代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称

    (和文)宇宙空間研究委員会(COSPAR)プログラム委員会・科学諮問委員会

    (英文)COSPAR Program Committee & Science Advisory Committee

  2. 会 期
    2026年3月15日から2025年3月17日まで(3日間)
  3. 会議概要
    1. 会議の形式:対面
    2. 会議の開催周期:年1回
    3. 会議開催地、会議場:ライデン・オランダ、ライデン大学
    4. 会議開催母体機関:COSPAR
    5. 会議開催主催機関及びその性格:COSPAR、国際学術機関
    6. 参加状況(参加国名・数、参加者数、日本人参加者の氏名・職名・派遣機関)

      参加国名:イタリア、インド、英国、オランダ、ギリシャ、中国、ドイツ、日本、フランス、米国、ポーランド、ポルトガル、ブラジル
      参加国数:計13か国
      参加者数:30名
      日本人参加者:矢野創・助教・JAXA宇宙科学研究所

    7. 次回会議予定(会期、開催地、主なテーマ):

      会 期:2027年3月
      開催地:パリ・フランス(予定)
      準備組織:COSPAR
      主なテーマ:科学アドバイザリー委員会、総会プログラム委員会等

  4. 会議の学術的内容
    1. 日程と主な議題:

      2026年3月15日~17日、COSPAR運営に関する科学的知見からのアドバイス、8月開催予定総会のプログラム編成の確定、2027年、2029年開催のシンポジウムのテーマ・候補地に関する議論、COSPAR独自の宇宙探査ロードマップに関する討議等。

    2. 提出論文:なし
    3. 学術的内容に関する事項:

      2026年初に米国による中南米への武力攻撃が起き、さらに米国のイラン攻撃直後から、中東を経由しない国際航空運賃が急騰する中で、今回の出張が行われた。日欧航路は往復共に、北にウクライナ、南にイランを望む空域であった。このような状況可下で、米国からの本会議参加はオンライン経由が多くなり、対面参加者の大半は欧州からとなった。このように宇宙科学技術は経済安全保障や地政学と切り離せないため、大型望遠鏡計画や月・火星有人探査のように、国際協力と競争の両輪で進む分野の将来計画の予見性が以前よりも低くなってきたことに、多くの懸念と戸惑いが表明された。同時に、こうした時代にこそ、世界中の宇宙科学者を学術研究で結びつけるCOSPARの役割強化が、冷戦時代以降で今が最も求められている、という見解がCOSPAR会長から語られた。また昨今の宇宙産業の世界的隆盛の波を、宇宙科学探査分野にもとりこむべく、COSPARと世界の民間宇宙企業との連携強化が図られた。

    4. その他の特記事項:

      報告すべき審議内容・成果:
       SCAC(科学アドバイザリー会議)では、COSPAR全体で策定中の新しい宇宙探査ロードマップの検討状況、全科学委員会およびパネル代表者からの活動報告、2029年4月の小惑星アポフィスの地球最接近に向けた国際連合をはじめとする世界中の「地球防衛」活動におけるCOSPARが果たすべき役割についての議論などが、熱心に行われた。
       PC(プログラム委員会会議)では、2026年8月にイタリア・フィレンツェで開催される科学総会の全学術プログラムを策定した。また2027年と2029年に開催されるシンポジウムについて、主要テーマと開催地候補についての議論が行われた。2027年は中国で宇宙生命科学を主題とした開催が提案された。2029年は国際連合が定める「小惑星探索と地球防衛の国際年」であることから、アポフィス地球最接近の科学成果を世界に発信するシンポジウムを、例年よりも早く選抜すべきという意見がまとまり、最有力な候補地として日本が支持された。

      日本が果たした役割:

      (1)科学コミッションB(太陽系探査科学全般)委員長である筆者は、2025年キプロスシンポジウムの運営、2026年フィレンツェ総会のプログラム編成を主導した。

      (2)2027年に策定予定のCOSPARの新しい宇宙探査ロードマップへ、世界中の宇宙科学者の意見を集約するために、COSPAR以外の主要国際会議でもタウンホールの開催が行われている。日本でも6月開催のJPGUにおいて、同様な意見収集の機会を持つことになった。

      (3)2029年のCOSPARシンポジウムを、2029年4月のアポフィス地球最接近時の天文観測と宇宙機探査による科学成果を一堂に会して世界に発信する機会とする構想を提案し、日本での開催可能性を尋ねたところ、SCACおよび本会議後の理事会でも全会一致で支持が表明された。今後、日本学術会議COSPAR小委員会で、正式なシンポジウム誘致の決議を行い、日本学術会議との共同主催を目指す方針とした。

      共同声明の有無:なし

      国内外での報道状況:国内ではなし。国際的には、LinkedIn等のSNSメディア及びCOSPAR 公式ホームページ等で準リアルタイムの報告がなされた。

      次回開催に向けての課題等:
       通常使用しているフランス宇宙機関(CNES)本部ビルが改修中のため、2025年はローマ、2026年はライデンにて開催された。2027年3月の定期会議は、改修後のCNES本部に戻る可能性がある。現在発生している各地の地政学的紛争に引き続き注意し、オンライン開催オプションも排除せず、次回も安全かつ継続的に開催することを優先すべきである。

所見

 従来の会議場であるパリ市内のCNES本部の改修工事が一年以上予定を超えて継続しているため、昨年のローマに続き、今回はオランダ・ライデン大学構内にて開催された。15日に本会議前の事前個別打ち合わせを行い、16日・17日の2日間は朝から夜までスケジュールが組まれた全体会議に出席した。さらに翌日(18日)には理事会関連の事後個別会議に出席した。
 2025年は新しい委員の追加はなく、すでに全委員と互いをファーストネームで呼び合う信頼関係を築いた状況で、今回の会議を迎えた。その結果、このような限られた日程の中であっても、効率よく本質的な議論を集中して行えたことが、例年よりも円滑に総会の学術プログラムの編成を完成できたことにつながった。
 8月総会で科学委員会B委員長の二期目に入り、COSPAR日本代表も藤本委員長より引き継ぐことが決まっている筆者としては、今後も毎年この会議メンバーと協力しながら、世界の宇宙科学コミュニティに奉仕する決意を固める機会となった。
 さらに2029年シンポジウムを日本で開催できれば、1968年の東京、1998年の名古屋での科学総会開催以来、31年ぶり3回目のCOSPAR開催となる。今後、速やかに日本学術会議COSPAR小委員会で誘致を議論したいと考える。


  • 2026年3月COSPAR評議会@オランダ・ライデン大学