代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称  (和文)   第8回国際地形学会議
               (英文)   8th International Conference on Geomorphology
  2. 会 期  2013年8月27日~31日(5日間)
  3. 会議出席者名   田村俊和
  4. 会議開催地
      フランス共和国パリ市
  5. 参加状況  (参加国数、参加者数、日本人参加者)
      参加国数:49か国、参加者数:約1500人、日本人参加者:約40人
  6. 会議内容
    • 日程及び会議の主な議題

      8月27日
       第1回総会(1st General Assembly)および開会式(Opening Session):会長あいさつ,前回大会以後の会務報告,現加盟国(地域)数,今大会発表申込数および参加国(地域)数等の報告,新名誉会員紹介,各種表彰等.
       Keynote Lectures(2).Parallel Sessions(9).

      8月28日
       Parallel Sessions(19).Keynote Lecture(1).
       第1回評議会(1st Council Meeting):新規加盟申請国(ブルガリア,セルビア,アイルランド,アラブ首長国連邦)紹介・承認.会計報告・承認.ワーキンググループ活動報告.ニューズレター発行状況およびIAG Websiteに関する報告.Young Geomorphologists Trainingに関する事業報告と評議員(National Delegate)からの要望.次期会長・副会長等立候補者紹介.

      8月29日
       一日見学(パリの地下,高ノルマンディ地方の海岸侵食と土壌侵食 等 7コース).

      8月30日
       Parallel Sessions(18).Keynote Lecture(1).
       第2回評議会(2nd Council Meeting):次期役員選出.次回大会および地域会議開催決定.次期ワーキンググループ決定.ヨーロッパ地球科学連合地形学部会(EGU Division of Geomorphology)および国際永久凍土学会(International Permafrost Association)との協定締結承認.学会定款(Constitution)一部改正の検討を開始する.その他 連携する国際集会紹介.
       Gala Evening.

      8月31日
       Parallel Sessions(15).Keynote Lecture(1).
       第2回総会(2nd General Assembly)および閉会式(Closing Session):退任会長謝辞,新会長あいさつ,新役員紹介,次回大会・地域会議紹介,新規加盟国紹介,Young Geomorphologists Sessionの優秀論文発表者表彰.

    • 会議における審議内容・成果

      新しい会長にE.Fouache(フランス)が,副会長にM.Soldati(イタリア),I. Alcantara-Ayala(メキシコ),Yang Xiaoping(中国)の3人が,また事務局長にS.K.De(インド),出版担当理事にE.Reynard(スイス),経理担当理事にM.de Dapper(ベルギー)が,それぞれ投票により選出または信任された.さらにA.A.Alketbi(アラブ首長国連邦)ほか6人が規定による会長選任理事となった.いずれも任期は次回大会までの4年間である.
      経理に関しては,目下のところほぼ順調である.出版活動も順調に行なわれている.2005年制定の定款(Constitution)をupdatingする検討を開始することが会長により表明された.ワーキング グループの活動をより活発にするすること,地域的活動との連携を強化すること,および(とくに途上国における)若手養成支援に一層力を入れていくことが確認された.

    • 会議において日本が果たした役割

      日本からの参加者は,ほとんどすべてのセッションで,口頭発表・ポスター発表あわせて数十の研究発表を行い,とくに2011年東北地方太平洋沖地震に関連した自然的・人為的地形変化や各種災害等に関する詳細な研究が,参加者の注目を集めた.評議会(Council Meeting)においては,理事会の提案は概ね妥当と判断されたので,それを支持した.定員を上回る立候補者のあった副会長選挙では,独自の判断で投票を行なった.地域的活動との連携強化という新しい方針は,East Asia International Workshop on Earth Surface Processes and Long-term Environmental Changesを東アジア各地で毎年主催してきた(今年(第10回)は学術会議のやや不用意な内部規則変更で主催となれなかった),国際地形学会の日本国内対応組織(日本学術会議地球惑星科学委員会IGU分科会IAG小委員会)として,大いに歓迎すべきものである.

    • その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)

会議の模様

当学会の大会としては,おそらく今までで最大規模のものとなったが,運営は概して円滑に行われた.第7回大会(2009年,メルボルン)や第4回大会(1997年,ボローニャ)に関して指摘されたような,コンベンション企業への過度の依存(による経費の肥大化)を極力避ける工夫もされていたとみられるが,早期割引で430ユーロ(学生215ユーロ)という参加費(レセプション等を含まない)は,日本から大学院生クラスが参加しやすい額とはまだ言えないように思われ,事実,日本国内からの院生の参加はきわめて少なかった.にもかかわらず過去最大の千数百人に上る参加者を集めることができたのは,地形学関係者人口の地域的分布からみた,開催地の「地の利」であろう.IAGとしての今期の課題については,前項に記したとおりである.
以下,今大会の研究発表に関して気づいたことを列挙する.

(1) 今大会のサブタイトル(Geomorphology and sustainability)にもあるとおり,環境の保全やwise use,および自然災害への関心はきわめて高く,日本からのものも含め,これらの問題に関わる多くの研究発表が複数のセッションで行なわれた.

(2) 海底地形(浅部,深部を問わず)の細部や惑星地形の形成プロセスの探求が,)探査手段の進展に伴い,さらに盛んになろうとしている.

(3) 世界遺産,ジオパーク等への一般の関心の高まりを受けて,地形学的に正しい情報の発信と新知見の探索との両方を盛んにする試みが続き,それらの成果がGeo-archeology ワーキンググループの強化に表れている.

(4) 地球温暖化等,気候変化問題への地形学からのコミットが より多面的になり,伝統的な気候地形学的知見が,発達史地形学・プロセス地形学 両方の回路を通して,近未来の地形変化(ひいては人類や各種生物にとっての生活環境変化)の予測に結びつけられようとしている.

次回開催予定:2017年9月,コルカタ(インド).
その前,2015年7月に,ベルナウル(ロシア,アルタイ)で地域会議を開催することも決定された.

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