日本学術会議は、本年7月7日から9日に北海道洞爺湖で開催されるG8サミットに向け、G8主要先進各国及び関係5カ国(ブラジル、中国、インド、メキシコ、南アフリカ)のアカデミーと共同で、サミット参加国指導者に対する提言をとりまとめ、本日、福田総理に2つの声明「気候変動」及び「Global
Health」を手交し、公表しました。
この声明は、本年のG8サミットの議題である「気候変動」と「Global Health」について、本年3月に日本で開催されたG8学術会議において議論し、参加した各国アカデミーの科学者の意見を集約したものである点において戦略的かつ重要なものであり、我々はG8各国首脳をはじめ世界の指導者に対して次のように訴えています。
「気候変動」
・人為的気候変化はすでに生態系や人間社会にこれまでに経験しなかったスケールと速度で影響し始めていて、当面は止められない。現存する環境圧力への対応から始めて、国際社会が協力して地域、国、地球の各レベルで戦略的な適応策を推進することが喫緊の課題である。
・低炭素社会は、供給エネルギーの低炭素化や炭素隔離貯蔵と並行して、経済的手法などを活用した持続可能な消費/交通システム、省エネ住宅など需要側の努力で実現できる。途上国の低炭素社会への蛙跳び型発展を促す国際協力が気候変化抑制の鍵となろう。
「Global Health」
・国際的な研究協力体制の拡充、得られた成果の途上国への技術移転、現地で活躍できる適切な人材の育成を通じ、地球上の2大疾病負荷-感染症と生活習慣病-に対処していく。
・国際機関、あるいは各国の公的、私的な健康関連機関が、継続的な異常発生予知のための早期発見体制を構築し強化する。
本日、総理より、気候変動及びGlobal Healthはともに人間の安全保障に関することなので、洞爺湖サミットに向けてしっかり議論していきたい。今後も能動的な日本学術会議に期待している旨のご発言がありました。
日本学術会議は、我が国を代表する科学アカデミーとして、今後とも各国アカデミーと緊密に連携し、国内外の科学者や学術研究団体と協力しながら、これら地球的規模の諸課題の解決に積極的に貢献してまいります。
|