代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  

    (和文)   国際地理学連合2014年国際地理学会議
    (英文)   International Geographical Union Regional Conference 2014

  2. 会 期  平成26年8月14日~22日(9日間)
  3. 会議出席者名  氷見山幸夫
  4. 会議開催地  ポーランド共和国クラクフ市
  5. 参加状況  (参加国数、参加者数、日本人参加者)
      参加国数64カ国、参加者数1335名、日本人参加者数79名
  6. 会議内容  

    2014年8月18日~22日、ポーランド共和国クラクフ市にあるヤギロニアン大学でIGU(国際地理学連合) 国際地理学会議が開催され、またそれに付随して15日~17日にはIGU役員会が開催されました。国際地理学会議は2010年以降テルアビブ、サンチャゴ、ケルン、京都、クラクフと毎年世界各地で開かれています。役員会は通常これらの会議の直前を含め年に2回開かれ、会期は3日、うち半日~1日はエクスカーションです。2010年に副会長に選任され2014年春に再任された私にとって、今回の役員会は4年間の任期を締め括り、数日後の会議終了と同時にスタートする第二期目(2014年8月~2018年8月)に備えるものでした。役員会ではIGUの重点課題であるIYGU(国際グローバル理解年)、OurSus(持続可能都市プロジェクト)、大学生教育プロジェクトなどの議論に多くの時間を割きました。詳細はhttp://igu-online.org/をご覧ください。 エクスカーションは数十キロ離れたアウシュビッツに行きましたが、暗い歴史を背負いつつも全人類的な学びの場としてそれを守り後世に伝えようという強い思い、特に案内スタッフの使命感と高い専門性に感銘を受けました。

    8月18日に始まった本会議の参加者数は1,335名で、前年に京都国際会館で開かれたIGU京都国際地理学会議とほぼ同規模でした。200余りのセッションが開設され、1,171件の口頭発表、227件のポスター発表が行なわれました。セッションの中で特に目立ったのは、災害や地球環境問題に関するものと、地理教育に関するものでした。世界の地理学コミュニティはIGUが先頭に立ち、元来学際的で総合的な分野の特性を生かし、地球環境研究や災害・防災研究および関連する教育の課題に広範に取組んでおり、その流れは今後一層強まると予想されます。

    この会議には日本から79名が参加しましたが、それは開催国ポーランドとその隣国ドイツに次ぐ大人数であり、関係者の注目を集めました。前年に開催された京都会議の影響と、わが国の教育関係者のポーランドへの強い関心が背景にあったと思われます。IGU日本国内委員会はこれまでの国際地理学会議と同様に今回も日本展示ブースを開設し、日本からの情報発信と他の国々の参加者との交流に活かしました。
    会議が開催されたクラクフ市は17世紀初めまでポーランド王国の首都で、日本の京都のような歴史文化の香り高いまちです。ポーランドは1980年代後半まで東ヨーロッパ社会主義圏にあって経済発展が遅れていましたが、それは近年急速に変わりつつあります。ヤギロニアン大学はポーランド最古の歴史をもつ大学ですが、会議の主会場となった新キャンパスでは施設の整備が急ピッチで進められており、教育を重視する国の強い意志を垣間見ることができました。

    この会議を通じて最も印象に残ったことは、会議を支えてくれたボランティアの学生たちの質の高さです。受付や案内デスクでは教員の指示を待つことなく自律的に丁寧かつ機敏に職責を果たしており、また研究発表会場では裏方としての仕事をこなすだけでなく、質疑に積極的に参加し発言していました。ポーランドは高校生対象の国際地理オリンピックにおいて世界一の実績があります。会場ボランティアの学生たちの質の高さの背景に優れた初等・中等教育があることを痛感しました。

    IGU国際地理学会議の毎年開催は私の提案がきっかけとなって2010年に始まりましたが、今回のクラクフ会議や前年の京都会議を含め素晴らしい会議が続いたことは望外の幸いでした。2015年のモスクワ会議も是非成功させたいものです。



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