日本学術会議は、わが国の人文・社会科学、自然科学全分野の科学者の意見をまとめ、国内外に対して発信する日本の代表機関です。

代表派遣会議出席報告

会議概要

1) 名 称  (和文) 各国若手アカデミーの将来方針策定  (英文)  Shaping the Future of Young Academies
2) 会 期  2012年10月31日~11月2日(2日間)
3) 会議出席者名  狩野光伸、竹村仁美
4) 会議開催地  オランダ王国、アムステルダム市
5) 参加状況  参加国数:25カ国、参加者数:58名、日本人参加者:2名
6) 会議内容

日程及び会議の主な議題

2012年10月31日より11月1日の日程でオランダの若手アカデミー企画のシンポジウム’Shaping the Future of Young Academies’が開催された。日本からは、今年2月にオランダ若手アカデミーを訪問し、その際本シンポジウム内容に関しても相談を行った縁で、若手アカデミー委員会副委員長の狩野光伸および同委員会委員の竹村仁美が派遣され、参加した。シンポジウムは世界的潮流となりつつある若手科学者のアカデミー(学術組織)の、とりわけ解決すべきと考える課題についての現状報告、そしてそれらアカデミーの委員と今後若手アカデミーを設置しようとする国家や地域を交えた討論を中心に進められた。

狩野若手アカデミー委員会副委員長から、竹村委員のイニシアチブで委員意見を集約し作成した代表発表資料を基に、報告を行いました。日本も、多くの設置間もない若手アカデミーの1つとして、狩野若手アカデミー委員会副委員長から、竹村委員のイニシアチブで委員意見を集約し作成した代表発表資料を基に、報告を行った。内容としては特に、若手世代でより強固となってきた「違いがあること、発信すること」に価値を見出す科学研究活動文化と、我が国古来の「同様または同じであること、静かであること」に価値を見出す文化の間で、新たなバランスを見出す必要があるということを軸に、しかしながらこれらを我が国が目指してきた「調和」のキーワード化で再統合できるかどうかが、目下の多くの課題の根幹であると説明した。この内容は各国参加者から大いに賛同があり、現下の世界に普遍的な問題であることを図らずも示した。その後の質疑応答でも積極的に議論に参加するなどし、またアジア地域参加者でのミーティングでもまとめ役に推される等、他国の若手アカデミー、若手アカデミーを設置しようという外国若手科学者からの信頼を得た。若手アカデミーを設置して間もない国々の抱える課題は、この他でも概ね共通しており、例えば、メンバーの積極性の偏差、予算、設置機関と若手アカデミーとの関係性といった課題について、ワークショップ形式で話し合いの場がもたれた。このワークショップに於いては、オランダの若手アカデミーは2005年に設置され既に7年の活動経験を持つことから、オランダの若手アカデミー委員らが座長を務め、具体的且つ実践可能な解決策を模索する手助けを行い、有意義なワークショップとなった。また、本シンポジウムは2010年に正式に立ち上げられた世界的な若手科学者の組織であるグローバルヤングアカデミーが協賛しており、会議2日目にはグローバルヤングアカデミーの近年の活動状況についても報告がなされた。会議初日、2日目を通じて、世界中での若手アカデミーの設立、活動内容の改善のためのグループ討論が行われ、加えて、地域的な若手アカデミー活動の連携の課題や可能性についても、アジア、アフリカ、欧州の地域に分かれて活発な議論が行われた。

 

会議における審議内容・成果

今回、若手アカデミーの設置が世界的潮流となっていることを再確認し、同じく若手アカデミー活動を試みようとしている同士と肩を並べ、問題を共有することで国際的連帯の可能性を探りながら国内的課題を解決していくことの重要性を改めて感じた。今回のような会合を2年に1度開催するという合意ができたことは大きな成果の一つといえる。なお、アジア地域においては、中国、韓国といった経済的に重要な地位にある国家が若手アカデミー活動にいまだ積極的な動きを見せておらず、今回の会合への参加者も少なかったことが特筆される。換言すれば、こうした国々は日本の若手アカデミー活動の成否を注意深く見守っているのであり、この点で日本の若手アカデミー活動はアジア地域における日本のリーダー的役割を期待させる。実際にも、今回の会合でアジア地域の若手アカデミー連携の討論について、座長を任されたのは日本人派遣者の狩野若手アカデミー委員会副委員長であったし、諸国から日本のリーダーシップを期待されていることを実感できた。その他、若手アカデミー活動の抱える困難について、具体的解決策が提示されたことも印象的であった。

