代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称

    (和文)国際自動制御連盟評議会および関連会議
    (英文)Council- and Related meetings of International Federation of Automatic Control

  2. 会 期

    令和4年7月10日~13日(5日間)

  3. 会議出席者

    浅野一哉(筆者)

  4. 会議開催地

    ロンドン市(英国) ※筆者はオンラインで日本国内から参加

  5. 参加状況(参加国数、参加者数、日本人参加者)

    「国際自動制御連盟評議会および関連会議」は毎年1回、国際自動制御連  盟(IFAC)の主要な国際会議に関係者が集まる機会に、IFACの主要な委員会の会議を集中的に行うものである。今年は、Imperial College Londonで開催された欧州制御会議(European Control Conference)に合わせて開催された。
    筆者はその中でIndustry Committee members meetingとYokohama IPC meetingに出席した。今回はハイブリッド開催のため参加国数の把握はできなかった。
    ・Industry Committee members meeting:参加者数32名
     日本人参加者:加納学(京都大学)、北田宏(日本製鉄)、筆者
    ・Yokohama IPC meeting:参加者10名
     日本人参加者:石井秀明(東京工業大学、開催者)、蛯原義雄(九州大学)、筆者

  6. 会議内容
    • 1)Industry Committee members meeting
      • (1)日程:7月12日11~13時(現地時間)
      • (2)会議の主な議題
         ・Industry Committeeの活動履歴、メンバーなどの紹介
         ・タスクフォース活動の報告
         ・制御分野における起業についてのパネル討論
      • (3)会議における審議内容・成果
         タスクフォース活動の報告の中で、筆者から、タスクフォース活動の一つである2023 World Congress Industry Engagementの活動報告を資料に基づいて行った。Industry GroupにおけるIFAC WC 2023に向けての準備状況についてIFAC関係者と情報共有することによって連携を強めることができた。
      • (4)会議において日本が果たした役割
        Industry Groupを構成する産業別グループは、メカトロニクス、電気、ロボット、鉄鋼、化学、自動車、航空宇宙、海洋、農業、建設、環境など多岐にわたっており、それらの業種から制御技術者が多数結集して活動し、多数の企画の提案を行っていることは、日本の産業界の広がり、ポテンシャルの高さ、技術者のアクティビティの高さを示すものである。
        それを今回の報告を通じて示すとともにIFAC WC 2023への期待を高めることができた。
    • 2)Yokohama IPC meeting
      • (1)日程:7月12日、14~16時(現地時間)
      • (2)会議の主な議題
         ・IFAC WC 2023とその企画運営のための組織について
         ・プログラム構成、セッションの種類などについて
         ・Industry Groupの活動紹介
      • (3)会議における審議内容・成果
        筆者が行ったIndustry Groupの活動紹介については特に質問はなかっ たが、30を越える数の多種多様な企画を大会のプログラム中に組み入れていくことになること、特にForumという新たなセッションカテゴリについてIPCの委員にご理解いただいたことは、今後のプログラム編成作業の円滑化につながるものである。
      • (4)会議において日本が果たした役割
        IFAC WC 2023は、1981年の京都大会以来42年ぶりに日本で開催されるIFAC世界大会であり、日本の学界、産業界の制御分野が総力を挙げて準備を進めている大きなイベントである。当然ながら、その企画運営は海外からの協力を得ながら日本が主体的に取り組むことになり、本会議でもIPC Chairの石井先生から報告が行われた。
        また、Industry Groupの活動については、Industry Committeeの会議ではすでに何回も報告しているが、IPCの会議での報告は今回が初めてであり、Industry Committeeの会議と同様に、日本の産業界のポテンシャルを示すことができた

