代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  (和文)    SciDataCon 2014 + CODATA総会
               (英文)    SciDataCon 2014 + CODATA General Assembly
  2. 会 期
      2014年11月2日~7日(6日間)
  3. 会議出席者名
      岩田 修一
  4. 会議開催地
      インド共和国ニューデリー
  5. 参加状況  
      参加国数:22か国、参加者数:約200名  
      日本人参加者:
      五條堀 孝、芦野俊宏、柴崎亮介、是津耕司、石井 守、村山泰啓、渡邉 堯、家森俊彦、能勢正人、小山幸伸、土光智子、岩田修一
  6. 会議内容
    SciDataCon 2014は、平成26年11月2日から5日にかけてニューデリージャワハルラルネルー大学で開催された。科学技術データ分野の活動を代表する学術組織であるCODATAとWDSとが本格的に共催する初めての会議であった。社会的にデータへの注目が高まり、「オープンガバメント」や「ビッグデータ」のようなアジェンダが提示され、オープンアクセス、オープンデータについてもG8で議論されるようになった。多様な品質の大規模なデータが構造化されないまま大量に流通する時代が始まっている。科学技術が社会からの信頼を獲得するためには品質の高い客観的なデータと、科学的な根拠を基にデータの信頼性を明示することが大切である。環境、健康、災害、リスク、安全など、社会が適正な判断をするためのデータの役割は大きい。データの専門家にできることは何か?科学技術データを社会全体の公共財にするための方策についての多面的な議論が展開された。様々な理由で廃棄されてしまうデータを残しておくためのデータジャーナル、データの出自や編集過程を追跡可能にするためのデータサイテーション、データの活用を促進するためのメータデータ等々、学術の最前線と社会的なニーズをつなぐための様々な挑戦が紹介された。日本からは大規模データ間の引用関係を俯瞰し、データの利活用を促進する研究が紹介され、高い評価を得た。日本からのさらなる貢献への期待は大きい。

    CODATA総会は、SciDataCon 2014の後の6日、7日、場所をインド科学アカデミーに移して開催された。会長、副会長等の役員選挙が実施され、KAUST/国立遺伝学研究所の五條堀孝教授が副会長に再選された。

    以上の二つの会議の成果を踏まえて、我が国のデータ関係者が努力しなければならない方向を敢えて総括すれば、それは個別の課題解決に向けた部分最適への貢献だけではなく、全体像を創出・改善しながらの全体像の提案と全体最適への貢献である。データの共有と活用に関する国際的な協働作業への参加に関しては我が国の研究者の貢献は少なくなかったが、そうした個人的あるいは部分的なレベルの関与には限界があり、全体像の提案には至っていない。世界が必要とする具体的な応用事例がなければ世界からの評価も世界全体への寄与も小さい。今後は、データ科学分野の個別課題の解決や部分最適だけではなく、世界が必要とする具体的な事例を基にしながら学術分野における科学技術データの役割についての全体像を創出・改善し、全体最適への貢献をする努力も必要である。より大きな視座に立った国家レベルのデータ・情報戦略の徹底的な検討と経営方針の策定、実施体制の構築への努力と、人類全体のための科学技術データの共有と活用についての国際協働プロジェクトの提案、つまり現場と世界全体の価値とを同時に満足するデータの価値の創出が求められているともいえる。


会議の模様

ニューデリーは木々の生い茂る自然の豊かな都市である。SciDataCon 2014が開催されたジャワハルラルネルー大学キャンパスは広大な森の中の会場を見つけるのにバスの運転手が苦労するほどの場所で、都会の喧騒から離れて議論に集中できる絶好の環境であった。新たな参加者が多かったため、過去の議論を学び捨てて(unlearning)、ゼロが発見された場所でデータや科学技術のことをゼロから考え直し、新しい方向を考えるための良い機会となった。
CODATA総会では、役員選挙や新規のTask Groupの選抜が行われ、若い人材の登用と新規の参加者が増加した。次の2016年の総会は創設50周年の年に開催されるので、次の半世紀の科学技術データを考えてみる充実した2年としたい。

次回開催予定2016年


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