例えば、若手アカデミーの構成員として選ばれた者が所属する大学等組織の長に対し若手アカデミー活動の意義と活動時間必要性への理解を求める内容の手紙を若手アカデミーや設置機関から用意する必要性、あるいは、若手アカデミー活動に対する独立性の保障については、GYA(グローバルヤングアカデミー)やIAP(インターアカデミーパネル)といった国際学術組織の若手アカデミー活動への理解と設置機関すなわち諸国の学術会議(アカデミー)にと協調・連携し、克服していくこと、さらに、主な若手アカデミー構成員がどうしても研究活動との兼業となることから若手アカデミー活動を事務的のみならず戦略的に支援するadministrative supportが必須と考えられること、などが提案された。

会議において日本が果たした役割

狩野若手アカデミー委員会副委員長が日本の若手アカデミー委員会を紹介する報告を行ったほか、「若手アカデミーの国際活動、アウトリーチ活動」に関するワークショップの討論の成果報告者、アジア地域の若手アカデミー活動に関する討論の司会者の役割も担い、リーダーシップを発揮しました。上述の通り、狩野若手アカデミー委員会副委員長が日本の若手アカデミー委員会を紹介する報告を行ったほか、「若手アカデミーの国際活動、アウトリーチ活動」に関するワークショップの討論の成果報告者、アジア地域の若手アカデミー活動に関する討論の司会者の役割も担い、リーダーシップを発揮した。他に、討論、質疑応答に活発に参加し、存在感を発揮した。

日本のプレゼンスは、諸国による若手アカデミー委員会に対する関心を引き付け、オランダやスウェーデンの若手アカデミーとの連携や、タイの若手アカデミーの研究者の卓越性の基準に関する調査に対する日本の若手アカデミーの協力の可能性について話し合いを進めることができた。

その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)

今後、オランダの報道機関や一部の学術誌が今回の集いを取り上げる可能性が示唆されたが、具体的には未定。

    会議の模様

  1. 会議のプログラム
    会議初日
    2012年10月31日
    10:00-10:20 オランダ王立アカデミー会長、Hans Clevers氏、
    オランダ若手アカデミー会長 Peter-PaulVerbeek氏、
    グローバルヤングアカデミー共同議長Bernard Slippers氏による開会挨拶
    10:20-10:30 プログラムのレイアウト、事務連絡
    10:30-11:40 17の設置済み若手アカデミーの報告(日本からも報告)
    11:40-12:00 休憩
    12:00-12:20 グローバルヤングアカデミーによる新説若手アカデミーに対する資金援助報告
    12:20-13:10 12の新しく設立された若しくは計画中の若手アカデミーの報告
    13:10-14:30 昼食
    14:30-14-45 グループ形成
    14:45-16:00 グループ討論
    16:00-16:30 休憩
    16:30-18:00 グループ討論成果報告・一般討論
    18:00-22:00 夕食会
    会議最終日
    2012年11月1日
    10:00-11:00 成功事例報告
    11:00-11:20 グローバルヤングアカデミー調査プロジェクト「研究の卓越性の基準」に関するタイの若手アカデミーの報告
    11:20-11:40 グローバルヤングアカデミーの若手研究者の世界的状況に関するプロジェクト報告
    11:40-12:00 休憩
    12:00-13:10 グループ討論第2弾
    13:10-14:30 昼食
    14:30-15:30 グループ討論成果報告・一般討論
    15:30-15:50 休憩
    15:50-16:50 地域的ネットワークに関するパネルディスカッション
    16:50-17:00 休憩
    17:00-18:00 一般討論・結論・閉会の辞
  2. 会議の状況

