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日本学術会議会長コメント

平成19年5月25日
 本日、イノベーション25戦略会議において、長期戦略指針「イノベーション25」がとりまとめられました。この指針には、日本学術会議が本年1月に公表した報告「科学者コミュニティが描く未来の社会」などの知見が反映されており、日本学術会議としても大きな貢献ができたと考えております。  
 地球は空間的・物質的に限りがあるがゆえに、現代社会においては環境問題、資源問題などが顕在化しており、持続可能な開発をいかに維持していくのかが人類社会の共通の課題となっています。また、国内を見れば、人口減少や高齢化の進展、硬直した社会制度など、従来と同じような考え方や取組みでは解決が難しい課題が山積しています。 これらを乗り越えて、国民一人ひとりが健全で幸福な生活を送りつつ、将来世代に過大な負担を転嫁しないためには、イノベーションが重要な鍵となります。また、イノベーションを通じて地球規模の課題の解決に取り組んでいくことこそ、これからのわが国の国際社会における最も重要な貢献の一つとなるものです。
 イノベーションとは、単に技術革新にとどまらず、新たな考え方によって社会に大きな創造的変革を起こすことです。既存の概念を打ち破ろうとするとき、信頼できる科学的根拠を国民に示していくことが大きな推進力となります。  このため、イノベーションを誘発する社会・経済制度に関する研究を進めることはもとより、イノベーションを進めようとする国民の意志を支えるための科学的な事実や選択肢を示していくことが、科学者コミュニティには求められています。  
 全ての分野の科学者におかれましては、これらに留意して、創造性に富みかつ信頼できる先端的な知を創出し、これを社会に示していくよう努めていただきたいと思います。日本学術会議としても、「科学技術イノベーション力強化分科会(委員長:北澤宏一)」などにおいて、引き続きイノベーションとの取組みをしっかりと進めてまいります。
日本学術会議会長 金澤 一郎
【参考】
・日本学術会議ホームページ http://www.scj.go.jp
         
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