代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  

    (和文)   アジア科学アカデミー・科学協会連合(AASSA)理事会等
    (英文)   AASSA-KAST Regional Workshop & AASSA Executive Board Meeting

  2. 会 期

    令和元年 9月23日~令和元年 9月25日(3日間)

  3. 会議出席者名

    吉野博

  4. 会議開催地

    大韓民国・ソウル市

  5. 会議内容
    1. はじめに

       2019年9月23日~25日に韓国ソウルで開催されたAASSA-KAS 地域ワークショプ、並びに並行して開催されたAASSA 理事会に参加したので、以下に報告する。25日はテクニカルツアーであったが、ソウルで開催されているISO会議(9月23日から27日)に参加するために、テクニカルツアーには参加しなかった。

    2. AASSA理事会
      9月23日の午後4:00-6:00に予定され開催されたが、議事が終了しなかったため、24日午前10:30-1200に審議を継続した。以下に、議事次第に従って報告する。

      参加者
      Board Members
      1) Yoo-Hang Kim (Korea), President
      2) Khairul Anuar Bin Abdulah (Malysia), President-Elec
      3) Satryo Brodjonegoro (Indonesia), Vice President
      4) Zabta Khan Shinwari (Pakistan), Treasurer
      5) Cheryl E. Praeger (Australia), Member-at-Large
      6) Hiroshi Yoshino (Japan), Member-at-Large
      7) Ahmet Nuri Yurdusev (Turkey), Member-at-Large
      8) Viktor Bagatov (Russia), Member-at-Large
      Absent member
      1) Quazi Abdul Fattah, Member-at-Large
      Observers
      1) Finarya Legoh, Indonesian Academy of Sciences
      2) Valentin Sergienko, Far Eastern Branch of Russian Academy of Sciences
      3) Marina Shtets, Far Eastern Branch of Russian Academy of Sciences
      AASSA Secretariat
      1) Mooha Lee, Director
      2) Jung Ah Choi, Staff

