第15回アカデミー及び学術団体の国際人権ネットワーク(IHRN)隔年総会

代表派遣会議出席報告

会議概要

名称

(和文)第15回アカデミー及び学術団体の国際人権ネットワーク(IHRN)隔年総会 (英文)15th Biennial Meeting of the International Human Rights Network of Academies and Scholarly Societies

会期

2025年9月9日から2025年9月11日まで(3日間)

会議概要

会議の形式:対面、一部報告者(2名)オンライン

会議の開催周期:隔年(2年に1回)

会議開催地

、会議場:ノルウェー・オスロ Norwegian Academy of Science and Letters

会議開催母体機関:International Human Rights Network of Academies and Scholarly Societies,IHRN (国際アカデミー・学術学会人権ネットワーク)

会議開催主催機関及びその性格:Norwegian Academy of Science and Letters (ノルウェー科学文学アカデミー)

参加状況

(参加国名・数、参加者数、日本人参加者の氏名・職名・派遣機関) 参加国・地域数:ノルウェー、米国、英国、スコットランド、デンマーク、トルコ、スロヴェニア、ガーナ、ケニア、ブラジル、台湾、フランス、ドイツ、インド、フィンランド等。(38か国・地域のアカデミーと国際学術会議(ISC))
参加者数:53名(うち2名オンライン) 主な日本からの参加者:南野佳代(筆者)・京都女子大学教授・日本学術会議

次回会議予定(会期、開催地、主なテーマ):2027年、開催地未定

会議の学術的内容

日程と主な議題:The Relationship between Academic Freedom and Human Rights
9月9日:開会スピーチと公開シンポジウム
 1.人権と学問の自由の関係
 2.科学の自由と科学者の安全の向上
 3.学問の自由と安全保障の緊張関係
9月10日:公開シンポジウム  
4.学問の自由に対してAIが提示する課題と機会についての対話
 
5.研究資金、学問の自由、オープンアクセス
 
6.現代社会の学問の自由の難題に対処するアカデミーの役割
 
議論のまとめ
9月11日:国際人権ネットワークの今後の活動について(非公開)

提出論文: 事前提出論文はなし:成果の詳細がHPに掲載される予定。
9月11日の議論のために、前日夜メール配信(と当日紙媒体で配布、報告者が急遽欠席のため)された「研究ノート」が1点(①)、当日紙媒体で配布された資料が2点(②、③) ① Carlos Aguirre-Bastos National Academy of Sciences of Bolivia “Financing, Academic Freedom, and Human Rights” ② Written Testimony of David Kaye Clinical Professor of Law University of California, Irvine School of Law ③ A Statement by Scientists on the Situation in Gaza (プレゼンテーションはPPTまたは口頭で行われた。各セッション準備用概要(8月提出)をセッション報告者とコーディネータのみで共有。)

学術的内容に関する事項(当該分野の学術の動向、今後の重要課題等) 以下について、参加各国の報告とフロアとの意見交換によっての共通理解が形成された。(全体的なまとめとなる。) ・学問の自由と人権の関係については、いずれも国際人権法、民主主義国の憲法に基づく権利であり、前者は後者の基盤となるべきものである。確立された科学的方法に基づき実証された事実が尊重されてこそ、人権保障に必要な政策が適切に決定され実施されることが可能となるためである。世界的な傾向として、これが逆転されかけていることが、権威主義国だけでなく、民主主義国においても社会的文脈でみられる。とくに、政治過程においては、Evidence Based Policy Makingではなく、Policy Based Evidence Makingともいうべき状況が生まれており、これは科学の内在的価値、その基盤としての学問の自由の危機と言える。 ・自由主義国においても、民主的に選ばれた政府が研究・教育組織や活動に対して専制的に振る舞う傾向がみられる。政治的に異なる立場の見解の表明に対する、直接的な攻撃として、言論的な手段だけでなく、財政的手段が用いられている。組織に対する攻撃に対して、個人の学問の自由は、組織防衛のために抑圧されることも起こっており、委縮効果が発生しているという報告、研究者(個人と集団)において自己検閲がなされる傾向にあるという報告がなされ、これは学問の自由の侵害といえる状況であり、科学の発展を阻害するものである。 ・学問の自由の危機的な状況は、いくつかの国においては科学者への直接の危害の恐れがあり、個人や一国の努力では対応しきれない。科学者のグローバルなコミュニティにおいて、より一層国際的協働を進めることが必要である。その選択肢の一つとして、アカデミーではないが科学者を支援するNGOとの協力も視野に入る。(NGOの代表による科学者の危機的状況と支援についての講演があった。)今後、IHRNにおいては、どのような方法があるかを、今回の議論を受けて検討していく。

その他の特記事項: 上記のように、科学者と科学・学問自由の危機的状況に対する協働的対応について、選択肢を広げるべく、検討を続けることが、3日目の総括である。 日本の報告は、(3)の2番目と3番目の項目に反映された。

所見

学問の自由と人権についての学術的論点と、各国における経験と課題の共有がなされた。それは世界共通の課題であり、いっそうの情報交換と協働を行い、事実に基づく科学的な議論を深めることが重要であるという共通認識が確認されたことは、現在の世界の状況において有意義であった。

会場写真①

会場写真①

会場写真②

会場写真②

会場写真③

会場写真③