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代表派遣会議出席報告
1 名 称  第38回地質科学国際研究計画(IGCP)本部理事会(38th Session for the International Geological Science (IGCP) Scientific Board)
2 会 期 2010年2月17日~19日(3日間)
3 会議出席者名  波田 重煕(日本IGCP国内委員会委員長)
4 会議開催地 パリ(フランス)
5 参加状況参 参加国29カ国
          参加者数57名,
          日本人参加者 波田 重煕(日本IGCP国内委員会委員長)、 坂下 鈴鹿(ユネスコ日本政府代表部一等書記官)
6 会議内容

 本会議は、ユネスコ生態・地球科学部門が中心になって、ユネスコと国際地質科学連合(IUGS)が「社会に貢献する地球科学」を目指して推進している地質科学国際研究計画(IGCP)について、現在進行中のプロジェクトの評価と新たに申請されたプロジェクトに採否の審議を中心に、毎年一回2月にユネスコ本部で開催しているものである。

・ 日程及び会議の主な議題
  日程は、前述したように平成22年2月17日~19日の3日間であるが、報告 者はIGCP国内委員会の委員長として、理事以外に出席が求められている(open session)2月19日のみに参加した。2月19日の議題は、以下の通りである。
① ユネスコ自然科学担当事務局長補、国際地質科学連合(IUGS)議長及び事務局長、ユネスコ生態・地球科学部長による、開会挨拶この中では、過去38年間のIGCP活動の成功とそこでのユネスコとIUGSの関係及び相互の支援について、IGCP本部理事会の重要性、近年のIGCPのリフォームによるプロジェクトの新しい方向、その中でアフリカと女性の果たす役割の重要性などが強調された。
② IGCP事務局からの報告資料に基づき、2009年の活動報告があった。「資源」、「地球の変化と生命 の進化」、「地質災害」、「水」、「地球深部」の5つのテーマに分けて新規プ ロジェクトを募集したが、資源と水のテーマについては申請がなかったこ と、来年から「水」は「海面上昇」というテーマに入れ替える予定である こと、ユネスコはIUGS以外にとくに中国から大きな財政的支援をうけ いること、プロジェクトは5年間シードマネーを受け、8年間の時限措置 で活動しながら新しいプロジェクトに入れ替わることなどが報告された。
③ 2009年度に活動したIGCPプロジェクトの評価結果の公表全体に高いレベルにあり、IGCPをもっと広報し、資金不足の状況を打 破したいこと、新規に5つのプロジェクトを選定したことについて報告さ れた。
④ 各国のIGCP国内委員会からの年次報告の評価 日本を含む22カ国から報告書が提出され、中国とイタリアの報告書が内容が優れており、ボリュームも適当であったことが報告された。
⑤ 国のIGCP国内委員会代表による2008年の活動報告中国、エジプト、日本、ドイツ、オーストリア、ロシア、イギリス、アメ リカの8カ国の国内委員会代表から報告があった。
⑥ 中国に設置されている「カルスト国際研究センター」の活動報告
⑦ ジオパーク世界ネットワークに関する報告中国の果たしている役割と日本が新たにネットワークに加わったことなどの報告
⑧ 国連「国際惑星地球年」に関する報告 とくに、アフリカ地球科学イニシアティブやアフリカにおける地質学会が協力したワークショップなどについて報告された。今後、IGCP国内委員会やジオパークの振興に取り組むことも報告された。
⑨ IGCPに関わるユネスコが推進している科学プログラム代表者による年次報告
・ 会議における審議内容・成果
  「社会に貢献する地球科学」を徹底するという観点から、IGCPで推進するプロジェクトには基礎科学というより、応用科学という視点が強く求められること、今後のキーワードは、アフリカ、女性地球科学者、ジオパークであることなどが明確になった。
・ 会議において日本が果たした役割
 国内委員会より、IGCP活動の意義が学会の中でなかなか広がらないことを報告したが、他国から同じような状況にあることから、今後の課題について議論になった。また、「国際惑星地球年」のアウトリーチの目玉として、日本はジオパークの推進を日本地質学会が中心になって、外務省などの省庁などの協力をいただきながら推進しているが、これが成功し全国的な盛り上りに発展していることを報告した。これに対しては、各国から賞賛の言葉をいただいた。

7 会議の模様

 日本IGCP国内委員会は、IGCPの主な関心が基礎科学から応用科学にシフトした ことと、資金のサポートもシードマネーであるためボランティア的な活動を強いら れることのため、とくに日本の若い地球科学研究者にとってIGCPはそれほど魅力的な存在ではなくなっている。そのことが日本からの新しいプロジェクトの申請の 減少につながっている。このような状況は各国で同様であり、会議中そのような状 況を打破するための方策について議論された。その一つの解決策が、アフリカが取り組み始めた地球科学の普及活動や女性地球科学者の支援にあるのであろう。また、 ジオパークが世界に広がっていることも一つの鍵を握っているとみなされる。

次回開催予定  2011年2月中旬




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