会議の模様

1)Industry Committee members meeting

  • (1)参加目的
    Industry Committeeは、産業界からのIFACへの参加促進のため、2011年にIFAC内のタスクフォースとしてスタートし、2014~2017年の試験的な委員会を経て、現在に至っている。筆者は、日本国内では唯一の2011年の発足時からのメンバーである。
    筆者は、2023年7月に横浜で開催されるIFAC World Congress 2023(以下、IFAC WC 2023)の実行委員会に設置されたIndustry GroupのChairを務めており、今回会議に参加した目的の一つは、その活動報告およびIFAC関係者との連携強化にある。特に、Industry Committeeとは、産業界からのIFACへの参加促進という目的で一致しており、互いに連携しながら活動を進めている。今回の会議はIndustry Committeeのメンバー全員が参加対象となる会議であり、それに参加して報告を行うことでIFAC WC 2023およびIndustry Groupの活動への協力を依頼した。
  • (2)会議のより詳細な内容
    ・Industry Committeeの活動履歴、メンバーなどの紹介
    ・タスクフォース活動の報告
    ・Communications and Metrics (Chair: Kevin Brooks、 ZA)
    ・IFAC Industry Connect webinars (Moncef Chioua、 CA)
    ・2023 World Congress Industry Engagement (Kazuya Asano、 JP)
    ・Awards for control contributions in industry (Stefano Di Cairano、 US)
    ・External outreach to industry associations (Alex van Delft、 NL)
    ・Edited volume on impact of control on next-generation products and services (Silvia Mastellone、 CH & Alex van Delft、 NL)
    ・Case studies of practice and academe collaboration (Russ Rhinehart、 US)
    ・Best practices for TCs and technical events to attract industry participation (Philippe Goupil、 FR)
    ・Control concepts for managerial decision making (Tariq Samad、 US)
    ・制御分野における起業についてのパネル討論
     Dr.Tom Badgwell、 Dr. Thomas Jonesの起業経験についての講演と質疑応答
  • (3)筆者からの報告内容と質疑応答、今後の対応
    タスクフォースの一つである2023 World Congress Industry Engagementの報告の中でIndustry Groupの活動進捗を報告した.概要は以下の通りである。
    ・IFAC World Congressは3年に一度開かれている世界大会であるが、今回初めて実行委員会の中に130名以上のメンバー(大学、産業界がほぼ半々)からなるIndustry Groupを設け、産業界のメンバーが主体的に企画運営を行う仕組みを構築した。
    ・産業別、技術分野別に17のサブグループに分かれて活動中であり、34のイベントが提案されている。
    ・産業界から提案しやすく、参加しやすいイベントの形態としてForumというカテゴリを今回初めて設けた。
    ・Forumは論文投稿が不要、セッション内の時間配分が自由でパネル討論、口頭発表などを自由に組み合わせることが可能、のような従来にない特徴があり、産業界からの参加促進が期待される。
    ・現在は日本国内のメンバーによる活動であるが、提案しているイベントを具体化するにあたっては、講演者のダイバーシティや地理的分布を考慮して人選を行う必要があり、協力をお願いしたい。
    これに対して、出席者からForumはまだ提案可能かという質問があり、後日、Industry Committee ChairのProf. Tariq Samadから、いくつかのアイデアがあるので提案したいとの連絡があった。これについて実行委員会の会議で議論を行い、Forumの企画提案があった場合にはIndustry Groupからの提案と同様に受け付けることとした。
  • (4)次回予定
    Council- and Related meetings of IFACは、毎年1回の開催であり、来年はIFAC WC 2023に合わせて2023年7月に横浜で開催される予定である。
    一方、今回筆者が参加した個別の会議は、上記以外にも独立して開催されている。Industry Committee meetingに関しては、メンバー全員が参加対象となるmembers meetingは、毎年7月、12月の2回開催されており、次回は今年の12月に開催される。また、少数のExecutive membersによるExCom meetingは、1、2か月に1回開催されており、次回は今年9月に開催され、筆者も出席してIndustry GroupやForumについてさらなる議論を行う予定である。

2)Yokohama IPC meeting
  • (1)参加目的
    Industry Groupから提案された企画をIFAC WC 2023のプログラムの中にうまく組み込む必要があるため、筆者はIFAC WC 2023のIPC(International Program Committee)の委員も兼任している。そこで、IPCの会議に参加し、Industry Groupの活動報告を行った。
  • (2)会議のより詳細な内容
    IPC Chairの石井先生から、資料に基づいてIFAC WC 2023の概要、実行委員会の構成、プログラム構成、セッションの種類、本大会のハイライト、今後のスケジュールなどについての説明があった。その後で、Industry Groupの活動を紹介する時間をいただき、筆者からIndustry Committeeの会議で用いたものと同じ資料で報告を行った。
  • (3)筆者からの報告内容と質疑応答、今後の対応
    Industry Groupの概要と活動について報告した。34の企画提案は、論文投稿を伴う口頭発表、Forum、それ以外(コンペティション、デモンストレーション、展示、テクニカルツアー)がほぼ1/3ずつであり、前述のようにForumは今回初めて導入されたカテゴリであること、その企画提案はIPCでハンドリングすることから、Forumを中心に説明した。特に質問はなかったが、今年の11月にForum企画の提案締切を迎え、その後IPC内での審議が行われることから、引き続きIPC委員と連携して活動を行う予定である。
  • (4)次回予定
    IPCの会議がCouncil- and Related meetings of IFACの中で開催されたのは今回が初めてであるが、独立した形では適宜開催されているので、今後もIndustry Groupからの企画提案スケジュールに合わせて参加し、連携しながら活動を行っていく予定である。