代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  

    (和文)   第26回国際測地学地球物理学連合(IUGG)総会
    (英文)   26th General Assembly of International Union of Geodesy and Geophysics (IUGG)

  2. 会 期  2015年 6月22日~7月 2日(11日間)
  3. 会議出席者名
      中田節也,日置幸介
  4. 会議開催地  チェコ共和国プラハ市
  5. 参加状況  (参加国数、参加者数、日本人参加者)
      参加国数88カ国、参加者数4230名、日本人参加者418名
  6. 会議内容  
    • 日程及び会議の主な議題

      今回の会議は4年に一度開催される定期総会であった。今回のテームは「Earth and environmental sciences for future generations」であった。IUGGは現在70のメンバーからなり,そのうち60が正規メンバーで分担金を払っている。最高決定機関であるIUGG Council(評議会)は6月22日午後,25日午前,29日午後に開催され,中田節也(東京大学)が日本の代表として出席した。また,佐竹健治(東京大学)が現Bureauメンバーとして出席した。IUGG傘下の8つのアソシエーション(IACS, IAG, IAGA, IAHS, IAMAS, IAPSO, IASPEI, IAVCEI)の総会も本会期中にそれぞれ開催され,日本から各アソシエーションに対応するIUGG分科会委員が代表として出席した。日置幸介はIAGの代表として,中田節也はIAVCEIの代表としてそれぞれの総会に出席した。

    • 会議における審議内容・成果

      評議会は6月22日午後,25日午前,29日午後に開催され,今後4年間の活動方針の決定,規約・規則改正,新役員選出,予算案の承認,次期開催地の決定などが行われた。
      IUGG会則と規則の改正が行われ,主な変更点としては,(1)電子投票の導入と(2)傘下の各アソシエーションにおける被選挙権と個人会員制導入である。これまでの総会ごとに加盟国の代表による投票では,4年に一度であり提案から決定までに時間がかかりすぎたため,電子投票を導入することになった。そのために各加盟国の代表が総会から総会までの4年間は固定していることが提案された。また,各アソシエーションではそれぞれの役員としてIUGG非加盟国の研究者も被選挙権があることになった。ただし,各アソシエーションの会長は自動的にIUGGのExecutive Committeeメンバーとなるため,IUGG加盟国の研究者でなければならない。さらに,各アソシエーションでは有料会員を含む個人会員制を導入することができることになった。後者は,すでにいくつかのアソシエーションで実施されていることを,IUGGとして追認する形となった。
      次期(2015-19年)IUGG会長としては, M. Sideris(カナダ),副会長にK. Whaler(英国),BureauメンバーにI. Ansorge(南アフリカ), P. Hubert(フランス), C. Rizos(オーストラリア)が選出された。また,Secretary GeneralにはA. Ismail-Zadeh(ドイツ・ロシア)とTreasurerにはA. Hansen(デンマーク)が再選された。
      IUGGの年間総予算は約50万ドルで,2016年から4年間の予算は約270万ドル。この約半分の106万ドルがそれぞれのアソシエーションへの分配金に。残りは,ユニオンコミッション運営費,IUGG支援プログラムや国際プログラム会議サポート,アウトリーチ・教育プログラム,事務費などに支出されることが決まった。各メンバー国の分担金カテゴリーはこれまで通りで積算されている。

    • 会議において日本が果たした役割

      日本は合衆国について2番目に多い参加国であり,ヨーロッパの国々からの参加者が全体の多くを占めた。日本からはこれまでIUGGのBureauメンバーとして佐竹健治氏(東京大学)が務めた。2015-2019年のBureauメンバーとして再選を目指したが残念ながら票が満たなかった。この結果,8つのアソシエーションの会長を加えたExecutive Committeeの新メンバーには日本人の役員が含まれなくなるが,Executive Committeeには各アソシエーションのSecretary Generalがオバザーバー参加できるので,IAMASのSecretary Generalに今回新しく就任した中島映至(JAXA)が参加することになる。 次回総会(第27回2019年)開催地については,中田節也(東京大学)がSite Comparison Committeeの委員長を務め,2つの候補地の比較を行い,資料を評議会に提出した。
      同時開催された各アソシエーション総会では2015~2019年の役員として,以下の日本の研究者が選出された。IAG Commission chairに橋本学(京都大学),IAMAS Secretary General に中島映至(JAXA),IAPSO Executive Committeeメンバーに日比谷 紀之(東京大学),IASPEI副会長に佐竹健治(東京大学)である。
      IAG総会において学術総会を神戸市で開催することが認められ,すでに決定しているIASPEI学術総会との共同開催することとなった。

