代表派遣会議出席報告

会議概要

  1. 名 称

    (和文)国際地質科学連合理事会および執行委員会
    (英文)76th IUGS Executive Committee Meeting and Bureau Meeting

  2. 会 期

    2021年 2月22日~ 2月24日(3日間)

  3. 会議出席者名

    北里 洋

  4. 会議開催地

    各参加者居住地からのオンライン参加

  5. 参加状況(参加国数、参加者数、日本人参加者)

    参加国数 7カ国; 参加者数 13名;日本人参加者 1名

  6. 会議内容
    • 日程及び会議の主な議題
      • 2月22日 事務局会議を開催した。理事会の議事次第を確認するとともに、主要な課題、会計上の問題点について事前打ち合わせを行った。

      • 2月22~24日 理事会を行い、IUGS 執行部から年次報告を行ったのち、IUGS傘下の各委員会、関連学協会から書面にて提出された2020年度活動報告を査読し、成果、運営のあり方などについて議論を行った。その後、2021年度予算とくに各委員会に分配する活動資金を2020年の活動状況を勘案しながら決定した。来年度の加盟国分担金は、米国のインフレーションレートに比例させ、1.4%増とした。その結果、一単位が648ドルから657ドルに値上げされ、カテゴリー8である日本は、45,990 ドルの分担金を支払うことになる。

    • 会議における審議内容・成果
       本会議は、国際地質科学連合、理事会および事務局会議というビジネスミーティングであるので、学術研究の発表はなく、IUGS 傘下の各委員会活動を中心とする報告が中心である。ただ、報告の中には、世界各国の資源問題、地盤災害、環境問題など、世界レベルの課題への対応を問われる話題も多い。
    • 学術的内容に関する事項(当該分野の学術の動向,今後の重要課題等)
       地質科学分野は地球の創生以来の地球と生命の共進化を明らかにするような基礎科学の領域と、人間社会が直面する地球規模の課題である、地盤および気象災害、資源エネルギー、そして環境問題への対応等、社会と強く関わりを持つ領域とがある。とくに、近年の地球環境変動に伴うさまざまな災害、人口拡大によるエネルギー資源の枯渇、そして地盤災害などは、喫急の課題となっている。このような人間社会に関わる問題に適切に対処することを目指して、さまざまな国際プロジェクトが立ち上がっており、IUGS もそれらに積極的に参加している。しかし、より人間社会に関連する分野では齟齬と軋轢があり、地球レベルの問題であるにもかかわらず、地質科学の重要性が理解されておらず、IUGSの存在価値が額面通りには評価されていない。このジレンマからの脱却が急務であり、理事会における大きな課題となっている。
       基礎科学領域では、地質学の始まりである18世紀以降、各国で積みあげられたビッグデータをまとめるプロジェクトが立ち上がった。Deep-time Digital Earth (DDE) という名前のプロジェクトで、中国政府が主導している。毎年30万ドルを投入する巨大なものであり、IUGS傘下の委員会をも数多く巻き込んでいる。今後、この巨大プロジェクトの発展を注視し続ける必要がある。
       近年の地球環境変動に伴うさまざまな災害、人口拡大による地下資源およびエネルギー資源の枯渇、そして地盤災害などがIUGSにおいても喫緊の問題となっている。このような人間社会に関わる問題また社会問題に適切に対処することを目指して、さまざまな国際的なプロジェクトが立ち上がっており、IUGS もそれらに積極的に参加している。ジェンダー問題については、ISC(International Science Council)内に科学における男女共同参画(Gender Equality in Science)を推進する動きがあり、常置委員会(Standing Committee for Gender Equality in Science (SCGES))が立ち上がった。IUGSからは Silvia Peppolloni氏が委員として加わった。また、ISCに加盟する組織のうち、地球に関する9つのユニオンがGeoUnion を構成している。このGeoUnion が中心となって、分野横断的に災害リスク軽減(Disaster Risk Reduction)に関する活動を行うことになり、常置委員会(Standing Committee)が作られた。各ユニオンから2名ずつ推薦され、IUGSからはイタリアの学者と北里が参加することになった。 Disaster Risk Reduction に関する動きを具体的に進めるために、2015年に仙台で開催された第3回国連防災世界会議で提案された「仙台枠組み」の内容の見直しから始めることになった。
       このほかにも、地球課題解決に向けて、IUGSが何をできるのかを議論し、実行することに、大きな一歩を踏み出した。
    • 会議において日本が果たした役割
       理事会では、北里が財務担当理事を務めており、IUGSの会計全体を管理している。来年度の予算作りに当たっても、議論をリードした。
    • その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)
       今回は、online開催ということもあり、予算案作りに集中した。したがって、学問的なトピックはなかった。

会議の模様

 IUGSはISC 傘下の国際組織としては最大規模である。地球科学系の9つの国際組織と共同してGeoUnion を結成し、地球規模の問題への取り組みを含めて、活動している。IUGSが、新しい組織の中でいかに効果的に発言し、影響を持ち続ける事ができるか、問われている。
 次回開催予定: 当初、2021年 2月末~3月初旬にフランス・パリ市で開催することにしている。ちょうど、I U G S創立60周年、I G C P開始50周年にあたることから、UNESCO, ISCと共催し、IUGSのプレゼンスを高く示したいと考えている。

※ Online開催のために、写真はない。


次回開催予定:
会 期  2021年 2月末~3月初旬
開催地  パリ(フランス)