代表派遣会議出席報告

会議概要

1 名 称   国際土壌科学連合 中間会議
        (Inter-Congress Council Meeting of the International Union of Soil Sciences)

2 会 期 平成24年6月3日~8日(6日間)

3 会議出席者名 犬伏和之・波多野隆介・安藤 豊・間藤 徹

4 会議開催地 韓国、済州Seowipo市、済州国際会議センター

5 参加状況(参加国数15カ国、参加者数52名、日本人では以下の6名参加)
         犬伏和之・波多野隆介・安藤 豊・間藤 徹・東 照雄・小崎 隆

6 会議内容

 本中間会議は4年に1回開催されるWCSS(World Congress of Soil Science)の2014年大会の準備と、その開催母体ISSS(International Union of Soil Sciences)の運営などが議論され決定されるものである。

・日程及び会議の主な議題

 6月3日 参加登録、理事会(前回議事録確認、会議日程確認など)
 6月4日 執行委員会(会長挨拶、参加者紹介、前回議事録確認、会長報告・事務局長報告:国際土壌科学連合の活動強化、ICSU、FAO、国連、ESAFS-東・東南アジア土壌科学連合などとの連携強化、次期2014年開催会議の準備状況ほか)
 6月5日 土壌断面現地検討会(火山灰起源土壌の生成と世界土壌分類照合との比較などを議論)
 6月6日 執行委員会(会長選挙方法の改定など)、部会運営委員会(2014年開催会議のシンポジウム案検討ほか)
 6月7日 韓国土壌肥料学会との共催シンポジウム「万人のための土壌科学」で土壌科学の各先端テーマについて学術発表が行われ、活発な意見交換が行われた。
 6月8日 理事会、開催地周辺の土壌生成・利用状況の調査

・会議における審議内容・成果

 会長選挙方法改訂に関する定款と規約変更、名誉会員の選挙

・会議において日本が果たした役割

日本としてはアジアの一員として、この地域で深刻化する土壌汚染や土壌浸食等の実態解明や対策、気候変動への適応策などを関係各国と国際的に協力しながら技術解決を進めて行く必要がある。財政問題に関しては、途上国でIUSS参加が容易ではない国々へ門戸を閉ざさないような地域連携(例えばESAFSの活用)の方法を提案した。また放射能汚染対策など土壌科学から提案できる技術を情報発信していくことが重要であり、その議論の場として2014年大会でのシンポジウムを提案した。

・その他特筆すべき事項(共同声明や新聞等で報道されたもの等)

7 会議の模様

 執行委員会(写真1)では、事務局長からの報告にあるように、国際土壌科学連合IUSSの活動強化が推進され、ICSU、FAO、国連、ESAFS-東・東南アジア土壌科学連合などとの連携強化が模索されている。また、次期2014年開催WCSS韓国大会の準備状況報告や会場下見のほか、2018年開催WCSSブラジル大会の準備状況報告、2022年開催地の立候補の確認(中国、イギリス、イタリア、ほか)が短い会議中に効率的に行われた。また事務局次長報告では地球土壌共同体、地球土壌デジタル図の作成状況など、財務会計報告では経常経費の収支状況と今後の見通しが述べられ、規約委員会と学会賞選考委員会報告では名称や規定変更検討、各部会報告では国際会議や地域開催会議との共催、学術誌との連携、地球土壌炭素会議の提案が行われた。一方、名誉会員選挙も行われたが日本からは前回2名が選出されたため今回は推薦を見送った。また国際土壌科学連合の将来計画についても社会への土壌科学の認知度向上や若手研究者の育成など幅広い議論が行われた。部会運営委員会は4部会に分かれて分科会形式で行われ、2014年開催会議の100件近いシンポジウム案の検討や今後の予定などが確認された。

 土壌断面現地検討会では、韓国で活発な火山活動の影響が見られる済州島を巡検し、Andosolという火山灰土壌の分類上の位置づけについて各国の代表から意見が出され、火山活動との関連、土地利用、生産性、地球温暖化での炭素貯留源としての意義などが土壌断面を前に現場で議論された(写真2)。2014年韓国大会でも日本や台湾、中国などが同様な現地検討会を提案しており、今後、行程などを固め準備を進める必要がある。

 韓国土壌肥料学会との共催シンポジウム「万人のための土壌科学」では、下記のテーマについて講演があり(写真3)、活発な議論が交わされた(講演テーマと発表国)。土壌図のデジタル化(オーストラリア)、土壌有機物の多面的機能(イタリア)、韓国の土壌データ(韓国)、平和に向けた土壌科学:北朝鮮の農業・食料事情と土壌科学の役割(韓国)、時空間における土壌:土壌景観からみた土壌構造評価(ドイツ)、土壌の濾過緩衝機能:土壌生成、土地利用と土壌管理が保持機能に及ぼす影響(オーストリア)、音楽信号が植物生育に及ぼす影響(韓国)、気候変動と食糧保障に直面する持続性達成のための土壌科学(米国)、国際土壌科学会議とラテンアメリカ(ブラジル)、済州島の土壌と文化(韓国)、放射能汚染対策と土壌科学(日本)

次回開催予定2014年6月上旬

写真1:IUSS執行委員会 写真2:現地検討会 写真3:韓国土壌肥料学会との共催シンポジウム
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