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提言「持続可能な生命科学のデータ基盤の整備に向けて」ポイント

1 現状及び問題点

 ヒトゲノムの解読コストが10万円にまで下がり、生命科学は大きく変貌した。10万人規模のゲノムコホートに基づく医療、バイオ研究とデジタルの融合を合言葉にした産業戦略、オープンサイエンスなど、様々な国家主導の施策が実施されている。ゲノム編集や医療など社会にも大きな影響を及ぼす生命科学を支えるには、①データベースの構築やビッグデータ解析技術の開発、②解析を支えるスーパーコンピュータ及びネットワークの整備、③新たな生命科学やバイオ産業の担い手となる人材の育成、が欠かせない。しかしこれらの「データ基盤」を持続的に発展させる予算は組まれず、研究を効率化し、研究資源を有効活用する施策も不十分である。

2 提言の内容

  1. (1) データ共有政策を作り、共有の義務付けを行うべきである

     省庁横断的に適用できるデータ共有政策を国が作成し、実施を義務づけるべきである。研究資金配分機関はその政策に基づいてデータ共有の環境整備と義務付けを行うべきである。また、研究データの生産者に対してデータ共有に対する動機づけ(インセンティブ)を付与する仕組みを導入すべきである。

  2. (2) プロジェクトの立案時からデータベース戦略を策定すべきである

     生命科学に必要なデータを選んで産出し、データベースを整備する戦略が必要である。データの共有・公開・統合のため、プロジェクトの立案時から、データ産出プロジェクトとデータベースセンターが密に連携すべきである。

  3. (3) データベースセンターを一元化し、スーパーコンピュータを整備すべきである

     複数ある国内のデータベース関連機関を統合し、国内には政策立案・研究開発ともに強力なリーダーシップを発揮しつつ、国際的には存在感と競争力を打ち出せる体制を整えるべきである。また、データ量の増加とデータ利用者の増加に対応できる、生命科学の巨大データ解析に適したネットワーク及びスーパーコンピュータの増強が必要である。

  4. (4) 人材を育成し、教育体制を整備すべきである

     バイオインフォマティクスの人材不足の解消に向けて、高校教育・大学入試・大学(学科新設など)・民間企業のあり方、研究プロジェクトの立て方などを見直し、一過性の取組ではない中長期的な人材育成の体制整備が必要である。

  5. (5) 予算を確保し、データを量や種類に応じて整備・利活用できる仕組みを作るべきである

     将来にわたりデータを整備・活用するため、国のライフサイエンス研究分野の公的資金のうち一定割合を措置するような、新たな財源モデルが必要である。その際に、長期安定性だけでなく、オープンサイエンスへの貢献や、費用負担の公平性にも留意する必要がある。品質管理がなされたデータベースを構築し、安全に安定してデータを公開する仕組みを、各データの事情に応じて整備すべきである。



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