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報告「地球惑星科学分野における科学・夢ロードマップ(改訂)2020」ポイント

1 報告の経緯

 地球惑星科学分野全体の科学・夢ロードマップが初めて検討されたのは、第21期日本学術会議第三部(理学・工学)による2011年8月24日に報告として公表された「理学・工学分野における科学・夢ロードマップ」の準備作業の時であった。我が国の地球惑星科学分野の五十数団体の学協会とそれらが団体会員となっている公益社団法人日本地球惑星科学連合の協力を得て、地球惑星科学委員会が中心となって取りまとめられた。その後、2014年9月19日に報告として公表された「理学・工学分野における科学・夢ロードマップ2014」では、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による東日本大震災の反省も踏まえて、内容の改訂作業を行った。それから6年が経過し、地球惑星科学分野を取り巻く情勢の変化や学術的な進展があったことを受け、それらを反映して今後10~30年程度の中長期的観点で実現すべき目標と道筋を再検討する必要があるとの認識に基づき、今回新たに「地球惑星科学分野における科学・夢ロードマップ(改訂)2020」として前回の内容を改訂し、報告として公表することとなった。

2 報告の内容

  1. (1) 地球惑星科学各分野別の夢ロードマップとは

     地球惑星科学における5つの分野(宇宙惑星科学、大気水圏科学、固体地球科学、地球生命科学、地球人間圏科学)それぞれの中長期的観点における発展の方向性と目標を示したもの。今後10年程度の中期的観点で実現すべき目標と道筋を示すとともに、その骨格をなす解明すべき重要課題について、実施可能で具体的な研究課題が提示されている。また、今後30年程度の長期的観点では、地球惑星科学分野の拡大や分野間の連携・融合、さらに他分野との連携の促進も含めて、目指すべき学術の発展の方向性と目標を抽出して道筋を示し、それをシステマティックに実現するために必要な骨格をなす研究計画が明らかにされている。それにより、地球惑星科学の発展・強化に資するとともに、広く他分野や社会の人々から地球惑星科学の重要性について理解と支援を得ることを目的にしている。

  2. (2) 地球惑星科学・夢ロードマップの意義

     地球惑星科学分野は、太陽系・地球・生命の誕生・進化等の学術的重要性はもとより、温暖化等の地球環境や安全・安心、SDGs等、社会の課題と深く関連することから、科学者の学術的な夢を社会や国民に示すことは、科学者の責務を果たすことであるとともに、社会や国民の幅広い理解を得ながら科学者と国民が共に議論する機会を提供するものである。

  3. (3) 地球惑星科学・夢ロードマップ改訂の必要性

     前回(2014 年)以降の地球惑星科学を取り巻く近年の情勢の変化や急速な学術的進展に対応して、2020 年現在での地球惑星科学分野の方向性と発展の骨格となる中長期的な計画を再検討する必要があるとの認識に基づき改訂を行うものである。

  4. (4) 改訂の主な内容

     今回の改訂の主な内容は、前回(2014 年)以降の地球惑星科学を取り巻く近年の情勢の変化や急速な学術的進展、たとえば太陽系外惑星科学やアストロバイオロジーなどの新分野の展開、Future Earth やSDGs への取り組み、AI を用いたビッグデータ解析など新たな技術の導入を考慮したことに加えて、中長期的観点で地球惑星科学分野の拡大や分野間の連携・融合を強く意識し、地球惑星科学における5つの分野それぞれが、互いの分野や関連分野との連携・融合をロードマップの目標として明確に位置づけた、というものである。そして、「太陽系・地球・生命の誕生・進化」、「過去・現在・未来の地球の理解」、「人間圏の成立と発展」という3つの軸に沿って、最終的には5つの分野間の連携・融合のもとに、地球全体をひとつのシステムとして統合的に理解することによって、地球のより深い理解(「地球認識」)に到達しようとする内容になっている。



     報告全文はこちら(PDF形式:1,499KB)PDF
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