代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称
    (和文)科学技術データ委員会(CODATA)総会及びInternational Data Week 2025
    (英文)CODATA General Assembly and International Data Week
  2. 会 期
    2025年10月13日から2025年10月18日まで(6日間)
  3. 会議概要
    1. 会議の形式:ハイブリッド形式で行われた。
    2. 会議の開催周期:
      CODATA総会及び国際データウィークは、2年に一度開催される。
      もともと、偶数年に開催されていたが、COVID-19の感染拡大により、開催年が1年ずれたため、現在は奇数年に開催される。
    3. 会議開催地、会議場:オーストラリア・ブリスベン、ブリスベン展示場(Brisbane Convention & Exhibition Centre)
    4. 会議開催母体機関:
      科学技術データ委員会(CODATA)総会:科学技術データ委員会(CODATA)
      国際データウィーク:データ委員会(CODATA)、世界データシステム(WDS)、研究データ連合(RDA)
    5. 会議開催主催機関及びその性格:母体機関と主催機関は同一である。
      CODATAは、科学技術データの共有や社会課題解決に向けた利活用について、加盟国の代表や、加盟学術団体の代表が、それぞれの立場も踏まえながら、意見交換をし、持続可能な社会の実現に向けた、意思決定や合意形成を目指すものである。加盟国や加盟学術団体が分担金を支払う形で運営される。(http://www.codata.org/)
      WDSは、研究データベースやデータリポジトリを運用する機関が加盟し、データベースやデータリポジトリの運営上の課題や、相互連携等について議論するものである。加盟機関の中から、事務局を運営する機関を選出し、一定期間毎に、持ち回りで運営する。事務局を運営する機関が運営費を支出する。(https://www.worlddatasystem.org/)
      RDAは、ヨーロッパ、米国、オーストラリアの資金提供機関により設立されたものである。会員は、個人と営利および非営利組織で構成され、データ交換に関する障壁を下げるための、政策、実践、技術、基盤の実装について議論するものである。(https://rd-alliance.org/)
    6. 参加状況(参加国名・数、参加者数、日本人参加者の氏名・職名・派遣機関)
      国際データウィークの参加者数は807名で、会場に704名、オンラインに103名、6大陸の75か国からの参加があった。
      107のセッションがあり、4つのプレナリと130のポスター発表があった。
      日本人参加者の氏名・職名・派遣機関は以下の通りである。
      大武美保子・理化学研究所チームディレクター・日本学術会議(日本代表として)(会場での参加)
      芦野俊宏・東洋大学教授・東洋大学(2023-2025年任期の理事として)(オンライン参加)
      南山泰之・東京大学准教授・東京大学(理事候補として)(レコーディング参加)
      日本からの参加者は31名で、会場に27名、オンラインに4名が参加した。
      CODATA総会に登録した国および学術団体の代表者数は55名で、そのうち26名の代表者が会場で、27名がオンラインで、役員およびタスクグループの選挙において投票した。18名が国を代表し、22名が学術団体を代表し、それ以外は連携もしくは機関メンバーである。
      日本から立候補した南山泰之氏が、投票により2025-2027年任期の理事に選出された。
    7. 次回会議予定(会期、開催地、主なテーマ):
      次回は、2027年9月20日から9月23日まで、南アフリカ共和国のケープタウンにて実施される予定。準備組織は、国際データウィークでは、科学技術データ委員会(CODATA)と世界データシステム(WDS)、研究データ連合(RDA)、CODATA総会は、CODATAである。
      主なテーマは、地球規模の課題解決のための科学とデータの公開(Open Science and Open Data for Global Solutions)である。
      <参考資料>
      国際データウィーク2027(https://internationaldataweek.org/idw-2027/)
  4. 会議の学術的内容
    1. 日程と主な議題:
      CODATA総会:2025年10月17日から18日
      主な議題:CODATAの運営
       科学技術データ委員会(CODATA)総会は、国際データウィークの直後に連続して開催された。加盟国代表者、加盟学術団体代表者及びオブザーバが参加し、事務局長(Secretary General)、会計(Treasurer)、理事(Executive Committee)を代表者の中から選挙で選出した。
      CODATA総会は、2年おきに国際データウィークの会期後に開催される。会長と副会長、事務局長と会計の任期はいずれも4年で、4年おきに交互に改選される。2025年は、事務局長と会計の改選の年である。なお、理事の任期は2年であることから、理事は2年おきに改選される。
       タスクグループの選定、戦略計画や会計の承認を行った。代表者が投票権を持ち、それぞれの選挙や選定、承認に対して、一票を投じた。この他、委員会に関連するプロジェクトの活動報告や、科学技術データの在り方、CODATAの運営に関する議論をした。
      <参考資料>
      CODATA総会2025(https://codata.org/events/general-assembly/general-assembly-2025/)
      国際データウィーク:2025年10月13日から16日
      主な議題:国際データウィークは、CODATAと世界データシステム(WDS)が共催で開催するSciDataConと、研究データ連合(RDA)が共催で実施する、科学技術データに関する国際的な議論をする会議である。CODATAとWDS、RDA及びそれに関連する国際的な取り組みの関係者が研究発表を行う。
       科学技術データ委員会(CODATA)、国際データシステム(WDS)、研究データ連携(RDA)のそれぞれに関連するパラレルセッションと合同のプレナリセッションとで構成。パラレルセッションでは、それぞれの組織における研究成果、実施状況、課題について、合同のプレナリセッションでは、共通の課題を全体で共有しながら議論が行われた。
       国際データウィーク2025のテーマは、データで前向きの変化をもたらす:コミュニティを力づけ研究を推進しよう(Data for positive change: Empowering communities and advancing research)である。筆者は、CODATA総会および国際データウィークに対面で参加し発表を行った。
      <参考資料>
      国際データウィーク2025(https://internationaldataweek.org/idw2025/)
    2. 提出論文:
      CODATA総会:
      この会議では、論文発表は行わないが、筆者は、タスクグループData driven social change towards society promoting cognitively healthy ageingの提言策定ために行っているアンケートへの協力を求める発表を行った。また、科学技術データの在り方やCODATAの運営についての意見交換を行った。
      国際データウィーク:
      筆者は、理化学研究所で主催するチームのアレクサンドラ・ウルフ研究員との共著で、以下の論文を提出し、発表を行った。
      Data for Cognitive Health Equity: Shaping Global Data Ecosystems for Healthy Aging
      これは、2023年のCODATA総会で提案し、採択されたタスクグループ、Data driven social change towards society promoting cognitively healthy ageingの活動の一環と位置付けられる。このタスクグループは、2023年に開始し、2025年までの活動期間で、認知的健康な加齢を可能とするデータに基づく社会変革に向けた提言をまとめ、発信することを目指している。セッションでは、議論の前提となる知識を共有する発表を行ったのち、会場参加者と双方向の意見交換を行った。
    3. 学術的内容に関する事項(当該分野の学術の動向、今後の重要課題等):
      CODATAの主要な取り組みとして、以下の4つの領域に分けて報告が行われた。

