代表派遣会議出席報告
会議概要
1 名 称 国際社会科学団体連盟・第20回大会
(20th General Conference of the International Federation of Social Science Organizations (IFSSO))
2 会 期 2011年11月18日~20日(3日間)
3 会議出席者名 日本学術会議からの代表派遣として、小松照幸(国際協力分科会委員)・西原和久(国際協力分科会委員)の2名
4 会議開催地 バタンガス(フィリピン)(Batangas City, Philippines)
5 参加状況(参加国数、参加者数、日本人参加者)
参加国:15か国
参加者:269名
日本人参加:4名
6 会議内容
・日程及び会議の主な議題
11月18日(金)
・小松照幸会長講演:東日本大震災について
・特別講演:マイケル・クーン(独):西洋世界の社会科学体制の反省を超えて
・プレナリーセッション1:ヒューマン・セキュリティ(4報告)
・セッションA1:理論的・方法論的アプローチ(4報告)
・セッションA2:分野別アプローチ(4報告)
・セッションB1:自然的災害と人為的災害1(4報告)
・セッションB2:自然的災害と人為的災害2(4報告)
・プレナリ―セッション2:ヘルス・セキュリティ(3報告)
11月19日(土)
・プレナリ―セッション3:セキュリティと人権に関する自発的原理(4報告)
・セッションC1:経済的セキュリティと食の安全(4報告)
・セッションC2:社会的弱者集団について(4報告)
・セッションD1:ガバナンスと政治的セキュリティ(4報告)
・セッションD2:コミュニティ・セキュリティ(4報告)
・プレナリ―セッション4:環境悪化と社会的弱者(5報告)
・プレナリ―セッション5:伝統主義と変革(3報告)
11月20日(日)
・プレナリ―セッション6:新たなモデルと挑戦(2報告)
会議初日には、主催国(フィリピン)による歓迎挨拶やプログラム概観などがなされ、初日の会議後には歓迎会(フィリピン伝統舞踊を含む)がなされた。
また2日目には、その冒頭で前日の会議のまとめが述べられ、会議終了後にはセキュリティに関する映像を見る時間が設けられた。
そして、最終日には、IFSSO理事会の議論の結果(新執行部・今後の予定を含む)の報告がなされ、閉会式では、本大会に寄せられた報告論文の中から、5論文が優秀論文に選ばれ、賞状と金一封(約3万円)が与えられる旨、報告があった。なお、最終日にはオプションで開催地の社会見学のツアーが組まれたことも付け加えておく。
・会議において日本が果たした役割
小松照幸会長が会長講演を始め、大会全体を統括した。
西原和久理事が、震災に関する報告を求められ、「大災害と日本在住外国人」(Catastrophe and Foreign Residents in Japanese Society in the Age of Globalization)についての報告を行い、日本の経験の海外発信に努めた。また日本からその他2名の報告があり、とくに芝真里(名古屋大学大学院博士課程)の報告論文は5名の優秀論文のうちに入り、受賞したことも付け加えておく。
・会議における審議内容・成果
会議は、ソーシャル・セキュリティに関して、さまざまな角度から検討された報告がなされ、たいへん興味深かった。また、東日本大震災に関する報告もなされ、災害という視点や、食の安全に関する議論、そしてそれらと関係する社会科学的な視点の重要性がしばしば強調されていたことが本大会の大きな特性であり、成果であろう。
・その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)
本大会は、招聘者・報告者に対するフィリピンの総力を挙げた歓迎が際立った。たとえば、警察車両による道路の先導、あるいは開会式における軍の吹奏楽団のマーチング、さらに全理事が襷をかけて壇上に登る演出、フィリピン民族舞踊など、である。なお、この大会の模様は、複数の新聞報道があったと聞いている。
7 会議の宿題、次のステップ、次回開催等
本大会2日目の夜に、理事会が開催された。そこで、日本の小松照幸会長が任期を終え、フィリピンンのネストール・カストロ氏が新会長となった。とはいえ、この決定に関しては、各国社会科学団体のみならず、IFSSOの団体会員および個人会員も参加できる総会的な会合による選挙を経て、会長ほか執行部および理事の選出がなされた。だがそこでは、多様な意見が噴出し、やや混乱した状況を呈する場面があった。またそこでは、西原和久が副会長の一人として執行部に加わるよう、新会長から依頼を受けたが、この混乱に問題を感じ、かつ西原個人の所属の移動などで今後の貢献に関して未知数であったことも理由で、この場では辞退した。ちなみに、IFSSO事務局も、フィリピンからインドネシアに移ることも決まった。
なお、次回の開催は、インドの社会科学院系の尽力で、2013年インドにおいて開催される予定となった。さらに、新理事会は、今後半年以内の開催されること(場所は未定)が決まった。