    • その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)

      今回のIUGG総会で行われた各賞の受賞式も行われた。日本人としては,IUGG Early Career Scientist Awardを高橋 太氏(九州大学)が受賞した。また,各アソシエーションの受賞としては,IAGのBomford Prizeを田中愛幸氏(東京大学),IAPSOのPrince Albert I Medalを山形俊男氏(東京大学名誉教授・JAMSTEC)が受賞した。また,IUGGのConferred Fellow(名誉会員)の称号を7名の日本人(荒牧重雄,今脇資郎,河野長,中田節也,末広潔,竹内邦良,上田誠也)が受けた。



会議の模様

・開会式は6月23日夕方と閉会式は7月2日の夕方に行われた。開会式では本会議の組織委員長のV. Cermak氏を始め,ICSUの現会長のG. McBean氏,同前会長のY-T. Lee氏を始め,ユネスコの地球科学地質災害軽減セクション長のP. MacKeever氏などが祝辞を述べた。引き続いて,今回から設けられたIUGG Gold medal,IUGG FellowおよびIUGG Young Scientist Awardの表彰式が行われた。閉会式では会議の全体報告,評議会報告などに加え,Conferred fellowの受賞,新会長挨拶,次回総会開催地の発表などが行われた。

・講演総数は5378であり,その内,ユニオンレクチャーが9,ユニオンシンポジウムが141,アソシエーション間のジョイントシンポジウムが711となっている。セッション数はユニオンセッションが29,アソシエーション合同セッションが73,さらに各アソシエーション独自のセッション数は,IACS 31,IAG 52,IAGA 109,IAHS 59,IAMAS 83,IAPSO 59,IASPEI 70,IAVCEI 74であった。IACS,IAHS,IAGAが前半に,IAPSO, IASPEI, IAVCEIが後半にセッションを設けているがその他のアソシエーションは全体を通して開催された。

・評議会では,本総会の8つの決議(resolution)を承認した。(1)気象における海洋の役割,(2)将来の重力・磁気衛星ミッション,(3)グローバル測地基準の枠組み,(4)津波早期警戒システムのリアルタイムGNSSの補強,(5)地エネルギー資源,(6)地球科学協力,(7)国際学術活動との連携,そして(8)開催地への感謝のであり,詳細はできるだけ早くIUGGのHPに掲載される。

・次回総会(第27回2019年)開催地は,評議会の投票の結果,カナダのモントリオール市で2019年7月に次回総会が開催されることに決まったが,次々回の開催地に関して,ドイツとトルコから名乗り出,ドイツはIUGSのIGC会議との共同開催を考えている案を示した。

・今回のIUGG総会に先立って,地球惑星科学委員会IUGG分科会では,各アソシエーションの担当者(小委員会委員長と幹事)が中心になって2011年から2014年までのIUGGに関連する日本の活動に関するnational reportを作成し提出した。これは現在,IUGGのHP(URL=http://www.iugg.org/members/nationalreports/)に掲載されている。

次回開催予定  2019年7月中旬 カナダ・モントリオール市


IUGG開会式の様子。大会委員長のV.Cermakが1927年にIUGG総会がプラハで開催されたときの写真を見せながら挨拶。2015年6月23日。 開会式でIUGGのH. Gupta前会長からYoung Scientist Awardを受賞する高橋太(九州大学)氏。2015年6月23日。IUGG & C-IN提供。 IUGG総会でのポスター発表の様子。プラハ会議センターにおいて。IUGG & C-IN提供
毎日のポスター発表コアタイムの様子。ふんだんに飲み物やスナックが提供された。プラハ会議センターにおいて。IUGG & C-IN提供


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