      (1) 前回の議事の確認
        2018年10月30日、タイのバンコクで開催された理事会の議事録が確認された。当日、欠席者に対しては、理事会の開催後、議事録を送り了承を得たことが報告された。
      (2) 通信審議の報告
        a) AASSA事務局長(Mooha Lee)の指名の承認
        b) AASSAによるインド開催のワークショプの支援の承認
        c) SHARE委員会の委員会の指名の承認
        d) 新特別員会の設置と委員長の指名の承認
      (3) 新特別委員会の設立、委員長、委員構成
        a) 持続可能委員会 (Sustainability Committee)
          委員長:Prof.Khairul Anuar Bin Abdullal (Malaysia)
          President-elect of AASSA / Vice-Chancellor of Mahsa University
        b) 科学教育委員会 (Science Education Committee)
          委員長:Prof. Mooha Lee (Korea)
          Director of the Secretariat, AASSA / Ex-officio member of IAP’s
          Science Education Program
        c) SHARE (Science, Health, Agriculture, Risk and Environment) 委員会
          委員長:Prof. Manoz Kumar Patairiya (India)
          Director of Council of Scientific Industrial Research-National Institute
          of Scientific Communication and Information Resources
      (4) AASSA活動(2018年10月~2019年9月)の報告
        主要な点は以下の通り。
        1) “Profiles of Women Scientists in Asia Their inspirational stories”の印刷
        2) WSをインド、スリランカ、パキスタン、ソウルで開催
        3) AASSA President’s Young Scientists Award
          2017年 1名、2018年 7名、2019年 7名
      (5) 財務報告 ※すべてUSドル
        1) 前年の残:約22,500,000円、当該年の収入:約40,970,000円(IAPからの補助が約8,100,000円)、
          支出:約38,400,000円、残余:約25,000,000円 
        2) 二つの組織が合体したときに繰り越された金額を明確にしておくべきである。
        3) 日本からは約150万円の支払い、免除されている国は、11か国。
      (6) ConstitutionとBylawsに関連する議論
        a) 理事の空席をどのような方法で埋めるかについて議論した。結果的にメンバーアカデミーから候補者を募り、メールにより投票することになった。
        b) Constitutionsに関するMahindapala氏の意見に対する事務局としての見解が説明され承認された。
      (7) メンバーシップに関する事項
        a) メンバーシップの地位の変更
          The Royal Scientific Society of Jordanは、現在、Associate memberになっているが、同じような立場にあるThe Science Society of Thailandが
          Memberになっていることから、前者もMemberに格上げすることが決まった。
        b) 新メンバーのリクルート
          西アジア、東南アジア、アセアニアの国々に働きかけること
          これに関連して、UN Technology Bank for the Least Developed Countries (TBLDGs) がこれらの国々に関して関心を示し、AASSAにはTBLDGsの
          活動に参加することを要請した。Sub-regional consultation meetingsは2019年11月に開催される。
          *Least Developed Countries後発開発途上国
          アフガニスタン、イエメン、カンボジア、ネパール、バングラデシュ、東ティモール、ブータン、ミャンマー、ラオス
          Schedule of consultationsには、Champion countriesの一つに日本が入っており、SCJが役割を担うことができないかとの呼びかけがあったが、
          内部で検討すると答えた。その後、会長からは、最後にTBLDGsの方に連絡し、Consultationsに関する詳しい情報をもらうようにするとのことで、
          その後で、改めて吉野の方に連絡が来ることになった。
        c) 活発でないメンバーに対する対応
          これまで地域WSを開催しなかった国は、アフガニスタン、グルジア、イラン、ヨルダン、カザフスタン、ニュージーランド、シンガポール、
          ウズベキスタン、ベトナム。理由は、資金、人的資源、関心がない、政治的に不安定
      (8)2020-2021の活動計画
        a) IAPからの予算の減がある(110,000USDから65,000USD)
          毎年、4-6のWSをIAPの支援によって開催してきたが、来年は3回のみとなる。その代りAASSAが一つ以上のWSの支援は可能である。
        b) Member主体の活動
          これまでは、メンバーアカデミーにワークショップのホストを依頼した。毎年、メンバーから4-6の提案企画を受け、理事会で4つに絞った。
          また、AASSAは、各国のメンバーアカデミーに、IAP支援プロジェクトに直接、応募することを進めている。一例は、Austrian Academyが主宰した
          ”Profiles of Women Scientists in Asia”である。
           これまでは、うまくいっていたが、最近は、地域的な問題に偏ったテーマになり、そして社会的な不安定なことが原因で参加者数が少ない。
          また、大陸にまたがった政治的な協力の枠組み (Lack of continent-wide political coordinative framework) が欠如しているために、他の
          地域ネットワークと比較してAASSAの活動が目立たなくなっている。
           従って、今後の活動を選択する際には、幅広く地域のバランスを考慮する必要がある。
        c) 委員会主導の活動
          AASSAの活動、地域WSは、知識、専門的技術、経験の共有や普及を通してアジアにおける持続可能な発展を支援することであると、
          外部からは見られている。同時に、政策的助言、即ち具体的なインパクトのある勧告、決議、出版などを通した政策的観点 (policy-making aspect)
          に焦点を当てることが望ましいということを指摘している。メンバーアカデミーによる通常のAASSAワークショップはこの点で限界がある。
          おそらく、特別な課題について選考された専門家の構成による委員会主導の活動は、この目的のためにはより適切であろう。
        d) IAPの新プロジェクト
          IAPは、FNSAの成功を踏まえて、”Climate Change and Health”に関するもう一つのグローバルプロジェクトの立ち上げを計画している。
          *FNSA:Food and Nutrition Security and Agriculture in Asiaに関するプロジェクトで2冊のレポートを出版
          うまくいけば、2019年11月4-5日にドイツのハーレでキックオフミーティングを開催する。副会長 (President-elec) のAbdullah教授がAASSA
          の代表として参加。
      (9)2019-2021戦略的目的・実行計画
         IAPは、「2019-2021の戦略的目的と優先順位」と「2019-2021実行計画」を作成した。IAPは4つの地域ネットワークに地域版を作成することを求め、
         事務局はドラフトをまとめた
         理事会では、その資料を逐一審議し、改訂した。その結果は、後で送付される。
      (10)次回の理事会など
        a) 次回の理事会は未定
        b) 2020-2021のWSの企画については、追って応募する。
        c) IAP Climate and healthのプロジェクトに関しては、専門委員の依頼を連絡する。
        d) ニュースレターの発行
          発行することで合意。年2回。活動計画、委員会の活動報告、各アカデミーの紹介など。
          編集委員会:委員長:Abdullah、委員:吉野、Shinwari、Praeger
        e) AASSA Prizeの設置
          ロシアから提案があったが、会長からは否定的で見送り。

    3. 地域ワークショップ

      会議のテーマは、「持続可能な農業のために作物バイオテクノロジー」ということで、バイオテクノロジーによる品種改良を通した穀物の生産性の向上、品質の向上について議論された。特に、遺伝子編集によるポテトの品質の向上に関して多くの発表があった。参加者は、約50人。概要は以下の通り。
      初日(2019年9月23日)
      (1) 開会式
        a) 開会の挨拶:Sang-Soo Kwak (Chair, Organizing Committee)
          アジアの人口増大、気候変動の影響の増大、などを受けてSDGsが公表された。多くの課題があるなかで、今回は農業改革について
          取り上げた。成功を願う。
        b) 歓迎の挨拶:Min-Koo Han (President, KAST)
          今回は韓国で開催。このようなAASSAの活動の積み重ねが、小さなステップではあるが重要である。
        c) 歓迎の挨拶:Yoo Hang Kim (Presindet , AASSA)
          今回のテーマはSDGsの一つ。農業における新しい技術開発としてのバイオテクノロジーを取り上げた。関係者に感謝。
      (2) セッション1:Keynote Session
        Hyun Jin Park (Korea University):アジアにおける食糧・栄養安全と農業に関する機会と挑戦
        レポート(Opportunities and challenges for research on food and nutrition security and agriculture in Asia)の紹介
      (3) セッション2:Plant Science
        4題の発表
      (4) セッション3:Crop Biotechnology 1
        大阪大学の村中俊哉教授が司会の一人
        4題の発表。村中教授も、「社会実装とポテトのゲノム編集の社会実装と将来」という題で発表。

      二日目(2019年9月24日)
      (5) セッション4:National Reports on Crop Biotechnology
        5題の発表。発表者一人が欠席。
      (6) セッション5:Crop Biotechnology 2
        4題の発表
      (7) 閉会式
        セレモニーらしい儀式はなく。簡単に会長がコメント。




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