      1) Making Data Work(データの利活用について)
      -WorldFAIR(2022-2024) and WorldFAIR+(2024+), CDIF
      -WolrdFAIRに基づく政策提言
      -Global Open Science Cloud Initiative


      2) Data Policy(データ政策)
      -International Data Policy Committee
      -Data Policy in Times of Crisis


      3) Data Science and AI for Science(データサイエンスと科学のためのAI)
      -CODATA RDM Terminology
      -UNDRR-ISC Hazard Information Profiles
      -CODATA Training Workshops / Data Schools
      -CODATA Connect Early Career Network


      4) Task Groups and Working Groups(タスクグループとワーキンググループ)

      以下、項目毎に説明する。

      1) Making Data Work(データの利活用について)
      FAIRデータ原則とは、次のように定義される。これを実現しようとするのが、WorldFAIR and WorldFAIR+、CDIFなどの取り組みである。
      The FAIR data principles are international guidelines for research data management that aim to optimise the reuse of research data. This is achieved by making research data Findable, Accessible, Interoperable and Reusable (FAIR).
      WorldFAIRでは、11の分野の事例が集まった。実装のための提言などの成果が得られ、中でも、分野横断で相互利用可能な枠組みとして、Cross Domain Interoperable Framework (CDIF)が提案された。
      CDIFを実装するための仕様として、DDI CDIが提案されている。
      WorldFAIR+では、様々な支援機関による支援のもと、CDIFの枠組みに基づいてFAIRデータ原則を実装するプロジェクトが行われている。
      Global Open Science Cloud Initiativeは、Open ScienceとFAIRデータ原則を実現する各国の取り組みの間の連携を図ることを目指すものである。
      地域と連携する仕組みとして、ケニア、タイ、モンゴルなどが地域支部を立ち上げている。


      2) Data Policy(データ政策)
      International Data Policy Committee (IDPC)は、Open ScienceとFAIRデータ原則を実現するための効果的で適切な政策提言を推進するものである。
      IDPCの具体的な成果物として、災害時のデータ政策Data Policy in Times of Crisisは、UNESCOとCODATAの共同ワーキンググループによる政策提言が、UNESCO International Decade of Sciences for Sustainable Development (2024-2033) 持続可能な開発のための科学の10年に提出されたとの報告があった。


