代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称
    （和文）第40回国際生理科学連合コングレス（IUPS）2025及び総会
    （英文）The 40th International Union of Physiological Sciences Congress (IUPS)2025 and General Assembly
  2. 会 期
    2025年9月11日から2025年9月14日まで（4日間）
    (コングレス開催に先立ち９月10日に執行部会議、９月11日の午前にGeneral Assemblyが開催)
  3. 会議概要
    1. 会議の形式：オンサイト開催
    2. 会議の開催周期：４年に一度
    3. 会議開催地、会議場：ドイツ・フランクフルト、Kap Europa Convention Center
    4. 会議開催母体機関：国際生理科学連合（International Union of Physiological Sciences (IUPS)）
    5. 会議開催主催機関及びその性格：
      ヨーロッパ生理科学連合 (FFEPS)：
      欧州における生理科学の研究および教育の振興をはかるための学術団体
      ドイツ生理学会 (DPS)：
      ドイツにおける生理科学の研究および教育の振興をはかるための学術団体
      英国生理学会 (TPS)：
      英国における生理科学の研究および教育の振興をはかるための学術団体
      スカンジナビアン生理学会 (SPS)：
      北欧における生理科学の研究および教育の振興をはかるための学術団体
    6. 参加状況（参加国名・数、参加者数、日本人参加者の氏名・職名・派遣機関）
      70の国と地域から、約1,500人が参加登録。
      日本人の参加登録者は約70人。
      網羅的にリストすることはできないが、コングレスのみならず、Genera Assembly（総会）にも出席したメンバーは以下の通り。
      赤羽悟美（東邦大学教授・IUPS分科会委員長・日本学術会議連携会員）：代議員

      久保義弘（自然科学研究機構生理学研究所教授・IUPS分科会副委員長・日本学術会議連携会員）：IUP 2nd Vice-President、今総会にてIUPS Presidentに選出

      岡村康司（大阪大学教授・IUPS分科会幹事・日本学術会議会員）：代議員、IUPS Council、今総会にて次期Councilに引き続き選出
      中條浩一（自治医科大学教授・IUPS分科会幹事・日本学術会議連携会員・筆者）：代議員
      日比野浩（大阪大学教授・IUPS分科会委員・日本学術会議連携会員）：代議員、開催が決定した次回IUPS2029のCongress President
      平野勝也（香川大学教授・日本生理学会副理事長）：代議員
      西谷（中村）友重（和歌山県立医科大学教授・日本生理学会副理事長）：代議員
    7. 次回会議予定（会期、開催地、主なテーマ）：
      (a) IUPS2029国際プログラム委員会
      IUPS2029に先立って複数回開催される予定だが開催時期は未定。オンライン開催となる予定。
      (b) IUPS2029コングレス、総会、理事会
      会期：2029年
      開催地：神戸（日本）
      準備組織：日本生理学会
      主なテーマ：Physiology Ahead – Towards a Borderless & Interdisciplinary Life Science
  4. 会議の学術的内容
    1. 日程と主な議題：
      a. IUPS（旧）執行部会議（９月10日）：翌日の総会の議事進行の確認等
      b. IUPS総会（９月11日）：次期（2025-2029）の執行部メンバー及び理事の選出、次期開催候補地のプレゼンテーションと投票
      c. IUPS 2025 Congress（９月11日-14日）：学術講演等
      d. IUPS（新）執行部会議（９月12日）：今後の活動方針の議論の頭出し等
      e. IUPS（新）Council会議（９月13日）：今後の活動方針の議論の頭出し等
    2. 提出論文：
      a. ２題の全体講演、８題の特別講演、24題の基調講演、243件のシンポジウム等が実施された。
      b. 月田早智子（帝京大学特任教授）と河西春郎（東京大学特任教授）が特別講演を行った。
      c. 狩野方伸（帝京大学特任教授）が基調講演を行った。
      d. 日本人が議長を務めたシンポジウム
      ・筆者が議長を務め、水谷夏希（自治医科大学助教）が講演者を務めた。
      　Ion Channel Regulation：Structure, Function and Physiology
    3. 学術的内容に関する事項：

      精密な分子メカニズムの解明を目指した研究、そして脳・臓器間連携、腸内細菌も含めたシステムの統合的理解に関する話題が多くみられた。AIやデジタルツイン等の先進技術を駆使した研究、再生・老化を考慮した疾患モデル開発などが今後の重要な課題であると感じられた。教育面では、生成AI時代に「どのような生理学教育を行うか」という課題も活発に議論されていた。

    4. その他の特記事項：

      a. 次期IUPS2029を日本の神戸で開催することが決定した。大阪大学の日比野浩（IUPS分科会委員）が、投票に先立ち“Physiology Ahead – Towards a Borderless & Interdisciplinary Life Science”というテーマを掲げて力強い招致演説を行い、各国生理学会の代議員による投票で１位となった。今後、IUPS2029のCongress Presidentに就任する日比野教授を中心に、ホストを務める日本生理学会等が一丸となって2029年に向けた準備が進められる予定である。

      b. これまで2nd Vice-Presidentを務めていた久保義弘（IUPS分科会副委員長）がIUPS Presidentに選出された。また岡村康司(IUPS分科会幹事)が、IUPS CouncilおよびCommission ６ （Molecular & Cellular Physiology）の議長に、前回に引き続き選出された。それぞれ2029年までの任期となる。

所見



IUPS2029日本開催の決定が発表された際の、日比野浩（IUPS分科会委員）の演説
IUPS2029日本開催の決定が発表された際の、日比野浩（IUPS分科会委員）の演説