代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称
    (和文)国際地形学会(IAG)地域大会及び役員会
    (英文)IAG Regional Conference on Geomorphology and Executive Committee Meeting
  2. 会 期
    2025年9月15日から2025年9月18日まで(4日間)
  3. 会議概要
    1. 会議の形式:
      地域大会:開会式、総会、基調講演、学術口頭発表、学術ポスター発表、各国代表者会議、巡検、閉会式を対面で実施。
      役員会:地域大会の前日に対面で実施。
    2. 会議の開催周期:
      国際地形学会(International Association of Geomorphologists: IAG)の大会は、4年に一度の本大会と、その間の3年間に行われる地域大会に区分される。地域大会は3年間に1~3回行われ、同一の年に複数行われることはない。今回の会議の前の地域大会は2023年にトルコで開催された。一方、国際地形学会の役員会は本大会・地域大会の際に対面で行われ、その他の時期にもオンラインで行われる。開催の頻度は対面・オンラインを合わせて年に2~3回である。
    3. 会議開催地、会議場:
      地域大会:ルーマニア国ティミショアラ市、西ティミショアラ大学
      役員会:同市、サヴォイホテル会議室
    4. 会議開催母体機関:国際地形学会(IAG)
    5. 会議開催主催機関及びその性格:
      ルーマニア地形学会(ルーマニアの地形学者による学術団体で、団体として国際地形学会に加盟)および西ティミショアラ大学地理学科
    6. 参加状況(参加国名・数、参加者数、日本人参加者の氏名・職名・派遣機関)
      大会にはルーマニア、イタリア、インド、カナダ、オランダ、ギリシャ、スペイン、スロバキア、スロベニア、セルビア、チュニジア、日本、ノルウェー、ハンガリー、フランス、ブルガリア、米国、ポーランドなどの33ヶ国から249名が参加。
      日本からの参加者は次の4名(五十音順)
      小口高(東京大学・教授・筆者)、早川裕一(北海道大学・准教授)、船引彩子(東京理科大学・専任講師)、松岡憲和(茨城大学・特任教授)
      役員会にはアルゼンチン、インド、日本、ノルウェー、フランス、ポーランド、ルーマニアから9名が参加(欠席役員7名)。日本からの参加者は筆者。
    7. 次回会議予定(会期、開催地、主なテーマ):
      国際地形学会の本大会が2026年2月2日~6日にニュージーランド・クライストチャーチ市で開催され、直前の2月1日に役員会が開催される予定。準備組織はオーストラリア・ニュージーランド地形学会とニュージーランド河川協会(Rivers Group)。会議では地形学の全分野を扱う。この本大会の際に2027~2029年に行われる地域大会および2030年の本大会を招聘する提案と、それに対する投票が行われて開催地が決定される
  4. 会議の学術的内容
    1. 日程と主な議題:
      役員会(9月15日):以下の内容について状況報告と質疑が行われた。
      1)翌日からの地域大会の準備
      2)2026年2月にニュージーランドで行われる本大会の準備
      3)学会の会計
      4)学会の加盟国
      5)学会のワーキンググループ
      6)関連他学会との交流
      7)ウェビナーの開催
      8)学会のウェブサイトとソーシャルメディア
      9)若手支援のプログラム
      地域大会(9月16~18日):
      地形学の多様な分野をカバーした20のセッションが3日間に分散して開催された。セッションのテーマは河川地形、海岸地形、カルスト地形、氷河地形、周氷河地形、変動地形、地すべり、気候変化と地形の関係、人間活動と地形の関係、地形学の社会的な意義などであった。さらに4回の基調講演、会議全体の開会式と閉会式、および国際地形学会の総会と各国代表者会議も行われた。
    2. 提出論文:
      大会の期間に135件の口頭発表と97件のポスター発表が行われた。日本からの発表は以下の3件。
      Funabuki, A., et al. Landforms and distribution of archaeological sites in the Lower Thu Bon River Plain, Central Vietnam
      Matsuoka, N. Distribution, morphology and processes of sorted patterned ground: a global perspective
      Oguchi, T., Hayakawa, Y. et al. Research projects to analyze and compare landslides in Japan, Romania, and Ital
    3. 学術的内容に関する事項:

      上記のように今回の大会では地形学の広い分野が対象とされたが、人間や社会と関連したセッションが過去の大会よりも相対的に多い傾向があった。たとえば、地域の持続的発展における地形の役割や、教育や観光の資源としての地形の役割などが議論された。これは、地形学が人間の活動の場である地表面を対象としていることと、SDGsの考えの普及などにより自然科学と社会との関係が以前よりも重視されていることを反映すると考えられる。

    4. その他の特記事項:

      会場にはルーマニア国の報道関係者と思われる人がおり、同国内で報道が行われた可能性がある。また、次回のニュージーランド大会には1,000件以上の講演要旨が投稿されており、当初の予想よりも大規模な大会になることが各国代表者会議などで報告された。

所見

国際地形学会の本大会と地域大会は、通常は1年もしくはそれ以上の期間を空けて夏季に行われるが、今回の地域大会は次の本大会との間が5ヶ月と短かった。これは、本大会が南半球のニュージーランドでの開催になったため、現地の夏季である2月に前倒しになったためである。このような変則的な状況により、今回の地域大会の参加者が減少した可能性がある。しかし、大学での開催ということもあり、若手の発表者や支援者が目立った活気のある大会になっていた。また、大会参加者の大半が参加した中日の巡検と夕食会は、交流の良い機会となった。通常の国際地形学会の大会では、巡検や夕食会は登録料とは別に参加費を徴収するため参加者が限られる。ルーマニアの大会主催者は、スポンサーからの財政支援や学生ボランティアを活用し、比較的安価な登録料で多様な機会を提供し、大会を充実させることに成功していた。

国際地形学会の最近の地域会議は、2019年にギリシャ、2023年にトルコで行われ、今回のルーマニアも合わせて東欧とその近隣国に集中している。国際地形学会が1970年代に発足した当時は西欧の研究者を中心とする団体であったが、最近は周辺地域の重要性が増している。一方、国際地形学会は全球的な団体でもあり、たとえば現在の役員は東アジア、南アジア、オセアニア、中東、東欧、西欧、北欧、アフリカ、北米、南米から選ばれている。日本は2001年に国際地形学会の本大会を東京で開催した実績を持つが、それ以降に東アジアで大会が行われたことはない。今後、東アジアでの大会の開催について、日本と周辺国が検討すべき状況にあると感じた。



1.大会開催校・西ティミショアラ大学 入口に大会の看板がある
1.大会開催校・西ティミショアラ大学 入口に大会の看板がある

2.総会
2.総会

3.基調講演
3.基調講演

4.口頭発表
4.口頭発表

5.ポスター発表
5.ポスター発表

6.各国代表者会議
6.各国代表者会議

7.大会中の巡検
7.大会中の巡検