代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  (和文)   第23回国際結晶学連合会議
                (英文)   XXIII Congress and General Assembly of the International Union of Crystallography
  2. 会 期
      2014年8月5日~12日(8日間)
  3. 会議出席者名
      高田昌樹、菅原洋子、井上豪、中川敦史、西堀英治 ほか
  4. 会議開催地
      モントリオール(カナダ)
  5. 参加状況  
      参加国数:64カ国  参加者数:216人  日本人参加者:86人
  6. 会議内容  
    • 日程及び会議の主な議題
      本会合は3年ごとに開催される世界結晶学連合(IUCr)の最大規模の会議で、総会と結晶学全領域にわたる学術発表が行われる。8月5日夕刻の開会式とエヴァルト賞受賞講演に始まり、8月12日夕刻の閉会式まで8日間にわたり、学術プログラムとして4つの全体講演、34の基調講演、111のマイクロシンポジウム、1000件を超えるポスター発表が行われた。総会は、学術発表終了後の19時半から3日間(8月6日、7日、11日)にわたって行われ、次期会長他の理事会メンバー、第25回会議(IUCr2020)の開催国が決定された。また、新規加盟国、第24回会議(IUCr2017)の開催日程、各種委員会委員などの承認、今期(2011年~2014年)の会計報告と活動報告等が行われた。
    • 会議における審議内容・成果
      総会において、各国代議員の投票により、第25回IUCr会議(IUCr2020)の開催地がチェコのプラハに決定した。また、次期理事会メンバー(2014年~2017年)として、会長M. L. Hackert(アメリカ合衆国)、副会長A. M. Glazer(イギリス)、総務・財務担当理事L. Van Meervelt(ベルギー)、新理事としてS. Garcia-Granda(スペイン)、W. Depmeier(ドイツ)、R. Kuzel(チェコ)、高田昌樹(日本)が選出された。新規加盟国(コスタリカ、パキスタン、トルコ、ウルグアイ、ベネズエラ、モロッコ、カメルーン、アルジェリア)の承認、会計報告、世界結晶年(IYCr2014)にかかわる活動報告などの他、分科会として"Commission on NMR Crystallography" の設立、地域組織としてLatin-American Crystallographyの設立などが承認された。
      学術プログラムの対象は、鉱物系から生体系まで物質の構造および物性・機能に係わる研究の他、結晶成長、解析原理、解析手法、大型施設・装置開発など回折結晶学とその周辺の学術領域を包括している。マイクロシンポジウムは、物理系と構造生物学系のマイクロシンポジウムがおのおの30近くずつあり、合計で全体の約半分にあたり、鉱物材料系、化学系、装置・解析技術系がその半数程度、このほか、XAFS、教育、IYCrに係わるシンポジウムなどが開催された。
    • 会議において日本が果たした役割
      日本はこれまでに1957年~1984年(9期27年間)および1990年~2011年(7期21年間)に会長、副会長また、理事としてIUCrの運営活動に貢献してきた。今回、総会で行われた次期理事会メンバーの選挙により、高田昌樹氏(理化学研究所)が理事(任期2014年~2017年)に選出された。また、20ある科学分科会の次期委員が決定したが、日本より17分科会に、重任も含めて延べ18人の委員が選出された。各委員は、3年間の活動を担うことになる。学術講演においては、全体講演として田中通義東北大学名誉教授がGjonnes 賞受賞講演を行ったほか、日本人により3件の基調講演と、招待講演を含む50件を超えるマイクロシンポジウムにおける口頭発表が行われた。なお、参加者(2216名)の国別の内訳は、アメリカ合衆国436名、日本286名、イギリス227名、カナダ220人となっており、日本はアメリカに次ぐ2番目に多い参加者数であった。

    • その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)
      本年は、国連決議に基づく世界結晶年(IYCr2014)にあたっており、マイクロシンポジウムが設けられ、ポスター発表を含め、世界各国における結晶学の発展と普及にかかわる報告がなされた。


会議の模様

総会においては、第1日目に新規加盟国の承認、会計報告、世界結晶年(IYCr2014)にかかわる活動報告など、2日目に、世界結晶学連合(IUCr)の出版物に係わる報告などがなされた。また、分科会として "Commission on NMR Crystallography" の設立、地域組織としてLatin-American Crystallographyの設立などが承認された。総会3日目(最終日)には、第25回IUCr会議(IUCr2020)の開催地がチェコのプラハに決定した。また、各分科会委員(任期2014年~2017年)が承認された。この後、次期(2014年~2017年)理事会メンバーの選挙が行われ、会長M. L. Hackert(アメリカ合衆国)、副会長A. M. Glazer(イギリス)、総務・財務担当理事L. Van Meervelt(ベルギー)が選出された。また、理事の任期は6年でH.A. Dabkowska(カナダ)、J.M. Guss(オーストラリア)は3年の任期を残しており、新理事としてS. Garcia-Granda(スペイン)、W. Depmeier(ドイツ)、R. Kuzel(チェコ)(以上任期6年)、高田昌樹(日本)(任期3年:会長に選出されたHackertの残りの任期に対応)が選出された。
学術プログラムとしては、2011年のノーベル賞受賞D. Shechtmanによる講演を含め4件の全体講演の他、各日、6件の基調講演、午前、午後にそれぞれ8マイクロシンポジウムが行われた。また、ポスター発表が4日間にわたり、18時半より20時半まで行われた。最近の学術動向を反映し、今回の会議では、X線自由電子レーザー(XFEL)関連の基調講演、MS等が複数行われたことが、特徴として挙げられる。XFELは、現在、米国のLCLSと日本のSACLAが稼働中であるが、ドイツのEuro-FELの建設も進んでいる。物質科学から構造生物まで幅広い分野にわたって、XFELのメリットを活かした研究の取り組みがなされており、どの会場もほぼ満員で、関心の高さを反映していた。XFEL以外では、粉末X線データからの構造決定が可能になり、基礎研究から応用分野まで高い汎用性を持つことから、これと関連したMSが複数開かれ、いずれも盛況であった。

次回開催予定 2017年8月21日~29日 開催予定地 ハイデラバード(インド)



モントリオール国際会議場
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