代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称

    (和文)南極研究科学委員会(SCAR)総会
    (英文)SCAR Open Science Conference 2022

  2. 会 期

    令和4年8月1日~10日(10日間)
    ただし、ビジネスミーティングは7月27日~29日に行われた。

  3. 会議出席者

    中村卓司(筆者)

  4. 会議開催地

    インド・ハイデラバード(オンライン開催)

  5. 参加状況

    参加国数40か国以上、参加者数2,726名(登録者数に基づく)
    主な日本人参加者

    氏名 職名 派遣機関
    中村卓司 SCAR日本代表/物理科学グループ・日本代表 日本学術会議代表派遣/国立極地研究所
    野木義史 SCAR日本副代表/地球科学グループ・日本代表 国立極地研究所
    平譯 享 SCAR 生命科学グループ・日本代表 国立極地研究所
    山内 恭 SCAR OSC/パラレルセッション共同コンビーナ 国立極地研究所

  6. 会議内容
    • 日程及び会議の主な議題
      7月27~29日 ビジネスミーティング(全体会合、科学グループ、常設委員会、エクスパートグループ、アクショングループ)
      8月1~5日 パラレルセッション(物理学関係9セッション、地学関係6セッション、生命科学関係14セッション、人文社会学関係8セッション、分野融合11セッション)
      8月8、9、10日 ワークショップ
      8月8、10日 サイドミーティング(エクスパートグループ、アクショングループ等)
    • 会議における審議内容・成果
      各サイエンスグループのビジネスミーティング及び全体会合では、各種グループ活動報告が行われ、質疑ののち承認された。また、EG(エキスパートグループ)、AG(アクショングループ)の期間延長、新規PPG(プロジェクト企画グループ)設置などが議論された。これらは、9月に開催される代表者会議に附議される。
    • 会議において日本が果たした役割
      パラレルセッション、3つの科学グループをはじめ、常設委員会、各種EG/AG等に積極的に参加した。

会議の模様

 本会議は、2020年に続いてオンラインで開催された。登録料を無料としたことで、多数の参加があったことは特筆すべきと思われる。前回は、急遽オンライン開催となったため、付随するビジネスミーティングは、十分に開催されなかったが今回は独立の日程(7月27~29日)とすることでほぼ全ての会合を開催し議論することができた。なお、重要事項を決定する代表者会議は9月5~7日に独立にハイブリットで開催されることとなったため、これについては別途報告する。
 なお、サイエンス・セッション(パラレルセッション)には945件のアブストラクトが投稿され、2726人が参加登録した。48のパラレルセッションが実施されたほか、ワークショップ5件、関連ミーティング5件が開催された。
 各サイエンスグループの会議(ビジネスミーティング)の状況は以下の通りである。

     
  • 物理サイエンスグループ(PSG) 7/27開催
    公開会合の部分では、RESOURCE PPG (Program Planning Group)設置の提案、AAA EG(天文)のSRP化に関する議論、RINGS AG, AntArchitecture AGの活動報告、それにウクライナと日本からNational Reportがあった。続く、非公開セッションでは、次期Chief Officerに中村(日本)が、SecretaryにはWojciech Miloch(ノルウェー)が選出され、Deputy Chief OfficerにはAdriana Gulisano(アルゼンチン)が再任された。EG, AGの延長については、EOAS, RINGS, AntArchitectureは4年、ANGWIN, TATE, ACAについては2年の延長を代表者会議に推薦することとなった。また、RESOURCE PPGの推薦も認められた。そのほか、予算については若干の修正を前提として承認された。
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  • 地球科学サイエンスグループ(GSG) 7/29開催
    4年毎に開催されているSCARの国際南極地学シンポジウム(ISAES: International Symposium on Antarctic Earth Sciences) は、2019 年に韓国で実施されたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、SCAR生物シンポジウムが2023年開催に延期となった事に伴い、ISAESは2025年に開催予定となり、開催地がプンタアレナス(チリ)に決定した。また、Geosiences GroupのChief Officer およびDeputy Chief Officeの継続が承認され、新たなSecretaryとしてイタリアのLaura De Santisが選出された。予算案に関しては、報告がまだ出ていないADMAP, ANTPASおよびIBCSOはグループの継続を含め、報告が出るかどうかで判断でし、予算もそれに応じる事した。新たなグループとしては、GEOCONとICEPRO(INSTANTとco-funding)を承認し、RINGSに関してはGeosciences Groupでも継続を認めた。さらに、陸域および海域の地球物理観測の継続の重要性等を、Geosciences Group のRecommendationに追記する事となった。
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  • 生命科学サイエンスグループ(GSG) 7/28~29開催
    オープンセッションでは、Action GroupとExpert Groupの進捗報告と期間延長・更新の審議が行われ、ImPACTの1年延長、PLASTICSの2年延長、EG-ABIの更新(6年間)が認められた。SKAG(SCAR Krill Action Group)は今年で終了し、新たなExpert GroupとしてSCAR Krill Expert Groupの提案があり、承認された。また、次回SCAR Biology シンポジウムが、2023年7月末にニュージーランドのクライストチャーチで開催されることが決定した。クローズドセッションでは上記の各グループの延長・更新について、SCAR Delegatesに提出することが承認された。また、Life Science GroupのChief OfficerにIan McDonald (ニュージーランド)、SecretaryにByron Adams (米国)が選出された。

次回開催予定: 2024年8月 チリ共和国プーコン市

オンライン会議の様子