代表派遣会議出席報告
会議概要
- 名 称
(和文)宇宙空間研究委員会(COSPAR)惑星保護パネル委員会
(英文)COSPAR Planetary Protection Panel Meeting - 会 期
2024年4月22日から2024年4月25日まで(4日間) - 会議概要
- 会議の形式:ハイブリッド
- 会議の開催周期:1年に2回
- 会議開催地、会議場:英国・ロンドン、THE ROYAL SOCIETY
- 会議開催母体機関:宇宙空間研究委員会(略称:コスパー)
- 会議開催主催機関及びその性格:
常設の国際学術団体で、科学総会の開催、出版物の刊行等を主な手段として、研究成果・情報・意見を交換することにより、観測ロケット、人工衛星、気球を用いたあらゆる種類の宇宙空間の科学研究を推進する。また、国際学術会議(International Science Council (ISC)) に自身の活動を報告するとともに、国連その他の組織に対し宇宙空間研究に関わる科学上の助言を与える。
- 参加状況(参加国名・数、参加者数、日本人参加者の氏名・職名・派遣機関)
参加国・数:米国、中国、インド、カナダ、英国、フランス、ドイツ、オランダ、イタリア、スペイン、ロシア、日本の計12か国。
参加者数:25名
日本人参加者:藤本 正樹(理事)
鈴木 庸平(委員)※筆者
鈴木 志野(招待) - 次回会議予定(会期、開催地、主なテーマ):
会期 :2024年12月
開催地 :オーストリア・ウィーン
主なテーマ:
COSPAR惑星保護パネルでは、宇宙探査における惑星等保護方針の議論や改訂等が行われる。国際的な条約である宇宙条約第9条では、各国が実施する宇宙探査において対象天体を地球生物で汚染しないこと、地球環境の地球外生物による影響を避けることが規定されている。その方針(惑星保護方針)は本パネルで決定されている。
- 会議の学術的内容
- 日程と主な議題:
4月22日: Planetary Protection Landscape, Limits of Life, and Icy Worlds Sessions
4月23日: Mars Exploration and Implementation Sessions
4月24日: Open COSPAR Planetary Protection Panel Meeting
4月25日: Closed COSPAR Planetary Protection Panel Meeting
- 学術的内容に関する事項:
初日は、COSPAR Planetary Panelの議長がPanel活動を簡単に紹介した後、地球上の生命が探査対象の天体で増殖する確率計算の概要、氷天体のハビタビリティー発表が行われた後、氷天体の惑星保護に関するパネルディスカッションが行われた。午後は生命存在の限界環境に関するパネルディスカッションが行われた後、Jupiter Icy Moons Explorer (JUICE)、Europa Clipper, Dragonflyと呼ばれる氷天体に関するミッションの惑星保護に関する発表が行われた。
2日目は、火星探査の惑星保護に関する日で、火星の生命存在可能性についての発表があった後、日本、中国、UAE、インド、米国、ヨーロッパの火星探査の惑星保護に関する発表が行われた。その後、地球外試料のキュレーションに関するパネルディスカッションが行われた。
3日目はCOSPAR Planetary Panelの通常の会議が公開で行われた。英国、中国、イタリア、日本、UAE、米国の宇宙研究機関の代表者から、最近の探査ミッションの進捗や研究成果、惑星保護の取組が紹介された。その後、米国とヨーロッパの火星からの帰還試料に関する連携状況に関して報告がなされた。また、英国が開発中の二重遮蔽のグローブボックスやベイズ統計を用いたリスク評価について発表がなされた。最後に民間で宇宙機を製造しているブルー・オリジンの担当者から惑星保護の企業としての取組が紹介された。
4日目はCOSPAR Planetary Panelの通常の会議が非公開で行われた。惑星保護の規約の改訂に関して共同議長から説明があり、合意に至った。また、氷天体の惑星保護の規約について改訂案が示され、PanelでSubgroupを作り個別に審議することとした。メタゲノム解析を取り入れるためのワークショップの開催が承認され、筆者が招聘されることになった。また、火星の特別地域と呼ばれる生命存在の可能性の高い場所についてSubgroupを作ることも承認された。次の会議に関して、日程を12月初旬にオンラインで開催することが決定され会議が終了した。
- その他の特記事項:
日本の火星衛星探査(MMX)の惑星保護について説明がなされ、試料の帰還が制約なしで2026年に打ち上げられることが合意された。
- 日程と主な議題: