報告「情報教育課程の設計指針―初等教育から高等教育まで」のポイント
1 現状及び背景
情報学はメタサイエンス(複数分野の科学に共通して必要な学問)として、すべての諸科学の基盤の一つと考えられ、また、市民の一人一人が情報技術に関する知識を背景として、情報社会の制度や情報倫理に関する見識を有していることが望まれる。
平成28年に公開した「情報学分野の参照基準」では、情報学のみならず、学術全般の専門課程に対する、メタサイエンスとしての情報学の基礎教育の記述を行い、さらに、初等中等教育から大学の教養教育に至る教育課程における情報教育について述べている。しかしそこでは、基本的な考え方のみを示しており、各教育段階におけるより詳細な情報教育の指針を与えることは重要な課題であった。
2 報告の内容
本報告では、初等中等教育、および高等教育における共通教育ならびに専門基礎教育までの各段階について、情報学のうちから何を学ぶことが望まれるかを検討し整理している。本報告は、情報教育の共通の物差しとして、各学校等の教育現場において情報教育に携わる者、情報教育を設計・評価する者が、自らの学校段階の情報教育と隣接する学校段階や大学での専門分野における情報教育の関係について検討する際の指針として、また、情報教育全体 (もしくはその一部)を設計する者が体系化の手段として用いることを期待する。
情報学は情報教育の基盤となる学問であるため、本報告では情報学分野の参照基準をもとに情報教育の指針を策定した。特にそれぞれの指針と参照基準が定める知識、ジェネリックスキル、専門的能力との対応を明確にした。一方、参照基準が情報学の理想像を志向しているのに対して、本報告は現行の教育課程に基づいており、情報教育に携わる者が活用できる現実的で具体的な指針を示している。
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