代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  

    (和文)   ゴールドシュミット会議2017
    (英文)   Goldschmidt Conference 2017

  2. 会 期

    平成29年8月13日から8月18日まで(6日間)

  3. 会議出席者名

    圦本尚義・吉田尚弘・川幡穂高など

  4. 会議開催地

    フランス共和国パリ市

  5. 参加状況  (参加国数、参加者数、日本人参加者)

    参加国数:85カ国、参加者数:約4629名、日本人参加者:170名

  6. 会議内容  
    • 日程及び会議の主な議題

      8月12日:午前8時からGeochemical SocietyとEuropean Association of Geochemistryがそれぞれに役員会を開催。午後は両学会合同の役員会。

      8月13~18日:学術セッションが行われた。太陽系形成、惑星地球の進化、生命地球化学、環境化学、海洋化学、資源科学など地球惑星化学分野全体がテーマである。

      会期前後・初日や昼休憩時間には、ワークショップが開催された。これらのワークショップは国際研究グループによる情報交換や研究上の技術支援等の他に、研究費獲得や科学分野におけるダイバーシティーの問題等、研究を取り巻く社会状況に関する課題も多くあった。

    • 会議における審議内容・成果

      学術講演登録数は4538件であった。事前登録者数に会場での登録者数を合わせると4300件以上の講演が実際に行われたと推定される。この数字はこの会議の歴史上、最高であった。この会議では、初期太陽系・惑星地球・地球内部・地球表層環境・有機物など23のテーマのもと、約200のセッションに分かれて口頭とポスターとで発表が行われた。最も講演数が多いセッションは汚染物質に関するもので、次いで環境や海洋などであり、地球表層環境分野の研究者が多いことを反映している。また、初期太陽系や惑星地球や初期生命のなどの基礎科学分野や金属資源や気候変動など今日の人類にとっての喫緊の話題も多く取り上げられており、この分野の裾野の広さと社会貢献について再認識した。

      プレナリーセッションでは、授賞式が行われた。日本人としては、大谷英治教授(東北大学)がEAGから長年にわたって卓越した地球化学の研究を行ってきた人に与えられるユーリ賞が授与された。また、日本地球化学会が刊行している学術雑誌Geochemical Journalの前年の最優秀論文に与えられるGeochemical Journal 賞が玄田英典博士(東京工業大学)に授与された。受賞式後にはプレナリー講演者の講演が行われた。15日にはキュリー夫妻の孫娘であるエレーヌ・ランジュバン・ジョリオ博士がマリー・キュリーの足跡について講演を行ったが、1000人の会場の通路を埋め尽くす人の上に立ち見が出るほどの盛会であった。また、最終日のプレナリーセッションでは、日本人であるオノ・シュウヘイ博士(マサチューセッツ工科大学)が講演を行った。

      会期初日には会場でアイスブレーカーが、また、最終日前日にはセーヌ川でのクルーズディナーがバンケットとして開催され、研究者同士の進行の場となった。また、ルーブル美術館のナイトツアー等もお楽しみとしてあった。

    • 会議において日本が果たした役割

      多くの日本人参加者がセッションチェアーや若手研究者に対するメンター等のボランティアで積極的な活動を行っており、会議の学術的側面や運営を支援してきた。

      日本地球化学会はGSとEAGに続く第3極として、この国際会議開催に積極的に関わってきた。日本地球化学会のGeochemical Awardの授賞式を、毎年プレナリーセッションで行っているが、今年も初日に行った。また、受賞講演もたいへん好評であった。さらに、今回もブース展示を行い、日本に興味のある研究者への情報提供等などを行った。

    • その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)

      全参加者の約3割が女性であったと報告があった。運営委員会のメンバーであるGSとEAGの役員会の出席者は圧倒的に女性が多かった。女性の参加者数や会議運営の中核に占める女性の割合の高さは欧米であっても特別だと聞いたが、地球化学分野における女性の活躍が感じられた。

      また、学生や若手支援に手厚いのがこの会議の特色である。今回は旅費や登録費支援を69名(EAG支援分のみ、GS支援を除く)に対して行ったとの報告があった。



会議の模様

役員会では、受賞者の承認や今後の会議開催予定値の選定等が主な議題であった。また、会議の規模は年々拡大を続けているが拡大傾向がいつまでも続くわけでないこと、またパンデミックや政変などで会議開催ができない可能性など、大規模であるからこそ将来にわたって会議運営を楽観視できない状況があるという事情を共有し、今後の運営のあり方について、企画運営会社の見直しも含めて、役員会や運営委員会で活発な議論が行われた。

また、日本からGSの副会長候補推薦を提案されている。近いうちに判断すべき事柄である。


次回開催予定 2018年8月12~17日 ボストン

ランジュバン‐ジョリオ博士の講演 展示会場でランジュバン‐ジョリオ博士と筆者。
(後方に日本地球化学会ブース)
バンケットでの1 コマ。
大谷博士の授賞式
(Goldschmidt Archive からの引用)
玄田博士の授賞式
(Goldschmidt Archive からの引用)
ポスター会場の風景
(Goldschmidt Archive からの引用)
ポスター会場の風景
(Goldschmidt Archive からの引用)


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