報告「コロナ禍における口腔に関連した諸問題とその対応」のポイント

1.現状及び問題点

     
  • 新型コロナウイルス感染症のパンデミックで、人々の生活は激変したが、口腔を対象とする歯科医療や教育研究に携わっている者も、通常の生活での制約に加えて、日頃の業務自体に対しても大きな問題に直面した。本感染症をめぐる問題には、唾液の感染性、味覚障害など口腔に関連した事項も多く含まれた。
  • 本委員会は、以上を鑑み日本歯科医学会と協力してwithコロナや同様の新たな感染症に備えるためにもその問題が明確になった時点の諸問題とその対応をまとめた。

2.提言等の内容

(1) 新型コロナウイルス感染症コントロールにおける口腔の関連
新型コロナウイルスは口腔粘膜、唾液腺に多く発現しており、ワクチン接種に並行してこの領域での感染制御法の開発が期待される。

(2) コロナ禍における歯科医療と口腔保健
新型コロナウイルス感染症感染拡大期において、歯科への受診控えが顕著にみられたものの、歯科医療における感染クラスターはほとんど報告されず、適切な感染対策が行われていたと考えられる。この時期の歯科医療においては、小児、障がい児(者)、高齢者などの社会的弱者への影響が大きく、これらの問題点を是正するためには、ICTの利活用による口腔のケアや口腔機能管理の推進が求められる。

(3) 緊急事態時における特定医行為の実施、教育体制の整備
歯科医師においても、新型コロナウイルス感染症や大規模災害などの緊急事態においては必要な支援体制ができるような法整備と同時に、歯学教育、臨床研修においてもそれを担保しておくことが重要である。

(4) 歯学分野の臨床教育への影響
歯科医療において欠かすことのできない技能教育については、このようなコロナ禍のような実習/研修が十分にできない状況下においても機能し得る、卒前臨床実習、卒後研修、その後の生涯教育というシームレスの臨床教育/研修体制の構築と、その中での補完機能、代替機能の整備が求められる。





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