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提言「人類の未来を開くフロンティア人工物工学の展開のために」のポイント

1 現状及び問題点

 フロンティア人工物は幅広い最先端技術を駆使した大規模なシステムで、国家による投資も膨大で、産業化してそのメリットを得るまでに長期間を必要とする。国際連携も必須であり、科学的な発展に加えて国益の確保や国家安全保障など国際政治や経済への配慮も必要になっている。
 従って、フロンティア人工物を発展させるためには特定分野を深化させるばかりでなく、分野横断的・革新的な学術技術の展開と、国家的事業として推進するための論理と社会的な合意形成が必要である。そして、教育・研究・社会価値創造の三位一体の取り組みも重要である。
 そこで、国家的政策立案とそのためのプロジェクト評価などの科学的手法の開発、AI(Autonomous Intelligence)などの新技術とフロンティア人工物実現のための産業基盤の強化、人材育成・アウトリーチと国際連携の在り方について現状の分析と提言を行う。

2 提言の内容

  • (1) 国家的政策立案とそのための科学的手法の開発
    1. ① 国は、フロンティア科学技術は人類の科学的知見の構築、資源・エネルギーの獲得、国家の安全保障や国際協力に貢献するところ大であること、技術成果の獲得までに長期間と莫大な資金のかかること、さらに様々な分野の技術の融合で達成されることを認識し、確固たる政策の立案に当たるべきである。
    2. ② 国は、総合海洋政策本部、宇宙開発推進本部などと連携して総合的に議論を行い、フロンティア人工物の総合的な政策を議論できるように総合科学技術・イノベーション会議にフロンティア人工物について議論する場を設置すべきである。
      また、障害のある受験生に対する配慮にも不十分な点がある。
    3. ③ 国や学界は、科学技術政策決定のためのシステム科学的方法論の確立に努力するべきである。
    4. ④ 国や技術開発関係者は、海外の技術開発のスピード感に鑑み、国富や安全保障を損なうことのないように迅速な政策決定と俊敏な技術開発を行わなくてはならない。

  • (2) 技術の高度化と産業基盤の強化
    1. ① 国や、研究機関、大学、産業界は、運航の自動化知能化のためのAI(Autonomous Intelligence)技術はじめ多岐にわたる新技術を、産官学の連携により確立するべきである。
    2. ② 国は、国立研究開発法人などが主体となって企業・行政などとオープンイノベーションによってシステムの設計・製造・運用が可能となるように組織や法令の改定などを行うべきである。
    3. ③ 国は、大学や国立研究開発法人の大規模な研究開発施設を維持拡充するべきである。さらにAI(Autonomous Intelligence)技術、信頼性評価技術などについての実験用航空機や研究船を含む総合的な実証試験設備や環境を整備するべきである。
    4. ④ 国は、航空技術、海洋開発技術など産業界が現に取り組んでいる技術開発の産業化商業化技術にも資金を投入し、航空宇宙、船舶海洋の産業基盤を強固にするべきである。

  • (3) 国際連携と人材育成・アウトリーチ
    1. ① 国は国際プロジェクトに積極的に取り組むべきである。また航空宇宙や海洋の利用に関する国際的取り決めを先導する国際組織の構築とそのための人材の育成が重要であり、人的国際交流や国際機関でのOJTを積極的に推進すべきである。また、大学は国際的人材輩出のための教養教育を含むフロンティア科学技術教育体系の整備に努めるべきである。
    2. ② フロンティア人工物においては、特定の技術分野に通暁するとともに全体を見渡し国際感覚にも優れ、リーダーシップを発揮する技術者と、世界の技術動向を把握し、的確な技術行政の行える技術行政者の育成が必要である。
    3. ③ 大学において、国立研究開発法人や企業および行政とも連携した新しい教育システムを構築すべきである。産業界は能動的に教育研究に貢献するべきである。国立研究開発法人や企業は学生をプロジェクトに受け入れる制度を確立し、博士課程学生中心に受け入れ学生の数を増やし、経済的支援もすべきである。
    4. ④ 学会などの科学者コミュニティは、社会に対して啓蒙活動を行うべきである。特に初等教育については、良質な教材をインターネットで提供することが必要である。
    5. ⑤ 学校教育にあっては実際に航空宇宙や海を体験、あるいは実感する教育を行うことが必要である。




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