      3) Data Science and AI for Science(データサイエンスと科学のためのAI)
      CODATA Research Data Management (RDM) Terminology は、CASRAI RDM terminologyという先行するプロジェクトが終了することを受けて、その改訂を行うものである。
      UNDRR-ISC Hazard Information Profilesは、災害情報の表現を定義するもので、CODATAはFAIR原則に基づく辞書に追加するよう助言している。
      CODATA Training Workshops / Data Schoolsは、RDAなど様々な機関と連携して、若手研究者にデータに関する課題に取り組めるようトレーニングする環境を提供するものである。
      CODATA Connect Early Career Networkは、CODATA Training Workshops / Data Schools の卒業生が、これらの活動のフォローアップができるようにと設立した、Data Schoolsの関係者や参加者をネットワークすることを出発点に、CODATAの若手による活動を若手により支援することを目指すものである。ウェビナーやポッドキャストによるセミナーが、継続して行われている。


      4) Task Groups and Working Groups(タスクグループとワーキンググループ)
      Task Groups and Working Groups は、CODATA総会に合わせて2年に1回提案の機会があり、2023-2025年の期間については、8つのタスクグループ、1つのStandingタスクグループ、1つのワーキンググループが採択され、活動を行っている。


      <参考資料>
      WorldFAIR
      https://codata.org/initiatives/decadal-programme2/worldfair/
      https://bit.ly/WorldFAIR-Final-Coordinator-Message
      https://bit.ly/WorldFAIR-Case-Study-Outputs

      WorldFAIR+
      https://bit.ly/worldfair-plus

      CDIF
      https://cdif.codata.org

      Global Open Science Cloud Initiative
      https://codata.org/initiatives/decadal-programme2/global-open-science-cloud/
      https://bit.ly/ISOSC-2025-CNIC-Report

      International Data Policy Committee
      https://codata.org/initiatives/data-policy/international-data-policy-committee/

      Data Policy in Times of Crisis
      https://bit.ly/UNESCO-CODATA-DPTC-Toolkit

      CODATA RDM Terminology
      https://bit.ly/CODATA-RDM-Terminology

      UNDRR-ISC Hazard Information Profiles
      https://www.preventionweb.net/drr-glossary/hips

      CODATA-RDA Schools of Research Data Science
      https://www.datascienceschools.org//

      CODATA-CNIC Training Workshops
      https://codata.org/events/training-workshops/
      CODATA Connect
      https://bit.ly/CODATA-Connect

      CODATA Task Groups
      https://codata.org/initiatives/task-groups/

      CODATA Working Groups
      https://codata.org/initiatives/working-groups/
    4. その他の特記事項:
      特記事項として、日本のCODATAに対する主体的な役割について、以下の成果が挙げられる。
      2018年から2025年の任期で理事を務めた、芦野俊宏氏(東洋大学)が任期を満了した。これを引き継ぐ形で、2025年から2027年の任期で立候補した、南山泰之氏(東京大学)が理事に選出された。定員10名のところ、20名の候補者がある激戦の中、アジア・中東地域から、唯一国を代表するメンバーとして選出されたことは、日本の貢献への期待を表すものと考えられる。

所見

国際データウィークにおいては、AI技術の急速な進展に伴い、科学そのものの在り方が変化していることから、AI for Scienceの議論がこれまでのデータサイエンスの議論の蓄積の上になされた。AI開発において、AIに学習させるデータの扱いは品質保証や運用上の課題となっており、データ利活用の研究の重要性が以前に増して高まっている。その文脈の中で、AIがデータを処理することを前提としたデータ整備について盛んに議論が行われた。
世界をどのように記述しデータとして表現するかについて、分野毎に議論しデータセットが構築されている状況である。分野を横断して利活用できるための表現方法についても議論が行われ、一部の横断的な領域についてはFAIRデータ原則に基づくデータ表現が実装されている。AIはデータがあれば動くが、逆にデータがなければ動かない。データはすべての領域、事象に対して存在するわけではなく、大量にあると言っても、世界の一部を切り取ったに過ぎないため、どのような領域に対して、どのようなデータセットを整備するかは課題が残されており、戦略が求められる。
CODATA総会について、データの利活用に関する活動報告があり、2023年では、枠組みを提案する段階であったものが、2025年になると、具体的な実装事例や提言などの形で報告が行われるようになった。

筆者がIDW2025におけてセッション、発表している様子
筆者がIDW2025におけてセッション、発表している様子
参加者と活発な意見交換を行った 参加者と活発な意見交換を行った 参加者と活発な意見交換を行った 参加者と活発な意見交換を行った
参加者と活発な意見交換を行った
筆者(左)がタスクグループの活動を支援頂いているCODATA事務局のHanaさん(中)と一緒にセッションをオーガナイズしたAlexandraさん(右)
筆者(左)がタスクグループの活動を支援頂いているCODATA事務局のHanaさん(中)と
一緒にセッションをオーガナイズしたAlexandraさん(右)
IDW2025閉会式の様子 参加者集合写真
IDW2025閉会式の様子 参加者集合写真
IDW2025の翌日から開催されたCODATA総会 グループ討議をしたメンバーとの写真
IDW2025の翌日から開催されたCODATA総会 グループ討議をしたメンバーとの写真