代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称
    (和文)南極研究科学委員会(SCAR)役員会
    (英文)Scientific Committee on Antarctic Research (SCAR) Executive Committee Meeting
  2. 会 期
    2025年8月4日から2025年8月8日まで(5日間)
    (現地参加メンバーが4日午前に到着したことから会議は4日午後から行われた。)
  3. 会議概要
    1. 会議の形式:役員会
    2. 会議の開催周期:1年に1回対面開催。約2か月に1回オンライン開催。
    3. 会議開催地、会議場:ポーランド・ワルシャワ、ノボテル ワルシャワ セントリウム
    4. 会議開催母体機関:SCAR(南極研究科学委員会)
    5. 会議開催主催機関及びその性格:SCAR(南極研究科学委員会)、ISC傘下の課題別組織
    6. 参加状況(参加国名・数、参加者数、日本人参加者の氏名・職名・派遣機関)
      参加国・数:ニュージーランド、スペイン、チリ、トルコ、日本、英国、計6か国。
      参加者数:計10名(うち現地参加7名)
      日本からの参加者:
      中村卓司・SCAR Vice-President / SCAR日本代表 / 物理科学グループ日本代表・国立極地研究所教授・日本学術会議SCAR 小委員会委員長
    7. 次回会議予定(会期、開催地、主なテーマ):
      会期・開催地:2026年3月頃に英国・ケンブリッジにて開催予定
      準備組織:SCAR事務局
      主なテーマ:4月の科学総会および代表者会議(評議会)に向けた準備
  4. 会議の学術的内容
    1. 日程と主な議題:
      日程は、現地参加メンバーが4日の午前中に到着していたことから、日程を前倒して4日の午後から開催することとなった。
      議題は以下の通り。
      ①ATCM47 (第47回南極条約協議国会議)の報告
      ②SCAR 中期計画(strategic plan)の進捗確認
      ③昨年の代表者会議(評議会)でのアクションアイテム対応状況の確認
      ④SCARホライゾンスキャン改訂に向けた計画、In-sync Action Group(南極国際科学・同期観測インフラ)設置申請への対応、SG/SC(科学グループ/常設委員会)等のsub-strategic planのレビューと今後のレポートについて
      ⑤今後のSRP(Scientific Research Projects)設置の計画、事務局の中期的作業計画、事務局役職員給与の検討、運営関係(監査、予算、決算報告)
      ⑥次期中期計画策定(2028-2033)、2026年代表者会議(評議会)の対応
      以上の他、6日朝にはCOMNAP(南極観測実施責任者評議会)との合同ExComm会議が開催され、In-Syncへの対応やIPY-5(第5回国際極地年)等について意見交換を行った。

    2. 提出論文:事務局と共同で財務に関する資料を提出。
    3. その他の特記事項:特筆すべき点としては、以下のとおり。
      ・SCAR ホライゾンスキャンは、2014年に策定した20年間を見据えたSCARの重要な科学課題(6つの重要課題と80の問い)であるが、今回の改訂では重要課題の見直し、重み付けを試みるとともに、その達成のために80の問いにも重要度を加味するとのことである。2026年のオスロでの科学総会(OSC)でワークショップを開いて議論を行うとともに、その後策定のためのメンバーを選定し、2027年にホライゾンスキャンの改訂を公開するスケジュールである。
      ・次期中期計画(strategic plan)の策定については、2028年夏の代表者会議で決定する必要があるため、少し早いが2026年の来年の夏のOSCで議論ができるように準備を進める予定である。
      ・2027年から2030年に実施予定であるIn-Syncについては、SCAR執行部としては現在の計画のサイエンスターゲット(科学的問い)が不明確で、各国の予算獲得が簡単ではないのではと危惧している。一方で、COMNAP執行部は2027年からの実施に向けて残された時間が短いことを問題としている。このような状況でSCAR執行部はIn-Sync活動グループの申請については改訂を求める方針である。

所見

実質丸4日開催されたSCAR役員会であったが、議題の量も多く、議論の内容も濃かったため、同じ会場で行われているCOMNAPの年次総会及びシンポジウム、特にシンポジウムのセッションを聴講することができなかったのは残念であった。
 全体として、会長と副会長(副会長4名中3名が現地参加)、事務局長が一同に会して議論できたことは大変生産的であった。

SCAR+COMNAP合同理事会