代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称
    (和文)第32回国際天文学連合(IAU)総会
    (英文)32nd General Assembly of the International Astronomical Union (IAU)
  2. 会 期
    2024年8月6日から2024年8月15日まで(10日間)
  3. 会議概要
    1. 会議の形式:総会・理事会・執行委員会・運営委員会・シンポジウム等、その他全ての形式
    2. 会議の開催周期:3年に1回
    3. 会議開催地、会議場:南アフリカ共和国・ケープタウン市、ケープタウン国際コンベンションセンター
    4. 会議開催母体機関:国際天文学連合(International Astronomical Union(IAU))
    5. 会議開催主催機関及びその性格:

      国際天文学連合:常設の国際学術団体(加入国数:85か国)

      個人会員・若手会員合わせて12,730名

    6. 参加状況(参加国名・数、参加者数、日本人参加者の氏名・職名・派遣機関)
      参加国名:アメリカ合衆国、中国、日本、フランス、英国、チリ他。 参加国数:107の国・地域
      参加者数:2,648名(うちオンライン603名)
      日本人参加者:
      渡部潤一・国立天文台上席教授・IAU副会長・国立天文台
      山岡均・国立天文台准教授・IAU OAOアウトリーチ日本窓口・日本学術会議 等
    7. 次回会議予定(会期、開催地、主なテーマ):

      会期  :2027年8月10日から2027年8月19日まで10日間

      開催地 :イタリア共和国・ローマ市
      準備組織:IAU本部と現地準備組織
      テーマ :天文学に関するあらゆるテーマ

  4. 会議の学術的内容
    1. 日程と主な議題:

      総会(Business Session)は、会期の初め(8月7日)と終わり(8月14日)の2回開催された。それに先立ち、各国の代表者に向けた準備会合(Preparatory Business Session)がそれぞれの前日(8月6日、13日)に開催された。最初の総会で議題・改選委員の提案と投票方法の確認が行われ、2度目の総会では新規名誉会員の紹介、物故会員の追悼、会計報告と予算案の提示と各種議決、新執行部の紹介が行われた。

      科学会合は10日間の会期の間、6個のシンポジウム(前半と後半にそれぞれ3個)、より絞り込んだテーマについてのフォーカスミーティング(12個)、ワーキンググループ会合(6個)、9個つの部会がそれぞれ主催する研究発表会、5つのオフィス(OAD, OAO, OYA, OAE, CPS)が主催する会合など、多数の会合が並行して開催された。加えてInvited DiscourseやPublic Talk、Social Eventも多数開催された。

    2. 提出論文:

      受理された論文総数2,851件、発表者の国籍は明示されないため不明。

    3. 学術的内容に関する事項:

      シンポジウムで重力波が初めてメインテーマに取り上げられた。また、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の各分野における成果がクローズアップされた。特に系外惑星分野において、これまで「第二の地球か?」と注目されていた赤色矮星の周囲の岩石惑星にはほとんど大気が無いことが明らかになった。タイムドメイン天文学、マルチメッセンジャー天文学の進展も著しく、既知のものとは大きく異なる振る舞いを示す天体に関する研究発表は枚挙のいとまがなかった。各分野において、アフリカ諸国からの発表も多かった。人工天体の天文学への影響を議論するセンターCPSの設立(2022年)後初めての総会であったためか、観測環境の保護に関するセッションや報告が目に付いた。

    4. その他の特記事項:

      新たに加わった国会員4か国はいずれもアジア圏であった。新執行部のうち、副会長にJames Chibueze氏(南アフリカ共和国、鹿児島大学で学位取得)が選出された。また、部会E(太陽と太陽圏 (Sun and Heliosphere))の部会長に清水敏文氏(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)が就任した。次々回2030年の開催地はチリ共和国サンチャゴ市と発表された。今後の準備となるが、2030-40年代に、1998年以来となる日本でのIAU総会の開催誘致を目指すことが望ましい。

所見

今回は初のアフリカ大陸での開催であり”It’s Time for Africa”を合言葉に、現地は大いに盛り上がりを見せた。アフリカは観測適地として注目されており、今後の同地での天文学の進展がたいへん期待されている。



Business Session IIで日本代表として投票する派遣者。計数を容易にするため、カテゴリーごとに順番に投票が行われた。
Debra Elmegreen 会長(任期:2021-2024)も国立天文台ブースを訪れた。
閉会式でのIAU旗の引き継ぎ
https://astronomy2024.org/参照