国際宗教学宗教史学会(IAHR)
代表派遣会議出席報告
会議概要
名称
(和文) 国際宗教学宗教史学会 第21回世界大会 (英文) XXIst World Congress of the International Association for the History of Religions
会期
平成27年8月23日から8月29日まで(7日間)
会議出席者名
木村武史(日本宗教学会国際委員会委員長) 澤井義次(日本宗教学会国際委員会委員) 藤原聖子(国際宗教学宗教史学会理事) (以上は国際委員会の出席者。会議全体の参加者数は下記の通り。)
会議開催地
ドイツ・エアフルト市
参加状況
(参加国数、参加者数、日本人参加者)
参加国数: 約50か国、
参加者数:約1,300名
日本人参加者:基調講演者 島薗進(日本宗教学会元会長・国際宗教学宗教史学会名誉会員)他、約90名
会議内容
本大会のテーマは「Dynamics of Religion: Past and Present(宗教のダイナミクス―過去と現在―)」であった。現代社会での宗教の変化(衰退・復興現象その他)をどうとらえるか、それは過去にも度々起きた宗教の変動とどう異なるのかを精緻に分析した研究の成果が発表された。オープニングの基調講演では、H・ザイベルト氏(ライプチヒ大学)が、文化的産物の再生産を「文化的進化」と改めてフレーミングし、民間信仰的儀礼が公的なセレモニーとして復活している現在の中国を事例に、宗教の動態を解き明かした。クロージングの講演では、I・ジルハス氏(ベルゲン大学)が、天使と動物について宗教史上の表象の変化を古代から現代まで辿り、人間の世界に対するパーセプションが変化するときに宗教の変動力はもっとも高まるのではないかと結論づけた。日本からの基調講演者である島薗進氏(本学会名誉会員)は、日本を含む世界の現況を、K・ヤスパースの言う「軸の時代」の再来ととらえ、伝統仏教教団の社会貢献活動・平和運動、国家神道の復興を思わせる政界の動きなどを現代日本における公共宗教の出現とみなし、鋭い分析を加えた。本学会の世界大会は5年ごとに開催されるが、科学的宗教学(認知科学や生物進化学の観点からの宗教研究)の台頭が印象づけられた、カナダ・トロント市での前大会に比べ、これらの基調講演に象徴されているように、理論・方法論・問題関心の全てについて多様性に富む内容であった。 国際委員会では役員の改選が行われ、会長には南デンマーク大学のT・イェンセン氏が選出され、12人の理事には引き続き日本人(報告者)が加わることが決定した。本大会でもっとも大きな議題は、学会の名称変更に関するものであったが、これは人文社会科学の大学内での制度的位置をめぐる昨今の議論にも直結している。議論の結果、名称は変更しないことに決定したが、これは、宗教学を自然科学に近づけるよりも、現状のように多様なアプローチを包摂したままで、社会からの要請に応えつつかつ社会への批判的態度も失わない、柔軟な態度で存続を図るという委員多数派の意思の反映でもあった。 本学会の世界大会は、欧米地域に偏らないように毎回の開催地を選んでおり、ヨーロッパでの開催は25年ぶりである。25年前のローマ大会からの大きな変化は、ヨーロッパでの開催であるにもかかわらず、参加者の半数近くがヨーロッパ外からの参加だったことである(アジア、アフリカ、南米からの参加者の一部には学会から旅費の支給があった)。また、2000年までは数名に過ぎなかった日本人参加者も、2005年の東京大会をはさむこの15年で定着し、2010年のトロント大会に続き、90名が参加したこと、その中には大学院生、若手研究者も多く含まれていたことは特筆に値する。日本人参加者は積極的に他国の研究者とともにパネルを企画し、交流を図った。このように、大会開催ごとに国際的研究交流が着実に進展している。 大会が開催されたエアフルトは、マルティン・ルター、マイスター・エックハルト、マックス・ウェーバーゆかりの地であり、著名な観光地ではないが、宗教研究者にとってとりわけ意義深い開催地であった。市内には、ヨーロッパ最古のユダヤ教のシナゴーグもあり、多くの参加者が見学に訪れた。 次回開催予定 世界大会は2020年 理事会は2016年