代表派遣会議出席報告
会議概要
- 名 称
(和文)第15回グローバルヤングアカデミー(GYA)総会
(英文)General Assembly of the Global Young Academy (GYA) 2025 - 会 期
2025年6月8日から2025年6月14日まで(プレ、ポストイベントを含む7日間) - 会議概要
- 会議の形式:総会
- 会議の開催周期:年1回
- 会議開催地、会議場:インド共和国・ハイデラバード、インド工科大学カンファレンスセンター
- 会議開催母体機関:グローバルヤングアカデミー
- 会議開催主催機関及びその性格:グローバルヤングアカデミー(国際版若手アカデミー)
- 参加状況(参加国名・数、参加者数、日本人参加者の氏名・職名・派遣機関)
参加国数:60ヵ国以上
参加者数:200名以上
日本人参加者:安田仁奈・連携会員・日本学術会議
松山亮太・連携会員(特任)・日本学術会議 ほか - 次回会議予定(会期、開催地、主なテーマ):
会期:2026年6月28日から2026年7月3日
開催地:ドイツ・ブレーメン
準備組織:グローバルヤングアカデミー
テーマ:Machine Intelligence for Society and for all Sciences
- 会議の学術的内容
- 日程と主な議題:
6月 8日:プレイベント・サイエンスリーダーワークショップ
6月 9日:サイエンスリーダーワークショップ
パネルディスカッション(テーマ:若手-中堅研究者における包摂的な研究評価システム)
パネルディスカッション(テーマ:科学外交の未来)6月10日:パネルディスカッション(テーマ:イノベーションと起業)
パネルディスカッション(テーマ:環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する意識の国際的な啓発)
GYAメンバーの研究発表6月11日:パネルディスカッション(テーマ:インダストリー5.0、人と機械の協働)
パネルディスカッション(テーマ:世界的なウェルネスのための健康と栄養)
GYA総会(幹事および共同代表の選挙)6月12日:GYA総会(戦略目標の達成と運営上の課題解決のための議論)
6月13日:GYA総会(ファンドレイジング等の課題についての議論)
6月14日:ポストイベント・アジア若手アカデミーネットワーク設立に関する会議
- 学術的内容に関する事項:
本会議ではテーマを「未来を見据える知の融合:グローバルな変革に向けた科学の推進(Confluence of Visionaries: Empowering Science for Global Change)」と題してインド・ハイデラバードで開催された。
多分野横断的な課題に対し、研究者の役割や科学技術の社会実装に焦点が当てられた。サイエンスリーダーワークショップは新規GYA会員を対象とし、参加者同士の対話を通じ、集団的リーダーシップや多様性を尊重した協働の在り方について実践的スキルを磨くワークショップであった。若手研究者の声を集め増幅するというグローバルヤングアカデミーの目的に沿うように、若手研究者のキャリア支援と研究評価制度の在り方というテーマからパネルディスカッションが開催された。従来のIF(インパクトファクター)や論文数に偏らない、教育・社会貢献・国際協働などを含めた包括的な評価基準の必要性が共有された。欧州で進むCoARA(Coalition for Advancing Research Assessment)の取組や、研究信頼性の再構築に向けたオープンサイエンス推進の事例も紹介された。また、循環型経済の実現や地域住民との対話による生物多様性の保全、Green Bondsなどの金融的仕組みを通じた気候変動対策が議論された。加えて、インダストリー5.0をテーマとしたパネルでは、AI・LLM(大規模言語モデル)の農業利用、多言語データの必要性、AI倫理の国際的フレームワークなど、科学と社会の接続性を高める具体的実践が共有された。さらに、グローバルな医療・栄養課題においては、低資源地域での診断デバイスの活用や科学コミュニケーションの意義が強調され、One Healthの視点から学際的連携の重要性が示された。いずれも、科学の国際的役割と地域課題への応用のバランスを再考する貴重な知見となった。 - その他の特記事項:
ポストイベントであったアジア若手アカデミーネットワーク設立会議において、設立宣言が発表された。
- 日程と主な議題:
所見
グローバルヤングアカデミーが主催する本会議は例年通り若手科学者の国際的なつながりを強める機会となった。特に本会議では、科学と社会政策との架け橋、研究者の新たな評価制度、科学外交や起業など、多面的な視点から若手科学者の役割が再定義されつつあることを実感した。文化的多様性を踏まえた科学技術利用の推進や、国際的協調による包括的アプローチの必要性が各パネルで共通して語られていた。また、地域住民と協働する普及活動や、意思決定支援に向けた科学者の新たなスタンスの提案など、実務的な応用可能性を持つ議論が多かったことも印象的であった。日本の若手アカデミーがアジア・パシフィック各国の若手アカデミーのネットワーク構築に関与できたことも意義深く、国際連携をさらに促進することとなったと考えられる。