代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  (和文)   第5回女性物理学国際会議
                (英文)   IThe 5th IUPAP International Conference on Women in Physics (ICWIP2014)
  2. 会 期
      平成26年8月5日から平成26年8月8日まで(4日間)
  3. 会議出席者名
      渡辺美代子
  4. 会議開催地
      カナダ・ウォータールー
  5. 参加状況  
      参加国数:52カ国、参加者数:210名、日本人参加者:7名
  6. 会議内容  
    • 日程及び会議の主な議題
       8月5日 レセプション、公開講演
       8月6日 開会式, 基調講演, ポスターセッション、ワークショップ
       8月7日 基調講演、ワークショップ、パネル討論
       8月8日 基調講演, ポスターセッション、ワークショップ、閉会式
       8/6朝一番の開会式では、IUPAP Working Group Chair, Silvina Ponce Dawsonの挨拶に続き、Canadian Association of Physics(CAP) Council, Adriana Predol-CrossとICWIP 2014 Local Organizing Committee Chair, Shohini Ghoseからの挨拶があった。
      基調講演は3日間に亘って6講演、米国、カナダ、ドイツ、メキシコ、台湾、南アフリカからの講演であった。ワークショップ(WS, Breakout sessions)は3日間に亘り並行に行われたが、テーマは、①ジェンダー研究、 ②物理教育、 ③職場の改善、④プロフェッショナルとしての人材育成とリーダーシップ、⑤文化的認識と倫理問題の5つであった。
    • 会議における審議内容・成果
      最初の基調講演、ハーバード大学物理学科Chairであり核物理実験の第一人者であるMelissa Franklin教授の講演では、女性研究者の自立とリーダーシップについて述べ、大学において自分の研究室を持つことの重要性が強調された。
      本会議においては、各ワークショップ(WS)の議論をもとに本会議の母体であるIUPAPへの提言がなされた。各WSの主な提言内容は以下の通り。①ジェンダー研究WSでは、世界的ジェンダー会議を開催し物理系と社会科学系の連携サブワーキンググループを設置すること、ホームページの開設及び維持、②物理教育WSにおいては、16歳以下の女子生徒に対し科学の面白さを伝える積極的活動を展開すると共にメンタリングシステムを整備し、また次回以降の会議において高校教師の参加を促すこと、③プロフェッショナルとしての人材育成とリーダーシップWSからは、これまでの職場改善成功例等を共有する報告書作成やウェブサイトの整備が提案された。更に、④プロフェッショナルとしての人材育成とリーダーシップWSでは、プロフェッショナル・ディベロプメントをすべての教育とキャリアの過程で女性が参加できるための支援をすること、及び無意識のバイアスがあることが科学的に実証されているためこれを広く周知することが、⑤文化的認識と倫理問題WSからは、世界規模の女性物理学者に関するアンケート調査の継続と結果の公表、理数科の教育とマスメディアにおいて男女の偏見に注意すること等の提案がなされた。IUPAPへの提言だけでなく、女性物理学者コミュニティとして解決できることは積極的にしていくことを確認した。
    • 会議において日本が果たした役割
      会議には2002年開催の第1回から日本チームとして毎回数名が参加、今回も日本物理学会と応用物理学会からメンバーを出して日本チームとして参加した。本会議で議論の中心となったWSにおいては、2件の招待講演を行い、議論をリードした。この他、ポスター発表を3件行い、日本としてのCountry paperも提出した。また、本会議は先進国からの寄付等支援をもとに、新興国の若手女性物理学者の参加を促している。日本は従来から日本物理学会と応用物理学会がこの支援に参加し、今回も両学会が寄付金を提供し、会議開催に貢献した。

    • その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)
      なし


会議の模様

物理学と応用物理学の研究および教育に携わる210名が世界から集まったが、約9割の女性と約1割の男性という構成であった。本会議に参加することにより、世界中から集まった多くの研究者等と共に、物理・応用物理学の研究と教育、女性研究者に関する課題について意見交換し、議論を行うことができた。今回の会議では、特に先進国の参加者数を制限し、新興国を中心に参加国を増やし、更に若手研究者の参加を促す取り組みが実施された。そのために、先進国から寄付金を集め、発展途上国を中心に、若手研究者及び学生に支援をし、彼らの参加を促した。その結果、今回はアフリカ、南米、中東等を含めた多くの国や地域から参加者が集まり、コミュニティの拡大を図ることができた。世界の女性物理学者はどの国と地域においても少数派であるという共通課題を抱えていることと共に、同じ学問を仕事とするという共通点があるため、会議では交流が盛んに行われ、共同研究の提案も積極的に行われていた。物理学の発展や共通の課題解決を図ることだけでなく、国際交流としても大変有意義であったと考えられる。

次回会議は3年後の平成29年に開催される予定であるが、開催地については現在募集中であり、今年11月まで提案を受け付け、平成27年2月に決定する予定である。これまで同様、今後も継続的に日本チームとして参加し、国際共同研究をより推進し、強化すると共に、海外とのネットワークを構築していくことが望ましい。


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