代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称
    (和文)国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)サテライトイベント・科学アカデミー連携による気候変動対策会議
    (英文)A Scientific Call for COP30: Science Academies United for Climate Action
  2. 会 期
    2025年10月20日から2025年10月22日まで(3日間)
  3. 会議概要
    1. 会議の形式:テーマ別セッションでの発表、質疑応答、共同声明に関する議論
    2. 会議の開催周期:1回のみ
    3. 会議開催地、会議場:ブラジル・マナウス、INPA Science Auditorium
    4. 会議開催母体機関:ブラジル科学アカデミー
    5. 会議開催主催機関及びその性格:ブラジル科学アカデミー
  4. 会議の学術的内容
    1. 日程と主な議題:2025年10月20日から22日
      気候変動の緩和と適応に関する科学的な知見からの政策立案に対して重要な科学的知見について、5つのテーマ別セッションのそれぞれにおいて3つの発表とパネル形式の質疑応答が行われ、また6名のパネリストによる討議型質疑応答が行われた。これらの5セッションのテーマは以下のとおり。
      1.Rethinking Tomorrow: can we truly build a sustainable climate future?
      2.Biodiversity: a living treasure and a global solution
      3.Global Climate Frontiers: international scientific cooperation for a sustainable future
      4.The Climate Crisis: science, evidence, and the tipping point of the planet
      5.From Insight to Action: justice and sustainability in the climate crisis
      なお、筆者はセッション2において講演を行い、パネル討議に参加した。また、最終日には、(4)の特記事項にあるように、共同宣言文書についての意見交換が行われた。
    2. 提出論文:なし
    3. 学術的内容に関する事項(当該分野の学術の動向、今後の重要課題等):COP30に関する学術分野を超えての国際連携の重要性が認識された。
    4. その他の特記事項:
      会議の最終日(22日)には、現地参加23か国のナショナルアカデミー代表(約40名)が順番に発言し、気候変動の緩和と適応に関する科学的研究の重要性、また、気候変動対策と生物多様性保全や原住民などの権利の保護などを同時に実現させる方策についての、学際的なアプローチや国際協力の重要性が再認識された。その上で、事前準備をされていた共同声明 “A scientific call for COP30: Science Academies United for Climate Action”が参加国代表によって承認され、問い合わせ中の非参加のアカデミーからの承認も待って声明が公表されることが承認された。結果として、38か国のアカデミーが承認した共同声明が11月4日に公表された。共同声明を承認した多くの国が中南米であったが、先進国からの承認は日本、フランス、オーストラリア、ポルトガル(以上、現地参加)、オーストリア、カナダ、デンマーク、フィンランド、ドイツ、アイルランド、スイス、韓国、英国 (以上、メールでの承認)であり、事前の共同声明下書きへのコメントも含めて、有意義な議論に貢献できたと考える。

所見

主催者であるブラジル科学アカデミーの中核メンバー達の、科学的知見をCOP30での議論に活かしてほしいという本会議開催に向けての意気込みが感じられた。特に、ブラジル科学アカデミー会長のHelen Nader 博士は、全般を通して司会進行や共同声明の取りまとめなど、積極的にリーダーシップを発揮していた。また、今回ラテンアメリカやヨーロッパの科学アカデミー連合(Laten American Academy of Sciences, European Academy of Sciences)の地域ごとの学術交流に果たす役割についても理解ができた。テーマ別セッションには、アカデミー外からのブラジルの科学者も参加し、ブラジルの環境科学の様々な分野において高いレベルの最先端研究が行われていることが伺われた。これらの発表者や他のラテンアメリカからの派遣者においても、若手や女性が十分に含まれていたことも評価できる。気候変動対策における人権保護への留意が世界的に議論される中、原住民活動家の代表としてAlto Rio Negro Indigenous Territory から Dzoodzo Baniwa 氏が講演を行いパネル討議に参加したが、この時だけは同時通訳が入った。この場面も含めて、参加者全てを同じく尊重して議論しようという民主的な運営のよさも感じられた。国際的に気候変動対策の足並みが揃わないということを意識しつつも、気候変動対策の要として熱帯林保全の重要性、生物多様性保全、カーボンニュートラル推進の同時達成を位置付けることについて、アカデミーの科学者が一丸となって国際的に発信していかなければいけない、という主催者の熱意が感じられた。

参加者集合写真
参加者集合写真
主催者側代表のHelen Nader博士
主催者側代表のHelen Nader博士 (ブラジル科学アカデミー会長)
北島(筆者)発表
北島(筆者)発表:日本学術会議のカーボンニュートラルの取り組みに言及しているところ
セッション2のパネリスト
セッション2のパネル:Adalberto Luis Val (INPA, Brazil, Member of the World Academy of Sciences), 筆者(日本学術会議代表)、Ricardo Abramovay (Institute of Energy and Environment, University of San Paulo), Jailson Bittencourt de Andrade (ブラジル科学アカデミー副会長)