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提言「我が国の子どもの成育環境の改善にむけて-成育空間の課題と提言2020-」のポイント

1 現状及び背景

 本分科会は日本学術会議では珍しく、分野横断的に5つの合同の委員会のもとに13年の長期にわたり、子どもの成育環境について検討を続け、これまで空間、時間、方法、コミュニティと4つの課題について、提言・報告してきた。しかしながら、いっこうに子どもにとっての環境は良くなるどころか、悪化するばかりであり、再び空間をとりあげ、関係する国土交通省、文部科学省の担当とも協議を重ね、より具体的な施策を検討して提言にまとめた。我が国の状況は少子化傾向に歯止めがからず、児童虐待の増加、子どもの貧困の深刻化、子ども・若者の自殺率の高さ等、空間に限定できない課題も大きい。OECD諸国と比較しても子ども関連の予算、投資の少なさが際立ち、その方向転換が望まれる。

2 提言等の内容

 提言は大きく4つの構成からなる。

  •  まず第一に、「子どもを中心においた投資と政策を」と以下の4点を求めた。①子ども関連の予算策定と評価システムの確立、②子どもの総合的政策と法整備、③子どもに関連する研究・データの蓄積と科学的知見に基づく政策、④子どもの声の施策反映と子どもの社会参画の推進

  •  第二には「胎児期・幼児期・児童期・青年期の各ステージで子ども自身の力が育まれる環境・社会づくりへ」と以下の2点を求めた。①各成長段階で子どもが健全に育つ環境の改善、②子どもの主体性を培う外遊びの総合的価値と非認知能力獲得の重要性の意識啓発。

  •  第三には「子どもの育ちを多世代で継続的に見守り包括的に支援する社会づくりへ」と以下の4点を求めた。① 子どもの育ちを軸に切れ目なく包括的に支援する体制、② 子どもに寛容な地域コミュニティと多様な居場所、③ 子どもの育ちを支援する職能・専門家の養成と雇用促進、④子どもの成育環境改善への意識啓発と子どもの主体教育 

  •  第四が空間に関する提言で「子どものための政策拡大と分野横断的な体制を強化し居場所となる空間づくりを」と題して、以下の8点を求めた。①子どもが安全に、活発に地域で遊び、子どもの育ちに配慮した住まいづくり、集いの場、住宅地づくり、②子どもが遊び、沿道コミュニティが形成されるくらしの道ゾーンやウォーカブルシティの推進、③地域の人の目が届く中で、子どもが危険を伴う遊びに挑戦するよう成長を見守る住宅地の中のコモン(公園、緑地、オープンスペースなど)、④多様な個性、発達段階の子どもに対応して保育や教育施設は選択肢が多く、柔軟性、環境性能にも優れた質の高い子どものための専門施設(学校、保育園、児童館など)、⑤多世代・多機能が共存する地域施設(コミュニティセンター、図書館、福祉施設など)、⑥遊びや学びの施設、そしてCLS(Child Life Specialist)等の専門家を配置する医療・健康施設、⑦長期休暇期間中は大自然の中でのキャンプや農村生活体験等のプログラムによる自然環境へのアクセス拡大、⑧日常の子ども生活に、また災害時にも必要なプレーバス等の移動式遊び支援で、多様な体験を子どもに提供するアウトリーチ。





     提言全文はこちら(PDF形式:5,075KB)PDF
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