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報告「日本学術会議資料の保存・管理と公開に向けて」のポイント

1 現状及び問題点

 戦後間もない昭和24年(1949)1月20日に設立された日本学術会議は、平成31年(2019)、70周年を迎えた。日本学術会議では、それを記念して、「日本学術会議の設立と組織の変遷-地下書庫アーカイブズの世界-」と題する記念展示を日本学術会議ロビーで開催した。この企画・立案に関わったのが、史学委員会歴史資料の保存・管理と公開に関する分科会であるが、本分科会がいったいどのような問題意識からいかなる審議を経て、展示を企画し提案するに至ったのか、ここで「報告」しておきたい。

2 現状及び問題点

 本分科会では、第23期から日本学術会議資料の保存について議論を開始し、今期も、取り組むべき三つの課題の一つとして、本格的に審議してきた。
 日本学術会議資料は、日本学術会議のアイデンティティとなる重要なアーカイブズでありながら、劣悪な保存環境に置かれていた。平成27年(2015)以来、空調のない地下書庫で塵芥やカビにまみれていた資料を、書架に配置しクリーニングする作業がボランティア活動によって行われてきた。平成29年(2017)年7月1日には、日本学術振興会科学研究費(挑戦的研究)「日本の学術体制史研究――研究基盤となる日本学術会議資料整備と研究環境構築の検討――」(代表者久保田明子)が採択され、その経費を利用して、カビ除去の人員確保や扇風機設置による環境改善が徐々に進められている。
 日本学術会議第一部史学委員会、歴史資料の保存・管理と公開に関する分科会では、
平成27年4月10日に、第一部部長に宛てて、①地下書庫に置かれた日本学術会議資料に「汚れ、傷み、酸性紙の酸化が見られ、早急に改善のための措置を必要とする」危機的状況にあり、②「アーキビスト(文書館専門職)が整理し、保存のための措置をし、目録を作成して公開できる態勢を整えることが早急に望まれる」、③「日本学術会議所蔵資料の保存・管理・公開のための方策を、学術会議事務局に主体的に検討していただきたく、第一部会を通して申し入れを行な」った(18ページ<付録1>1)。これを端緒として、平成30年(2018)10月4日の日本学術会議第177回総会での会員への「情報提供」まで、本分科会では、機会を見つけて、この資料の重要さを啓発してきた。

3 報告の内容

  • (1) 日本学術会議は創立70周年を記念して、展示「日本学術会議の設立と組織の変遷-地下書庫アーカイブズの世界-」を日本学術会議ロビーで開催した(会期:令和1年<2019>10月~11月)。この展示では、日本学術会議の地下書庫に保存されてきた日本学術会議資料を用いて、日本学術会議の設立と組織の変遷を叙述した。
  • (2) 平成30年(2018)10月23日に、日本学術会議会長から、「日本学術会議創立70周年に関連した企画案」を提案してほしいという要請があり、それに応えて本分科会が、史学委員会の承認を得て、日本学術会議資料を用いた70周年記念展示についての「企画案」を提出した。
  • (3) (3)令和1年(2019)5月30日日本学術会議幹事会懇談会で、史学委員会・本分科会が提出した企画案が承認され、10月1日から日本学術会議ロビーにて展示を行うこととなった。
  • (4) 日本学術会議幹事会と展示内容の調整を行いながら、展示資料を選別し、展示パネルと図録も作成した。
  • (5) 今回、70周年企画展示を行ったことによって、日本学術会議資料の現状とその重要性を周知させることができた。日本学術会議事務局とも問題意識を共有し、連携しながら、日本学術会議資料の保存について検討することができるようになった。
  • (6) アーカイブズを保存するのに適切とは言えない環境の地下書庫に残された日本学術会議資料を、どのように保存・管理し公開するのかの方策を考えることが、今後に向けて求められる重要な課題となる。本分科会では、学術的な価値の高い「歴史公文書」を全点、保存・管理・公開するために、以下の三つの可能性を検討している。
    1. ① 日本学術会議4階に国会図書館支部が設置されており、そのコレクションとして管理・公開する。
    2. ② 歴史資料保存機関としての認定を受けて、自主的に管理・公開する。
    3. ③ 国立公文書館に移管して、管理・公開する。
     現在までの検討の結果、③国立公文書館に移管するという選択肢が、「公文書管理法」に適し、かつ無理がないというところまで、審議を進めている。今後、日本学術会議事務局とも意見交換をしながら、日本学術会議資料を「歴史公文書」として保存・管理・公開していくための最善の策を模索していきたいと考えている。
  • (7) 国立公文書館に移管するにしても、その前に、現在の状態(国会図書館支部の管理下)を継続しながら、環境の改善をはかりつつ、目録化の作業を進める必要がある。ファイル内の細目録を作成するためには、ボランティア活動による作業では限界があり、日本学術会議としてなんらかの支援をすることが望ましい。
  • (8) 現在所在が確認できない第16期以降(1994年~)の記録についても、公文書管理法にもとづき適切に管理し、それ以前の日本学術会議資料とあわせて、保全していく必要がある。本分科会として、その保全に協力していきたいと考えている。

  • 以上、日本学術会議資料を未来に伝えるために、いま、日本学術会議は力を尽くしていかねばならない。



     報告全文はこちら(PDF形式:821KB)PDF
     付録2 図録「日本学術会議創立70周年記念展示」はこちら(PDF形式:2,195KB)PDF
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