいくつかも両学会の共催という形になっていた。論理学コロキアムはヨーロッパで年一回開催されている論理学に限定した国際学会で、日本からの参加者も多い。論理学と科学哲学はそれぞれに専門化がすすみ、分野間の交流は難しくなりつつあるが、今回は相互に発表者が行き来するなどかなりの交流も行われ、成功であったと思われる。

    報告者は、今回のCLMPSのプログラム委員として、プログラムの大枠の決定、基調講演と招待講演の人選、発表の審査などに関わった。その中で強い印象を受けたのは、本団体が多様性を重視し、すこしでも多様な地域からの参加者を増やそうと心がけているという点であった。科学哲学はまだまだ欧米が研究の中心であり、アジアの研究者はそれほど大きな業績を挙げているとはいえない。今回日本からの発表者は20名ほどで、他のアジア諸国はさらに少なかった。しかし、科学哲学という分野が興隆していくためにさまざまな視点を取り入れていく必要があることは言うまでもなく、そのためにはCLMPSが交流のプラットフォームとしてますます盛んに開催されていくことが重要であろう。

    次回開催予定 2019年 チェコ共和国 プラハ カレル大学



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