代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称
    (和文)サイエンス20(S20)2024
    (英文)Science20(S20)2024
  2. 会 期
    令和6年7月1日、2日(2日間)
  3. 会議概要
    1. 会議の形式:対面会議
    2. 会議の開催周期:年1回
    3. 会議開催地、会議場:ブラジル・リオデジャネイロ
    4. 会議開催母体機関:ブラジル科学アカデミー(Brazilian Academy of Sciences)
    5. 会議開催主催機関及びその性格:ブラジル科学アカデミー
    6. 参加状況(参加国名・数、参加者数、日本人参加者の氏名・職名・派遣機関)
      参加国 :19カ国
      参加者数:120名程度(うち日本人参加者3名)
    7. 次回会議予定(会期、開催地、主なテーマ):
      会期   :令和7年
      開催地  :南アフリカ共和国
      主なテーマ:未定
  4. 会議の学術的内容
    1. 日程と主な議題:
      令和6年7月1日、2日、S20共同声明案について
    2. 提出論文(日本人、日本人以外):
      なし
    3. 学術的内容に関する事項(当該分野の学術の動向、今後の重要課題等)
      Science20(以下、S20)は、G20サミットに対して共同で科学的な提言を行うことを目的とする、G20各国の科学アカデミーによる会議である(2017年に、ドイツの科学アカデミー・レオポルディーナが、同国のG20開催に伴い、S20開催を各国へ呼びかけたことにより発足)。本年のS20は、ブラジル科学アカデミー(ABC)が議長となり、開催テーマ「Science for Global Transformation(地球規模の変革に向けた科学(仮訳))」のテーマの下、ブラジルのリオデジャネイロにおいて対面にて開催された。本年のS20プロセスでは、5つのサブテーマに関するタスクフォース(TF)が設置され、S20加盟国の専門家が共同声明案の基となるTFペーパーについて協議を重ねた。5つのタスクフォースのテーマ(仮訳)は下記のとおり。

      タスクフォース1:人工知能:倫理、社会的影響、規制及び知識の共有

      タスクフォース2:バイオエコノミー:持続可能な地球に向けた世界の形成

      タスクフォース3:エネルギー移行プロセス:再生可能エネルギー、社会及び経済への配慮

      タスクフォース4:健康関連の課題:質、平等、アクセス及び感染症と気候変動への備え

      タスクフォース5:社会正義:包摂性の促進、貧困の撲滅及び不平等の解消


      7月1日、2日にリオデジャネイロ市で開催されたS20サミットでは、S20加盟の19カ国のほか、オブザーバー参加の国際学術団体等から約120名が参加し、2日間にわたり、S20共同声明のとりまとめに向けて、活発な議論が行われた。
      会議1日目午前には、G20シェルパ及びブラジル科学技術イノベーション省政策担当者をはじめとするG20関係者より、G20に向けたS20の貢献に対する期待が述べられた。続いて、前年及び来年のS20議長アカデミーであるインド及び南アフリカの代表者が開会挨拶を行った。本年の議長を務めたブラジル科学アカデミー会長のエレナ・ナデ(Helena B. Nader)教授から、歓迎の挨拶及び本年のS20プロセスにおける議論について報告が行なわれ、その後、5つのTFタスクフォースのコーディネーターより、それぞれのTFにおける議論の成果についての説明がなされた。同日午後、各国アカデミー代表者より共同声明案へのコメントが述べられ、報告者も共同声明案に対する見解について発言した。なお、この会合には、国際学術会議(ISC)等の国際学術団体の代表者がオブザーバーとして参加しており、それぞれコメントを述べた。
      会議2日目、前日の各国アカデミー代表のコメントを踏まえた共同声明の修正版が議長より提示され、引き続き参加者間で活発な討議が行われた。会議終了後にABCより、共同声明案の最終版をメンバー・アカデミーに共有し、7月19日までに承認を得て公表することにつき、各国アカデミー代表者間で合意した。
      閉会式において、インド国立科学アカデミー代表者から閉会の辞が述べられたほか、ブラジル科学アカデミー会長から来年の議長を務める南アフリカ科学アカデミーの代表者へ引継ぎが行われた。南アフリカ科学アカデミー代表より、次回のS20は気候変動とウェルビーイングをテーマとすることを検討中であること、2025年2月下旬に関連会合を開催する方向で検討していることなどが発表された。今後、開催概要が決定次第、S20各国アカデミーに対し、詳細の案内がある見込み。
    4. その他の特記事項(報告すべき審議内容・成果、日本が果たした役割、共同声明の有無、国内外での報道状況、次回開催に向けての課題等):
      共同声明案の起草にあたり、5つのサブテーマの専門家である日本学術会議会員及び連携会員に共同声明案及びTFペーパーの査読に協力いただき、日本学術会議として共同声明の起草に大きな貢献を行った。科学者によって作成されたS20共同声明の提言が、11月のG20サミットに貢献することを期待したい。

所見

2025年のS20においても、本年の議論の成果を引き継ぎ、S20各国アカデミーが協働して、G20サミットに対して有意義な提言ができるよう、議長の南アフリカ科学アカデミーに期待する。日本学術会議としても引き続き実質的な貢献ができるよう、尽力していきたい。