代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称

    (和文)第44回国際宇宙空間研究委員会(COSPAR)総会および惑星保護パネル会議
    (英文)COSPAR2022 44th Scientific Assembly, and Planetary Protection Panel Meetings, and Panel on Planetary Protection Meeting

  2. 会 期

    2022年7月16日~24日(9日間)

  3. 会議出席者

    藤本正樹(筆者)、COSPAR理事会メンバー(会長、副会長、英仏独伊米日中の6か国の代表)、評議会メンバー(理事会メンバー、国代表、関連学術団体代表)

  4. 会議開催地

    アテネ Megaron Athens International Conference Centre(ギリシャ)

  5. 参加状況(参加国数、参加者数、日本人参加者)

    理事会8名、評議会約70名、ともに日本からはCOSPAR理事会メンバーの1名が参加

  6. 会議内容
    • 日程及び会議の主な議題
      16日に評議会(2回目の評議会において採決すべき議題の説明)、23日に理事会、24日に2回目の評議会。
    • 会議における審議内容・成果
      (1)
      • (a)ロシアのウクライナ侵攻を受けて、このような国際情勢があった際に、当該国学術団体のCOSPARメンバーシップを停止することのできる選択肢をCOSPAR規約に追加するべきであることが、理事会から評議会において提案された。
      • (b)加えて、ウクライナ情勢を踏まえ、ロシア政府機関との宇宙における国際協力を推奨しないことが、理事会から評議会において提案された。
      • (c)いずれも評議会において可決された。
      (2)新期の会長、副会長、理事会メンバーの選挙が行われた。
    • 会議において日本が果たした役割
      日本人メンバーは理事として会議進行に協力した上、新期の理事会メンバーにも選定された。

会議の模様

今回は、2つの大きな提案が理事会から評議会になされた。
まず、上記(6)(1-a)について、これは現規約においてはそのような選択肢がないことを受けての提案であり、ロシア・アカデミーのメンバー権を即停止することの提案ではなかったにも関わらず、誤解され、初回の評議会では混乱した議論となった。さらに、当該国の政府から予算を受ける学術団体のメンバーシップ停止と、当該国から参加する科学者との交流を禁止することとが混同され、それが提案されたわけではないにも関わらず、後者はあってはならないことだという意見が何度も表明されるという混乱となった。
同様に、上記(6)(1-b)についても、当該国の政府から予算配分を受ける活動との国際協力は推奨しないということが、当該国の科学者を排除すべきであるとの提案と誤解される混乱があった。
いずれについても、第2回評議会前に理事会において議論して対応策を構築し、採決時点では混乱の無い状態となっていた。
一方で、この誤解は理解できるものである。個々の科学者レヴェルでの交流から全世界で成果を共創し共有することは、プロジェクトレヴェルでの国際協力が可能であれば、さらに大きく加速する。後者が可能ではない状況にあっても前者は原理的には可能だが、特に宇宙科学のような分野においては、実質的にはきわめて限定的となってしまうからである。
新期理事会メンバーの所属国は、以下の通り:会長=ドイツ、副会長=フランス、イタリア、理事メンバー=英国、ドイツ、ポーランド、米国、日本、中国。

次回開催予定
理事会は、2023年3月、評議会が2024年夏

会場となったMegaron Athens International Conference Centre