    若手アカデミー活動をし始めた国家を一堂に会した国際会議は今回が初めてであったため、興味深く有意義な会合となった。日本にとっても他国の若手アカデミーの成功例や課題を知ることは意義深いことで、今後の日本における若手アカデミー活動の参考にしていきたいと感じた。今回、若手アカデミー活動に関心のある実に25カ国が集まり、若手アカデミー活動や若手研究者問題一般に係わる議論・国際交流を行うことができた。

    若手アカデミー活動に関心のある実に25カ国が集まり、若手アカデミー活動や若手研究者問題一般に係わる議論・国際交流を行うことができました。

    特に、オランダ、ドイツは若手アカデミー活動について、それぞれ設置後7年、12年の活動期間を経ており、それらの若手アカデミーの活動内容については特に学ぶところが多い。例えばオランダ若手アカデミーが玩具企業と共同開発したカードゲーム、すなわち子どもが科学に関心を持ち得、尚且つ学際的内容を学べる玩具は、本年2月の同若手アカデミー訪問時に知り、「学術の展望」誌にも狩野より既に紹介したところであるが、今回、産学連携という視点からも科学に対する対外的啓発活動、学際的活動という点からも優れたものであると再認識した。他方で、欧州、アジアを中心とした諸外国が日本の若手アカデミー委員会の動向に非常に高い関心を示していることを肌で感じ、日本の若手アカデミー委員会は今や実質的活動を行うに十分な構成員数を誇っていることもあり、今後若手アカデミー委員会の活動を軌道に乗せて行くことの重要性を改めて感じた。日本の若手アカデミー委員会が抱える若手アカデミー活動の課題については、どこの国の若手アカデミーも直面する課題であり、それらを克服あるいは回避しながらも、実質的な活動実績を積み重ねる工夫をせねばならないと感じる。タイの若手アカデミーメンバーに対する卓越性の基準の調査は、具体的活動の端緒として示唆に富むものであり、今後、日本の若手アカデミー委員会もこの調査に協力していきたいとタイからの参加者に意志表示するとともに多大な関心を寄せるところとなった。

    最後に、こうした諸外国の若手アカデミーとの交流やグローバルヤングアカデミー活動といった国際交流はメンバーの一定期間の継続性により信頼関係が築けると改めて感じた。これに関して、狩野副委員長は2月にスウェーデン、オランダを訪問、5月にはグローバルヤングアカデミー第2回総会に南アフリカを訪れていたため、スウェーデン、オランダ若手アカデミーとの連携が一層強固になったといえるし、今後の連携の可能性もより具体化させることができた。若手研究者の抱える課題一般については、グローバルヤングアカデミーのこれについてのリサーチによってブレインドレイン(頭脳流出)の問題が非常に強く指摘された。しかし、日本の場合、逆に日本人の若者が海外に目を向けなくなっていることが問題となっていたり、日本に来る優秀な外国人頭脳の確保が課題となっていることから、若手研究者の世界的課題と一括りにするよりもむしろ地域的に議論を行うことが望ましい議題である印象を持った。

  3. 宿題・次のステップ

    今後、日本の若手アカデミー委員会のアカデミー活動をより活性化し、実質的な活動を行っていかなければならない。今回の会合はそのための具体的ヒントやアドバイスを提供してくれる場であった。今回の会合で話し合われた具体的活動を実行に移していく国内外でのリーダーシップ、行動力が期待される。

  4. 次回開催

    2年後に開催することが望ましい旨決議されたが、具体的な開催時期・場所・内容については踏み込んで話し合いがなされなかった。アジア会合については日本に対しても開催の打診があったが資金面などで厳しいと思われたため残念ながら受けられなかった。2014年にグローバルヤングアカデミー総会が予定されているバンコクで共開催されることが望ましいと合意されたが、資金繰り、議題など具体的な事項について今後詰めていく必要がある。

    次回開催予定 未定

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