代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  

    (和文)   第33回国際生物科学連合(IUBS)総会
    (英文)   The 33th IUBS General Assembly (IUBS, International Union of Biological Sciences)

  2. 会 期

    令和元年7月29日~8月2日(5日間)

  3. 会議出席者名

    西田治文、村上哲明

  4. 会議開催地

    オスロ(ノルウェー)

  5. 参加状況  (参加国数 14か国(国代表のみ)参加者数 116名、日本人参加者 5名)
  6. 会議内容  
    • 日程及び会議の主な議題

      7/29 会議前日:西田はFinancial ad hoc committee委員と2つのRound tableの共同議長を依頼されたため、その事前打合せを行った。村上は役員候補としての打合せを行った。
      7/30 第一日:午前 開会式及びPlenary Session 武田会長による挨拶、会務報告など。
               午後 公開基調講演 挨拶2件、講演12件 19:00終了
               終了後会場において晩餐会
      7/31 第二日: 午前 公開基調講演 並行セッション6件の紹介
               午後 2部屋に別れて並行セッション
               1) "Science Forum, dialogue between science and policy"
               2) "Nomenclature and Taxonomic List”
               Round table 1, “IUBS activities and how to enhance interactions between IUBS and its scientific members”
              18:00終了
      8/ 1 第三日:午前 2部屋に別れて並行セッション
               3) “Big Data”
               4) "Climate Change: Biological Consequences of Global Change with a focus on the Three Pole initiative (of China)
                 with iCCB, WCRP, WMO”
              午後 2部屋に別れて並行セッション
               5) "TROP-ICSU:Trans-disciplinary Research Pedagogy for Improving Climate Studies and Understanding"
               6) "Biological Consequences of Global Change”
              Round table 2, “What new initiatives IUBS can take up in the new century”
              18:00終了
              会議終了後、オスロ市庁舎において市長主催の招待レセプションが、ノーベル平和賞の授与されるホールで開催され、
              通常は非公開であるMunkの絵画“生命の樹”も参加者に公開された。
      8/ 2 第四日:午前  閉会式 ad hoc committee 報告(Credential; Statutes; 34th GA; Admissions; Finances; Scientific; Resolutions);
              選挙;Round table
              報告
              12:30終了

    • 会議における審議内容・成果

      IUBSの設立100周年にあたり、この国際団体が生物科学の方向づけと発展を地道に模索し、その社会的意義を常に主張してきたことがよく総括された。並行して進んだ生物科学の細分化に対して、IUBSの総合的視点は目立たないが不可欠なものであることを、Marvalee Wake元会長(アメリカ)が見事に示した。IUBSの持ち味である総合力を継承しつつ、新たな100年に向けて方向づけすることが必要であり、参加団体による2つのラウンドテーブルにおいてこの点が議論された。報告者はWake氏とともに、このラウンドテーブルの議長を務めたが、時間の制限もあって明瞭な方向づけはまだ十分になされていない。
      Plenary Sessionは、開催国ノルウェー代表でIUBS前会長でもあるNils Chr. Stenseth氏の人脈が駆使され、多様な分野からの演者が登壇して大会の趣旨によく沿ったものとなった。科学プログラムの成果発表となるセッションでは、特に中国が主導したBCGCプログラムの成果と内容が充実していた。一方、新規プログラムの5提案は比較的内容が伴わず、採択は2件、1件が棄却、2件が再審査となったのは残念である。財政が逼迫するなかで、ノルウェーの努力によってコンパクトだが内容のある会議となった。
      前回総会以降の業務報告は適正なものであった。プログラム報告は全ての企画が順調な成果を示して今回で終了した。特に、中国が主導した温暖化に伴う生物の変化(BCGC)は報告セッションでも幅広い議論を導き、秀逸であった。
      最終日の総会では、今後3年の科学プログラムの審査結果が議論された。新規予算は、財政逼迫が続いているが、負担金の値上げなしで採択された。最後に新役員が選出され、日本から立候補した村上哲明がExecutive Memberに加わった。

    • 会議において日本が果たした役割

      日本は現在IUBSへの最大の資金拠出国であり、武田洋幸会長の就任後、それに見合った活動が十分に展開され、会議の内容も充実した。この100年間日本での総会開催は実現しなかったが、いよいよ開催への期待が高まり、日本もそれを看過できなくなった。村上IUBS分科会委員が新たに評議員に選任されたことで、次回総会の日本開催はもはや当然の責務のようにして総会において承認されることとなった。
      西田は現地到着後にFinancial ad hoc Committee 委員を委嘱され、会計報告の最終案を審議した。また、事前に依頼されていた2つのRound table meeting の座長をMarvalee Wake元IUBS会長と共に務めた。



会議の模様

日本は現在IUBSへの最大の資金拠出国であり、それに見合った活動を継続する必要がある。本総会において、これまで会長を務めていた武田洋幸、学術会議IUBS分科会委員が退任し、新たに村上哲明委員が評議員に選任された。さらに、次回総会開催国として日本が決まり、我国の果たすべき役割はさらに重みを増した。今後、IUBS分科会の承認を経て各方面への働きかけを進める必要がある。総会は伝統的に各国の科学アカデミーが協力している会議であるため、日本学術会議には積極的な支援を求めたい。

次回開催予定
2022年(令和4年 未定月:日本で開催の予定)



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