日本学術会議に関するQ&A/1.会員・連携会員の選考に関すること

      

1.会員・連携会員の選考に関すること

問1-1 現在の会員選考はどのように行われているのですか?

 会員(210名)の選出方法については、様々な議論を経て、全国の科学者による選挙から、学会等による推薦制へと変遷してきました。これらの過去の制度ではいずれもデメリットが顕在化したため、さらなる制度改正の必要性が指摘されるに至りました。昭和59年(1984年)以降、約20年続いていた学会等による推薦制においては、会員が自らの出身母体である学会等の利益代表として行動しがちになるという弊害が顕在化したため、平成17年(2005年)改革により、現会員が会員候補者を推薦する「コ・オプテーション(co-optation)方式」に改められました。
 コ・オプテーション方式は、海外の多くのアカデミーで採用されている標準的な会員選考方式です。会員および連携会員が次期の候補者にふさわしい、「優れた研究又は業績がある」方々を挙げ(第25期の半数改選105名については、約1,300名が挙げられました)、そのなかから学術会議内に設けた「選考委員会」でいくつかの段階を経て慎重に選考し、候補者名簿を幹事会に提出します。幹事会は、会員候補者名簿に基づき、総会の承認を得て、会長に内閣総理大臣へ推薦することを求め、その推薦に基づいて内閣総理大臣が任命するという手順を踏んでいます。その際に「優れた研究又は業績を有する」ことを前提とした上で、学術分野や男女比、地域バランスなどに留意して、適切な会員構成になるように工夫しています。
 連携会員(約2,000名)についても、同様の方法で選考委員会による選考を行った上で幹事会において決定し、会長が任命しています。

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問1-2 コ・オプテーションは現会員が次の会員を選ぶものだと言われていますが、そのようなやり方で公平な選考が行えるのでしょうか。

 「コ・オプテーション(co-optation)」は、辞書では「現会員による新会員の選出」を指すとされていますが、日本学術会議では、現在の会員・連携会員が次期の会員・連携会員にふさわしい方々の名前を挙げ(全部で5名まで、うち会員については2名まで)、そのなかから候補者を選考するという意味でこの言葉を使用しています。コ・オプテーション方式は、海外の多くのアカデミーで採用されている標準的な会員選考方式です。このような方式を採用したのは、「学術的な業績を審査して高度な専門性を備えた優れた科学者を選考することは、その学術分野に通じた科学者以外には困難である」と考えられるからです。
 実際の推薦にあたっては、優れた研究や業績を挙証するデータ、具体的には、十分な査読を経て日本のみならず世界的にも公認され、一定の評価を獲得した論文や、研究の結果得られた特許などの業績を示して推薦を行うことが必要となっています。科学者のコミュニティにおいては、こうした論文などを通して、優れた研究や業績を有する研究者の情報は、研究者間で一定程度共有されており、身近な研究者のみを推薦し、有効な選考の対象とすることは事実上できません。
 選考の手順としては、会員および連携会員が次期の候補者にふさわしい、「優れた研究又は業績がある」方々を、それを挙証する実績に関する情報を付して挙げ(第25期の半数改選105名については、約1,300名が挙げられました)、また、学術会議への協力団体として登録している学会等(以下、協力学術研究団体、約2,000団体)にも会員・連携会員にふさわしいと考えられる方々についての「情報提供」をお願いしており、多数(約1,000名)の情報が寄せられています。そのなかから学術会議内に設けた「選考委員会」でいくつかの段階を経て慎重に選考し、総会で承認した上で、会長が内閣総理大臣に推薦するという手順を踏んでいます。その際に「優れた研究又は業績を有する」ことを前提とした上で、学術分野や男女比、地域バランスなどに留意して、適切な会員構成になるように工夫しています。このような選考手順ですので、ある特定の会員個人が自らの後任を指名し選ばれるということはありません。
 昭和59年(1984年)以降、約20年続いていた学会等による推薦制においては、会員が自らの出身母体である学会等の利益代表として行動しがちになるという弊害が顕在化したため、平成17年(2005年)の改革で学会推薦方式に代えてコ・オプテーション方式を採用することといたしました。

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問1-3 なぜ、日本学術会議は87万人の科学者を代表する、と言えるのですか?

 学術会議への協力団体として登録している学会等(以下、協力学術研究団体)が約2,000団体あります。会員・連携会員の選考の際に選考委員会では、これらのすべての協力学術研究団体にも会員・連携会員にふさわしいと考えられる方々についての「情報提供」をお願いしており、多数(約1,000名)の情報が寄せられています。コ・オプテーション方式が採用された平成17年(2005年)以前は、学術会議の会員選考は学会推薦方式で行われていましたが、現在のコ・オプテーション方式がとられるようになってからも、各学会等との協力を大切にしながら会員・連携会員を選べるようにするために、こうした仕組みを設けました。
 このように、優れた研究や業績に関する客観的データを付して会員・連携会員から推薦された方々(約1,300名)の名簿をもとに、協力学術研究団体から情報提供された方々(約1,000名)の名簿も参考にして、学術会議の3つの部(人文・社会科学系の第一部、生命科学系の第二部、理学・工学系の第三部)の選考分科会において候補者の検討と絞り込みをします。それと同時に、分野にとらわれることなく幅広い分野からの選考も行い、それらの結果を集約して、選考委員会が最終的に105名の会員候補者を判断し、候補者名簿を幹事会に提出します。幹事会は、会員候補者名簿に基づき、総会の承認を得て、会長に内閣総理大臣へ推薦することを求め、その推薦に基づいて内閣総理大臣が任命するという手順を踏んでいます。この間、半年近い長い時間をかけて慎重かつ公平に選考しています。
 さらに、選考過程では、科学技術担当大臣のもとに設けられた「日本学術会議の新たな展望を考える有識者会議」が平成27年(2015年)にまとめた報告書「日本学術会議の今後の展望について」の指摘を踏まえ、ジェンダーや地域、あるいは所属機関の違いも考慮して、科学者コミュニティの多様なあり方がなるべく反映されるよう苦心を重ねているところです。
 このようにして選ばれた会員・連携会員から構成される日本学術会議は、必要となれば、問3-3や問3-4に記すように学会等や学会連合等と連携・協力しながら活動を進めています。

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問1-4 会員・連携会員の任期は6年とされていますが、3年ごとに半数が改選されています。なぜ、そのような方式をとっているのですか?

 日本学術会議としての活動の継続性を確保するためには、6年ごとに一気に交代するのではなく、3年ごとに半数ずつ改選するのが好ましいことからこのような方式をとっています。学術会議の「期」は、発足以来、この3年を単位としており、現在(令和2年(2020年)10月~令和5年(2023年)9月)は第25期です。半数改選を採用している重要な国の組織には、参議院があります。

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