代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  

    (和文)   国際科学会議 第28回科学計画評価委員会
    (英文)   28th Meeting of the ICSU Committee on Scientific Planning and Review (CSPR)

  2. 会 期  平成27年1月26日~27日(2日間)
  3. 会議出席者名  春日 文子
  4. 会議開催地  パリICSU本部
  5. 参加状況  (参加国数、参加者数、日本人参加者)
      15ヶ国、19人、1名
  6. 会議内容  
    • 日程及び会議の主な議題

      2日にわたり、22の議題について審議された。公開可能な主な議題は以下の通り。

      • 第31回ICSU総会の総括ならびにそこでのCSPR報告の反響
      • Future Earth
      • Committee on Freedom and Responsibility in the conduct of Science (CFRS)
      • 政策のための科学
      • Urban Health and Wellbeing
      • 7thWorld Science Forum (WSF)
      • 評価(地域事務所、各プログラム評価とその方針
      • 若手研究者のICSU活動への参画
      • 今後のCSPRの活動

    • 会議における審議内容・成果
      • 第31回ICSU総会で示された外部評価、指摘された事項(IAP等との連携、会員の参画促進、地域事務所の強化、資金拡大など)が総括され、ICSUとしての対応について議論された。
      • 最近の進捗状況について報告があり、討議が行われた。ユニオンの参加の促進、Transitional Reportとの関連の明確化、多国分散型事務局の強化等の助言があった。
      • 直近のCFRS会議の報告が示され、共有された。
      • 主席科学顧問モデル、SDGsや防災、COP21に向けた科学者からのインプット活動について報告があり、対応について討議された。
      • 中国XiamenでのIPO開所式ならびにワークショップ、今後の予定について報告があった。IAMP, WHO他との連携や科学プロジェクト実施計画について期待が示された。
      • ICSUは今回もUNESCO, ハンガリー科学アカデミーとともにWSFを共催することが報告された。
      • ICSUアフリカ事務所に対する評価委員長のChris Leaver氏から詳しい報告があり、課題の解決策について議論が行われた。各種横断的プログラムの評価ならびに評価方針についても審議した。
      • 若手研究者の参画の必要性について認識された。Young ScientistsとEarly Career Scientists (ECS)の用語についても議論された。今後のCSPRにECS代表に参加してもらう可能性など、様々な提案があった。
      • ICSUのプレゼンス、CSPRの役割と議題のあり方ほか、自由な議論が行われた。
    • 会議において日本が果たした役割

      議題において発言するとともに、特に国連防災世界会議やFuture Earthにおける日本のリーダーシップについて紹介した。



会議の模様

CSPR委員はICSUのユニオンならびにナショナルメンバーから推薦を受け、理事会によって選考される。出張者は日本学術会議からの推薦により平成24(2012)年より委員となった。今回のCSPRは2012-2014期委員による最後の会議であり、ICSUの前CSPR担当副会長Malegapuru William Makgoba氏(南ア)が議長を務める最後の回でもあった。平成26年9月の第31回ICSU総会で新たに次期会長に選出されたData Reddy氏(南ア)、Secretary Generalとして再選されたDavid Black氏(豪)、ならびに平成27年2月までの暫定事務局長を務めるPeter Liss氏(英)が、ex officioとして出席するとともに、新CSPR担当副会長Jinghai Li氏(中国)も参加し、また新任の事務局科学プログラム課長Lucilla Spini氏が事務局として運営実務を担当した。また各議題において担当事務局職員から的確、簡潔に資料の説明があった。開会にあたり、各委員がconflict of interestについて申告した。

CSPRはICSUの活動全般について審議し、理事会へ提言する役割を持つ。各委員の専門性の上で自由な議論が行われるが、対象議題が多岐に亘るため、各議題について十分に理解された上で議論が行われることが難しい場合もあると感じている。一方、対象分野の専門でないために客観的な意見が出ることも多く、毎回、委員の見識の高さに敬服させられる。ただし、発言が長い人も多い。

ICSUは世界の研究者の多くにとっては遠い存在でもあり、世界の一般市民はもとより、科学者・研究者の間でも知名度が高いとは言えない。IAPなど他の国際アカデミー団体との役割分担や連携も重要な課題である。しかし地球規模の様々な問題解決に対し、科学者の役割がますます重要となってきた現在、ICSUの役割を再度見直し強化すべきところであり、そのためにCSPRは理事会と連携して一層の貢献が求められている。ICSUにおいて過去に吉川弘之会長、黒田玲子副会長を輩出した日本学術会議としても、新理事となられた巽和行先生と協力して、今後ともICSUの活動に貢献していきたい。次回CSPRからは委員の約半数が交代となる。議長を務める副会長、ICSU事務局長も新しくなるため、CSPRの役割にも変革が期待されるところである。


次回開催予定 平成27年4月、パリICSU本部


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