代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  (和文)   第4回国際古生物学会議および国際古生物学協会総会
               (英文)    4th International Paleontological Congress and International
  2. 会 期
      2014年 9月28日~10月3日(6日間)
  3. 会議出席者名

      北里 洋、大路樹生、西田治文、遠藤一佳、生形貴男(以上、IUGS分科会IPA小委員会委員)、ほか

  4. 会議開催地
      アルゼンチン、メンドーサ市
  5. 参加状況  
      参加国50カ国、参加者972名、日本人14名
  6. 会議内容  
    • 日程及び会議の主な議題
      2014年9月28日~10月3日を本会議期間とし、前後にフィールド巡検が4~5日ずつ付設されている。会議では、最近のトピックをレビューする基調講演5件とともに、古生物学全体にわたる研究成果をトピカルセッション、ワークショップに分かれて発表し、議論した。
      9月30日には、国際古生物学協会総会が開催された。
    • 会議における審議内容・成果
      国際古生物学会議では、古生物学のトピックが議論された。25のシンポジウム、いくつかのワークショップ、ポスター発表などがあった。初期生命、真核生物初期進化、真核多細胞生物初期進化に関する関心が高く、軟組織の残るきわめて保存のよい化石に基づく議論は、伝統的な化石研究というよりも、生命科学に通ずるものがあった。その他、南米の化石記録に関する発表が多くあり、特に若手研究者の研究が目立った。
      国際古生物学協会総会では、まず事務局長Dr. Roger Thomasより2010~2014年の活動報告が行われ、役員推薦委員会の審議状況が説明された。その後、推薦された2014~2018年役員リストが示され、全会一致でこれを承認した。役員は、会長:Dr. Zhonghe Zhou (China); 事務局長:Dr. Lars Holmer (Sweden) ; 会計:Dr. Ronald Parsley (USA); 副会長:Dr. Lucia Angiolini (Italy)、Dr. James Crampton, (New Zealand)、Dr. Hiroshi Kitazato (Japan)、Dr. Thomas Servais (Belgium)、Dr. Beatriz Waisfeld (Argentina); 拡大役員:Dr. Peter Doyle (UK)、Dr.Olga Kossovaya (Russia)である。北里は、2010~2014年に引き続き、副会長に選出された。
      国際古生物学協会はIUGSおよびIUBS傘下の国際学術団体であることから、今期はより一層、親組織との連携を深めることになった。北里には、IUGS対応副会長としてのタスクが付与された。その後、2018年開催の第5回国際古生物学会議の招致演説が行われた。この段階で、日本(横浜)とフランス(パリ)が立候補した。12月中旬まで立候補を受付け、 提出資料に基づいて、役員および国際古生物学協会への登録国際団体による投票を行うことになった。
    • 会議において日本が果たした役割
      国際古生物学会議においては、さまざまなセッションにおいて講演を行うとともに、2つのシンポジウムのセッションチェアーとして、会議をリードした。国際古生物学協会総会では、副会長の一人に日本人が選ばれ、引き続き、古生物学に関する国際学術団体の活動を支えることになった。また、2018年の第5回国際古生物学会議の日本招致に向けたロビー活動を行うとともに招致演説を行い、多くの役員に好感をもっていただいた。
    • その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)
      共同声明はない。会議の様子は地元の新聞等に報道された。ここの研究成果は、Nature, Science を含む国際師に投稿されることになる。


会議の模様

第4回国際古生物学会議はアルゼンチン・メンドーサというアンデス山脈の麓に広がるアルゼンチンワインの産地で開催された。そういうこともあり、世界各地から研究者が集まった。会議のキャッチフレーズが、The history of life: a view from the Southern Hemisphereであったこともあり、ダーウィン、ドービニーの昔から連綿と研究が続いている南米の古生物学と北半球の古生物学が結びつき、発展することが目の当たりに見て取れた。
会議は、南米各地からの若手研究者であふれた。彼らは、世界の一流の研究者に講演を聞き、議論をすることによって大きな刺激を受けたようである。遠隔地である南米で開催する意味を感じたときである。また、会議の運営には多くの女性があたり、約3分の2が女性であったとのことである。男女共同参画がごく自然に果たされている様子を目の当たりにして、日本の後進性を恥ずかしく思った。
ただ、会議の運営そのものは、ラテン気質もあることから、必ずしも機能的とは言えなかった。会場の部屋が大小まちまちで、人であふれるセッションがある一方、大きな部屋にガラガラの人のセッションもあり、臨機応変さが必要であることを感じた。また、会期中の情報伝達が行き届いておらず、セッション会場の入れ替えなどが口頭のみで伝えられるなど、周知されないことが多く見られた。これらはすべて、次回開催を狙っている日本にとって参考になるとともに、宿題となった。
次のステップは、第5回国際古生物学会議の日本招致である。今回提出したビットペーパーをさらに磨き、確実に招致を勝ち取るべく努力してゆきたいと、関係者一同、決意を新たにした。国際会議の日本開催は、若手研究者にとって刺激を与えることになるので、当該分野のますますの発展のために資することを肝に銘じたい。


次回開催予定 2018年8月末


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