代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称

    (和文)国際理論応用力学連合 総会
    (英文)General Assembly of IUTAM
    (注) IUTAM はInternational Union of Theoretical and Applied Mechanics の略称

  2. 会 期

    令和3年8月22日~令和3年8月25日(2日間)

  3. 会議出席者名

    菱田 公一(学術会議副会長,第三部会員,IUTAM総会委員;明治大学特任教授)
    岸本 喜久雄(連携会員,IUTAM理事・総会委員;東京工業大学名誉教授)
    堀 宗朗(連携会員,IUTAM総会委員;海洋研究開発機構・部門長)
    佐野 理(特任連携会員,IUTAM総会委員;東京農工大学名誉教授)

  4. 会議開催地

    英国、ケンブリッジ市、Cambridge大学

  5. 参加状況(参加国数、参加者数、日本人参加者)

    参加国 47の国と地域、参加者数 約80名 (うち日本人は4名)

  6. 会議内容
    • 日程及び会議の主な議題
      第1日:令和3年8月22日午後2時から3時間15分
      第2日:令和3年8月25日午後11時15から1時間30分
      (注)いずれも、Online国際会議(virtual meeting)であり、日本時間では
       第1日は令和3年8月22日午後9時~翌23日午前0時15分、
       第2日は令和3年8月25日午後11時15分~翌27日午前0時45分に実施

    • 主な議題

      1)IUTAM活動報告等

      2)IUTAM財務委員の選挙

      3)IUTAMの法人化

      4)IUTAMの多様性について

    • 会議における審議内容・成果

      1)2020年8月25日-26日開催の前回IUTAM総会(virtual meeting)
       (議事録はIUTAM Annual Report 2020, pp.25-45で公開)の報告・承認

      2)IUTAM執行部 財務委員の選挙
       2020年の総会で選出の財務委員の辞任に伴い、後任にDr. Pilar Ariza Moreno(Spain) が推薦され、投票により同氏を選出した。

      3)IUTAMの法人化
       これまでIUTAMは任意団体として国際的な学術関係業務にあたってきたが、法的な脆弱性が懸念される。そこで「これまでのIUTAMは"IUTAM organization"とし、新たに"IUTAM Association"を作る。後者はIUTAMが関わる契約、銀行口座開設や取引業務、構成員の保護など法的な措置をともなう業務を担い、また前者は引き続き非政府組織として国際的学術上の活動を担う。」などを骨子とした改革案が提案された。投票の結果、法人化の必要性は認めるものの、具体化の方策にまだ議論の余地があると判断され、理事会でさらに検討して次回(2022年)の総会に諮ることとなった。

      4)IUTAMの多様性について
       IUTAM組織の多様性を議論するため、IUTAM組織の委員(執行役員、理事、国際会議委員、シンポジウム評価委員、総会委員)の研究分野(固体・流体・固体流体)、地域(アジア地域、ヨーロッパ地域、北アメリカ地域、その他)、年齢、genderのバランス等についての過去のデータの分析およびアンケートの集計結果について多様性ワーキンググループからの報告があった。 これによると、

      1. IUTAM関連委員の選出にあたり、概ね多様性を重視しているとの認識が示されており、また研究分野や学術上の業績、IUTAM活動、専門知識、国内の役職などが考慮される傾向が高い。
      2. 役員の地域分布には偏りが見られる。1948年以降の執行役員の統計では、ヨーロッパが主で、それに米国が加わるのみ。理事についてもヨーロッパが多く、それについで、日本、米国となっている(ただし、このカウントには地域ごとの加盟母体の数にも注意が必要)。
      3. 女性の委員の割合は、たとえば総会委員では2018年以降で10%弱、シンポジウム評価委員では50%程度を占めている。また、国際会議委員では2004年以前の0%から2008年に10%超、2018年の20%超、2020年の約30%と増加してきている。  これらを踏まえ、IUTAMでは多様性が学問的・科学的な標準に到達するための基盤との認識は共有されているが、今後どのような観点・基準がIUTAMの活動にふさわしいのかさらに議論すべきとの結論に達した。そのためのステップとして、総会委員にアンケートを実施し、またそれぞれ国で議論をして広く意見を聴取したものをフィードバックすることが提案された。

    • 会議において日本が果たした役割
       上記の議事について、投票権を行使し、意思表示をおこなった。

会議の模様

 新型コロナウィルス蔓延に伴い、今回の総会もonlineによるvirtual meetingで開催された。参加者が全世界にまたがるため時差の問題はあったが、会議はさしたる混乱もなく終了した。地理的な移動を伴わないことや、投票の集計が迅速にできるなどの利点はあるが、他方では、online会議という手段の導入にあたり委員の代理を認めないとしたこと、また執行部と参加者を縦につないでの議論はよいが、参加者どうしが同じ会場で直接交流したときに得られる横方向の情報交換や、研究動向・研究環境をめぐる副次的な情報交換などが十分にはできなかったことなどに,online会議の限界を感じた。
 次回への宿題として、IUTAMの法人化、IUTAMにふさわしい多様性の検討など

  • 次回開催予定 2022年8月21日~24日、英国・ケンブリッジ大学