代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  

    (和文)   2017 防災グローバル・プラットフォーム会議
    (英文)   2017 Global Platform for Disaster Risk Reduction

  2. 会 期

    平成29年5月22日~26日(5日間)

  3. 会議出席者名

    西川 智

  4. 会議開催地

    メキシコ国 カンクン市

  5. 参加状況  (参加国数、参加者数、日本人参加者)

    参加国名 国連加盟国のうちホスト国メキシコをはじめ、日本、インドネシア、ブラジル等180か国
    参加国数 180か国
    参加者数 約4千名(うち日本人 約50名)

  6. 会議内容  
    • 日程及び会議の主な議題

      5月22,23日は分野別準備会の日とされ、「防災と科学技術」をはじめ50の分野別・地域別・ステークホルダーグループ別会合を開催。
      5月24,25,26日はメキシコ大統領出席の開会式、全体会、閣僚級会合、テーマ別シンポジウム、テーマ別分科会、ステークホルダー別会合を同時並行で開催。
      この他、主要テーマに沿った短時間単独講演会(ignite stage)、ポスター展示、ブース展示等が開催された。

    • 発表等(日本人,日本人以外)

      全体会では、平野達男参議院議員(元防災担当大臣)、羽深内閣府審議官より、日本の防災の経験についての各国への示唆に富む発表がなされたほか、多数の分科会において、日本からの出席者から専門性の高い発表が行われた。例えば、「土地利用と防災」のテーマ別セッションでは、土木研究所ICHARMの大原主任研究員より、わが国での都市計画上の防災面からの土地利用の制度と、東日本大震災以降の変化について的を得た発表がなされたほか、防災への障がい者参加の分科会では、同志社大学立木教授より、別府市での実例について映像も交えてわかりやすい発表がなされた。

      「防災と科学技術」については、5月23日の準備会合に、ICHARM小池所長、西川智他が出席し、各国での防災ナショナルプラットフォームへの防災科学技術のより良い反映のあり方、本年11月に日本学術会議が国連ISDR等と開催する国際会議「災害レジリエンス科学技術国際フォーラム2017」のコンセプトについて紹介するとともに、そのためのscoping workshop を準備会合内のセッションとして午後と夜の2回開催し、各国の参加者から有益なinputを得た。

      また、5月25日に開催された「防災と科学技術」分科会においては、フィリピン、タイ、インドネシアから各国での防災への科学技術の反映の取組について事例紹介が行われるとともに、小池所長よりIFI(国際洪水イニシアチブ)の紹介が行われた。

    • 学術的内容に関する事項(当該分野の学術の動向,今後の重要課題等)

      2015年3月に仙台で開催された第3回国連防災世界会議以降、防災への国際的な関心が高まり、防災科学技術に関する分野では、日本が参画しているIRDRやFuture Earthをはじめ、多数のイニシアチブが開始されている。例えば、EU-JRC(トリエステに本部を置くEU共通研究センター)では、この会議に合わせて自らの防災研究について取りまとめた報告書を大量に配布するなど、2005年以前は防災に比較的無関心であった国々の科学者コミュニティからの積極的な発表がなされたことは注目される。また、展示ブースやポスター展示においても、かつては日本の独壇場であった分野(例えば緊急地震速報)についても、他国での取組の紹介がなされるなど、各国の防災科学技術への取組は急速に進展していることが実感され、これまで以上に日本としての国際的な情報発信の強化が必要とされる。

    • その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)

      本会議は、全世界の幅広い防災関係者が一堂に会する機会であることから、国連ISDRとホスト国メキシコがorganizeしたGP2017会議のみならず、この機会に防災関係の様々な会議やシンポジウムがカンクン市内で開催された。日本学術会議が参画しているIRDRの会議も5月22日―23日に近隣のホテルで開催されたことから、ICHARM小池所長、防災科学技術研究所林理事長、西川やICSU会長Gordon McBean氏らはこちらの会議にも掛け持ち参加することができ、本年11月日本学術会議等が開催する「災害レジリエンス科学技術国際フォーラム2017」会議準備の上でも大変有益であった。

    • 会議の課題

      2015年3月に仙台で開催された第3回国連防災世界会議以降初めての、国連全加盟国が参加できる防災に関する国際会議のため、全世界から、防災に多少なりとも関心のある者が多数集まり集客面また防災への多様な参加の促進の上では大成功と言える。2005年の第2回国連防災世界会議以前より、防災のmainstreamingが大きな課題であったが、2015年の第3回会議が国際的に大きな関心を引き付けたがゆえに、多少なりとも防災に関心を持つ多種多様な者が参加し、防災の幅を広げること(mainstreaming)に成功しているが、他方、その裏返しとして会議参加者に占める「防災の初心者」の比率が高くなり、「わが国ではこんなことをやっています」を旨とする発表も多く、相互の討論を通じての深い議論や問題点の洗い出しには至らないこともあった。



次回の開催 2019年5月13-17日にジュネーブにて開催予定


High Level会合の様子、
内閣府羽深審議官らが出席
5月23日
「防災と科学技術」準備会合
メインの会議場入り口、
「防災の文化祭」に良くマッチ


このページのトップへ

日本学術会議 Science Council of Japan

〒106-8555 東京都港区六本木7-22-34 電話番号 03-3403-3793(代表) © Science Council of Japan