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報告「科学的知見の創出に資する可視化-文理融合研究と新パラダイム策定-」のポイント

1 現状及び問題点

     ビッグデータ・オープンデータ時代において、人間がデータに記述されている対象を認識するために可視化の重要性がより広く理解されている。また、深層学習技術を中心とする人工知能時代の再来によって、可視化に対して、さらなる期待が加わった。しかしながら、可視化をどう評価するか、可視化研究コミュニティをどう形成していくか、そして科学教育に可視化をどう活用するのがよいかについては、十分な議論が行われているとは言い難い。

2 報告の内容

     分科会での議論に加えて、「科学的知見の創出に資する可視化」と題する公開シンポジウムを計4回開催して議論を深めてきた。これらのシンポジウムの議論を踏まえ、分科会における主たる審議の内容を以下にまとめる。

  • (1) 可視化研究コミュニティ形成の必要性
     「我が国の強みを活かした形で分野横断的な可視化研究コミュニティを形成する戦略に関して、多方面から議論を行なった。そして、近年世界で注目される日本文化の持つ力を活用する戦略が有望であると認識するに到った。活用のキーワードは、「ビッグデータ」と「文理融合」である。文系の研究では、例えば、インターネットを利用した文化動向分析や社会心理分析などで、ビッグデータを用いた研究が重要になりつつある。一方、理系の研究でも、例えば、文化財の3次元計測で得られるビッグデータを利活用するための技術開発が盛んに行なわれている。そして、ビッグデータを人間が理解するには可視化が必須である。この情況を好機と捉え、可視化を「文」と「理」を共通言語かつ中核技術とする、新時代の文理融合型の研究コミュニティを立ち上げるべきである。

  • (2) 可視化効能の評価指標の確立
     従来の可視化研究は、その歴史的変革から、科学技術可視化や情報可視化、ビジュアルアナリティクスといった副領域が便宜上設定され、学界の編成に大きな影響を与えてきたことが議論の対象にのぼった。このような副領域の設定が既に陳腐化し、むしろコミュニティに無意味な分断をもたらしている現況を鑑み、本来分野横断型技術である可視化を、科学的研究の手段としてではなく、直接の研究対象として捉えなおすには、その効能を客観的に評価する新たな指標の確立が必須となる。その方向性に符合する国外の最新動向の一つとして、第24期ではIEEE VGTC reVISe(国際電気電子学会可視化とグラフィックス専門委員会改革ワーキンググループ)の「6分野モデル」を、評価指標を検討する際の基盤に据えるべきであると認識するに到った。実際、「可視化の理論と実践」、「可視化応用」、「可視化システムとレンダリング」、「可視化における表現と対話」、「データ変換と可視化」、「可視化ワークフローと意思決定」という、抜本的な分野の再構成原理からは、可視化が発展著しい情報学の動向に連動し、今後さらに技術的に刷新される可能性を秘め、周辺領域独自の計算パラダイムとも融合される点も示唆されることが明らかとなった。第24 期最後の公開シンポジウムでは、この「6分野モデル」をメインテーマとして議論が展開され、それを受けて今後国内研究の詳細な事例分析につなげていく方針が策定されている。

  • (3) 日本学術会議活動の俯瞰的可視化に見る課題
     科学的方法における観察・問題設定の局面では、まず、現代社会における問題点を俯瞰できることが重要である。このため、多くの学生等に、社会で期待されている論点を教材として提供できる基盤を構築することを目標とした。第24 期では、SDGs 目標の観点で日本学術会議の提言文書285 件を俯瞰的に可視化し、各目標に対してどのように文書が配分されているかを確認することができた。このため、科学教育において、可視化活用によりさまざまな課題を明確にしていくことができる。





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