提言「パワーレーザー技術と高エネルギー密度科学の量子的飛躍と産業創成」のポイント
1 現状及び問題点
2018年のノーベル物理学賞に輝いたCPA(Chirped Pulse Amplification)を利用した極短パルス超高強度レーザー技術などにより、パワーレーザーと高エネルギー密度科学による新しい科学技術が生まれている。高エネルギー加速器開発で見られたように、極限性能を追求する大型装置開発で生み出された技術が多くの若い研究者を惹きつけ、一般の産業技術に広く展開されつつある。これに対応し、諸外国では大規模施設を有する多くの中核拠点が急速に整備されつつある。我が国では、これまで独立行政法人の研究機関や大学共同利用・共同研究拠点等、様々な研究拠点に分散して推進されてきた。しかし、分散した研究拠点で開発研究を進める現状のままでは、研究開発において諸外国をリードし、若者を引きつけ夢のある幅広い人材育成の場を提供することが困難である。
2 提言の内容
世界最高峰の繰り返し大型パワーレーザーで高エネルギー密度科学の中核拠点を
我が国において、大学と国立研究機関は、高エネルギー密度科学とパワーレーザー技術に関する研究開発を産業界とも連携協力して推進し、多くの人材を育成し、先導的技術を生み出し、この分野におけるコア・コンピタンスを築いてきた。こうした人材育成と先導的技術開発への挑戦の取り組みを産業界の協力も得て一層強化してこの科学技術の更なる飛躍的発展を追求することは、我が国における次の時代を担う国際競争力のある産業創成に極めて有効であり、鮮烈な国際競争の動向に鑑みれば急務である。
よって、これまで高エネルギー密度科学とパワーレーザー技術に関する研究開発を先導してきた大学と国立研究機関は、産業界と連携して知と技術を集約し、組織改編で世界最高レベルの繰り返し・高出力の大型パワーレーザー施設を高エネルギー密度科学推進の中核拠点として世界に先駆けて設置し、機械学習技術も活用して大型パワーレーザー技術と高エネルギー密度科学の量子的飛躍を実現し、新たな学術の開拓や産業創成に繋がる価値創造・人材育成を行う切磋琢磨・共創の道場とするべきである。
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